8/28/2012

丹羽大使襲撃は北清事変の繰り返し?

1900年の北清事変は北京に駐在する欧米、日本の各国外交官をまずは義和団の民衆がのちに清国そのものが襲撃したことから始まった。

宗教団体の義和団はシナの民衆の愛国心から起こった対外排撃組織だ。清国はその運動を抑えきれない。清朝末期で統治能力が衰退していたからだ。清国政府は最初は義和団を弾圧していたが、あるときから、義和団に共動して北京駐在諸国との戦争になったのだ。

シナの歴代王朝(国民政府、現在の中共政府も)は民衆を統治する能力に欠けている。だから、諸外国にはその点が不安で、正常な外交関係にならない。

北京で丹羽大使の公用車が襲われた。日本政府は中国外交部に厳重抗議をしたが、いまも、民衆を完全統治できない中国政府が一番困っている。「愛国無罪」などという法治国家を無視するスローガンを放置したつけが回った。

8/27/2012

国民会議では社会保障水準減しかない

NHKのクローズアップ現代で野田首相のインタビューが放送された。

それで思い出したのが、消費税増税の積み残しであった社会保障国民会議(野田首相も言及)のこれからの議論である。そもそも消費税増税が不可避だったのは、少子高齢化に伴い社会保障予算が増加の一途をたどり、現在の歳入構造ではとうてい賄えないことが明らかなことだ。消費税率を上げた現法の10%でも無理で、20%近くに再アップしなければならない。だから、10%法案にとっては歳出減の課題は積み残していたのだ。

だから、歳出の方の社会保障給付水準の「削減」を図るためにどうするかの国民会議になる。税収増を社会保障の水準改善に使う、ということではあり得ない。

老婆心ながら指摘しておきたい。

8/26/2012

原発の決定権限は国にある(デモにはない)

以前、地方自治体の二元代表が問題となった(今も問題だ)。首長と議会との有権者が選ぶ
二つの代表が違った政治的判断をしたら混乱するという地方自治法の問題となっている。

国と地方自治体の間でもある。原発の新設、再稼働などは国(経産省など)の権限である。国レベルの広域的課題だからだ。国、地方にはそれぞれ権限分野がある。それをはっきりさせないと、混乱する。橋下大阪市長は原発の権限が地方自治体にはないことがわかっているのだろう。最後は国の言うことに従っている。

国あるいは地方自治体は間接民主主義の体制だ。住民投票とかデモとかは政治的決定に結びつくものではないことをはっきりさせる必要がある。(住民投票を議会で位置づければ別だが、それも間接民主主義だ)

8/25/2012

領土問題というより中韓の国内問題

東アジアの三カ国と日本は領土問題を抱えているというが、三カ国のうち中韓二国はそれぞれの国内問題が領土問題に結びたものだろう。内政の混乱のはけ口を反日(その最たるものが領土問題)に誘導しているのだ。東アジア諸国(北朝鮮も)特有の対日本の不思議な関係だ。

世界の通常の領土紛争とその解決方法とはあきらかに違う。日本にとってその原因の非常識さと「解決方向が見えない」のは相手国の国内問題から来ているからだ。

とくに、韓国は国内問題が行き詰まると、過去の日本支配に結びつけ、国内融和を図ろうとする。竹島問題では日本が反論をしてくれないと困るので、実効支配をしているにもかかわらず、自らエスカレートさせる。通常、民族意識の行き過ぎを抑えるのが政府の立場だが、韓国政府は大統領自らが火を付けた。

中国は共産党政府の一党独裁体制が国内で正統性を失いつつあるから、国民が愛国心で騒ぎ立てると、苦境に立ってしまう。「反日」の使いすぎだ。

いずれにせよ今回の紛争で困ったことになったのは中韓両国政府の方であろう。

8/23/2012

けんか腰の交渉術を理解しない日本

文化の違う外国との外交では日本的常識は通じると思うほうが間違いだ。惻隠の情とか暗黙の貸し借りなどだ。それらは島国日本にしかない常識であって、世界では非常識の部類に入るのではないか?

竹島領土問題での韓国、尖閣諸島での中国系諸国、北方領土問題でのロシア、それぞれに対して原理原則で対応してこなかった。日本国内においてしか通用しない人間関係、それは政界の中の関係も同じだが、それでうまくいくはずがない。惻隠、将来の返しを期待する貸しは相手から見たら、絶好の餌食となる。いったん譲歩したらさらに譲歩を迫られる。

中東のバザールでの値段交渉に似ている。言い値を双方が繰り返して、ようやく妥協の価格交渉がまとまる。まとまれば売り手と買い手は無二の親友になれる。タフネゴシエーターが尊敬される。

8/22/2012

野田首相に申し入れしても無駄(反原発団体)

日本は憲法にも書いてあるように間接民主主義の国だ。衆参両院で多数をとれば、法律は自由に制定でき、原発廃止などすぐに実現できる。

反原発、2030年までに原発0%をめざす市民団体は国民の多数だと豪語するなら、脱原発依存に信念を持つ野田首相に申し入れるより、市民それぞれの選挙区の国会議員に働きかけるほうが近道で正道だ。

「近いうちに」、衆院総選挙が予想される。すぐにでも自分の選挙区での運動を開始するときだ。

最初から意味ない討論型世論調査

asahi.comのニュースに「原発0%支持、伸びる 討論型世論調査」なる見出しのニュース(8/22)が載った。内容は記さなくても自明だ。

まずは、原発の将来の比率を公聴会的な参加討論で決めてよいはずがない。技術的な問題だから、まずは専門家どうしで議論し、それを国政の重大課題として政治が決定するしかない。関電の大飯原発の再稼働を決めたときのように。

それと、討論参加者の決め方だ。裁判員の選定みたいに、国民の間から無作為に抽出するのならともかく、前段の理由でこの討論会の意義を見いだせない人は参加はしないであろうし、参加者の偏りが著しいのは容易に想像できる。その偏った母集団からのサンプル(参加者)がいくら討論してその結果、原発0%支持が伸びた、といっても全く意味がない。

8/19/2012

騒ぐ方が弱みを持っている(韓中)

と言うか、弱いことを自覚しているから騒ぐしかない。

日本が抱える三つの領土問題を客観的に理解するのに、紛争相手国の対応である程度わかるような気がする。

日本人はいずれに対しても冷静だ。一方相手国の方はといえば、ロシアを除く二ヶ国、韓国と中国の対応は尋常ではない。

韓国は国としても国際司法裁の提訴に応じようとしない。自国領である根拠が歴史的にも法的にも明らかであるというなら、かたくなにならずに裁判を受けいれ、勝訴すれば、日韓両国の将来にとって望ましい決着となるに違いない。

中国の国民の対応は過激だ。疑うに、反日デモのみが当局から許されているという特権を最大限利用しているのだろう。大人(たいじん)中国人だもの、そのくらいの計算はあるだろう。

それにしても、韓中両国の政府は国内的に苦境に立たされていると推測される。両国民の過激さでそれがわかるのである。領土教育、反日教育の行き過ぎだ。
日本はそれを対岸から見ているだけでよい。

日米同盟あっての大国日本

日本は大国でなくてもよいではないか、という意見があろうが、日本が大国からの凋落の道をたどる行く末をフィリピンの現在に見ることができる。

フィリピンは大国にはなったことはないが、過去、民主化の動きの末、米軍のスーピック空軍基地とクラーク空軍基地を追い出す結果となった。いま、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島にあるスカボロー礁(黄岩島)の領有権の中国との争いがエスカレートし、両国が艦船を出してにらみ合うまでになっている。両基地のあったルソン島の近くに紛争の島があることを考えたら、両基地があれば、これほど中国が強気になっていただろうか、という予測が成り立つ。

日本の米軍基地のありかたには確かに問題点がないわけではない。沖縄に全国の75%の基地が集中していることなどだ。しかし、それを国外へ、最低でも県外へ、ということにしたら、尖閣諸島をめぐる中国との争いに不利になることは疑いを入れない。軍事力は戦争のためにだけあるものではなく、国の発言力を増すのである。

民主主義国家で、国民の生活第一の政治が行われるべきことはそのとおりだが、そのまえに、その国家が存続すること、すなわち領土保全につながる政策がそれに優先される、という自明のことを忘れては何にもならない。

8/18/2012

日本が大国でなくなった諸理由

韓国の李明博大統領が竹島上陸と天皇への失礼な発言ができたのは本人が言っているように「日本がもはや大国ではない」というのが大きな理由だろう。

国力がその国の発言力を維持する。その国力を損なっているのが、いまでいえば、オスプレイあるいは原発への反対運動だろう。オスプレイが墜落して日本国民に損害を与えるのも原発が事故を起こすのも確率の問題だ。リスクがゼロにはならないが、リスクをある程度覚悟すれば(リスク評価)、得られる利益は大きなものになる。たとえば、諸隣国との領土紛争で、大きなアドバンテージが得られるのである。逆の立場で中国はそのための力をつけつつある。

8/17/2012

中国との外交問題を気にせずに処理するのが法治国家

尖閣諸島の魚釣島に香港活動家が不法上陸したあとの法的手続きのありかたで議論になっている。強制退去させるか裁判手続きに移行するか、という。

通常の国内法の手続きで、すなわち、そこが尖閣諸島であることを意識しないで、処理したらよい。それ以上あるいは以下でもない。すなわち外交問題になるかもしれないということを勘案せずに。それが三権分立の司法手続きといえるのではないか?

今回の事件の外交的損得を言えば、中国側は明らかに損失を被っている。尖閣諸島において、日本国の司法手続きが淡々と行われた、という実効支配の実績が積み上がったからだ。

なお、強制送還するのに、被疑者あるいは中国側に特別な便宜を図るべきでない。侵入に使ったその船に乗せて、(補給が必要なら)燃料代も徴収したうえで、追い返せばよい。

明治時代にロシア皇太子を襲撃した大津事件ではロシアとの外交問題とは独立に裁判が行われ、結果的にロシアの敬意も得られた。

8/14/2012

謙譲の美徳は国内でしか通じない

韓国の大統領として初めて竹島に上陸した李明博大統領はその理由として、日韓首脳会談で従軍慰安婦問題に野田首相が消極的だったから、と述べた。

日本人は相手との議論を好まない。日本人同士であるなら、それでよい。しかし、世界の中でそれでは誤解を生むのではないか。「従軍」慰安婦は日本国が強制したものではないと、例え首脳会談においても主張しなければ、相手方は誤解したままで、笠に着て行動をエスカレートする。謙譲の美徳はあり得ない。

韓国も、北方領土で挑発するロシアも、日本のこの美徳を美徳とは捉えず、どこまで譲歩するのかを確かめているのではないか?

8/13/2012

横並び新聞にも新聞紙利用の価値

ロンドンオリンピックがやっと終わった。「やっと」の思いは、オリンピック期間中、通常のニュースなどがオリンピック関連によって「クラウディングアウト」されていた被害があったからだ。

TVなどの電波媒体は瞬間のメディアであり、ほとんど全ての放送局でオリンピック関連(ニュースも)しか見ることができなかった時間帯があった。新聞はオリンピックで埋められたが、そうでない記事を拾い読みすることはできる。インターネットはオリンピック関連はクリックしなければすむ。

オリンピック忌避者にとって後二者のメディアは救いで、さらに新聞は「新聞紙利用」としての価値はある。TVは公共電波を使用するものなので、何とかして欲しい。オリンピック関連が薄かったTV東京など、オリンピック横並びでない独自放送がもっとあってもよいのではないか。

8/09/2012

9月の総裁選までには「近いうち」の具体化が

「近いうちに」というのは玉虫色表現だ。交渉の双方が勝手に有利な解釈ができるからだ。

ただ、今回はその場限りの交渉ではなく、谷垣氏側にはその後の総裁選が控えているから、野田首相に「玉虫色」解釈で実際は逃げられては困る。谷垣総裁が「近いうちに」という表現でよしとしたのは、9月末の総裁選の前に、「近いうちに」の具体的内容が明らかになる、という交渉結果だったからだろう。いまの時点でその具体的内容が公になるのは、首相の解散専権内容の明示が不適当だという、谷垣氏の理解があったためと思われる。

野田首相にとって谷垣総裁は重要な政治的カウンターパートだ。その立場を守ってやらないと、国会の運営に支障を来す。だから、たぶん今国会の会期末(9/8)までの解散になると思う。

8/08/2012

解散総選挙後に増税法案を出直し審議

解散総選挙前に民自公三党合意による社会保障と税の一体改革関連法案を参議院で成立させてしまおう、という動きしか見られない。

これだけ国民的議論を生んで、民主党の分裂の原因になった同法だから、総選挙して、そのあとの国会の新構成でもって出直し議論するのが筋だ。選挙による政治空白が生ずるといっても、たかだか一ヶ月半程度だ。選挙後の秋の臨時国会で再審議しても再来年の春の施行には十分間に合う。

総選挙の結果、野田首相の続投が確約されているわけではない。野田首相は自分の政権で歴史的な増税法案を成立させたいのであろう。しかし、その法案の成立に道を開いた、だけでも十分に名を残せる。

または、現在の三党合意のまま成立させたいと考えているなら、いずれ来る総選挙後の新体制でいったん成立させた同法を廃止されることも可能なことを覚悟すべきだ。いずれにせよ、総選挙で国民の声を聞いてからにしたほうがよい。

8/07/2012

譲歩したらさらに譲歩を迫られる

譲歩したらさらに譲歩を迫られる、という国際常識に日本の政界もなってきた。喜ばしいことだ。

民主党は社会保障と税の一体改革法案の参院採決をお盆あとにするとしていたが、自公両党の圧力に譲歩して、要求されたとおり明日の8日に前倒しをすることにした。しかし、自民党はさらにハードルをあげて、衆院の解散をプラスして迫っている。

一般の人同士とか商売では許されないことだ。しかし、政治の世界とか国際関係では大いにあり得る話で、別に気にすることはない。

8/05/2012

自分は電気料金が高いのを我慢する、という平面的決意

原発の今後についての公聴会で、将来の原発シェアの三案のうちゼロパーセントを主張する陳述人が多数となっている。原発は危険だから(すぐにでも)なくせ、ふうな意見は社会全体の解決策としては失格だ。原発がなくなるメリットにはほかのデメリットが付随する。それをどうするかの議論がないと聞くに値しない。

原発がゼロになると、電気料金が高くなる。それがたとえ倍になっても自分は甘受する、という意見があるそうだ。こういうのがメリットデメリットの「トレードオフ」に及んだ意見といえる。しかし、自家の電気料金が倍になるだけですむ、と誤解していないだろうか?電気料金は工場事業場に対しても倍になる。そこに勤める従業員の生活費も高くなるから、給料も上げなければならない。そうなると、そこで生産される商品(サービス)も高くなる。だから、物価水準すべてが倍近くになる、という「奥行きのある」議論になっているのだろうか?

8/04/2012

森本大臣はオスプレイ試乗で安全性を確認したわけでない

訪米中の森本防衛相が問題となっているオスプレイに試乗し、「想像以上に飛行が安定していた」と感想を述べた。それに沖縄の地元が「個人的な感想に過ぎない」と反発したと報じられている。

森本大臣は、個人的な感想を述べたし、それをもって安全性が確認されたわけではないと当然思っているに違いない。沖縄のマスコミももっと冷静に。

8/03/2012

脱原発はデモでなく選挙で実現

首相官邸を囲む脱原発デモは毎週何万人(何十万人?)もの規模で続いているらしい。昔の過激なものと違い、一般の参加がしやすい形態になっていることも理由だ。

しかし、これは何十万人(に過ぎない)のひとの意志がわかるというだけのことだ。もちろん脱原発でデモに参加しない人もいる。正確に国民の何パーセントの支持を得ているかは、選挙によるしかないのだろう。次期総選挙で脱原発を掲げる(正確には原発ゼロを早期に達成すべきとする)政党がどれだけ伸びるか、でわかるのではないか?(それによってしかわからない)
日本は間接民主主義の政治形態をとっている。デモのような直接民主主義的な訴えよりも、選ばれた代議士が任期のうちに政治家の信条をもって政策を決める方式だ。支持を得られない政策なら、次の選挙で選ばれないというリスク付きだ。具体的にいえば、野田民主党が勝つか、脱原発を掲げる小沢新党が勝つか、ということにつきる。

アラブの春では、民主的な選挙制度がないので、デモしか国民の意思を表す手段がなかった。日本はそれとは違う。

文痴は、岸内閣時代の安保反対デモも同じだった、と書いた。

8/01/2012

五輪忌避者はネットで重要ニュースを

オリンピック関連放送の氾濫でニュースの時間まで浸食されている、とは以前書いた。それもニュースの時間の前半に日本人選手の快挙(残念)を伝えている。オリンピック愛好者は本番を見ているはずだから、ニュースはほどほどにしてよいのではないか?

おかげで、TVでニュースを見ることもなくなった。前半の大騒ぎがいやだからだ。しかし、世の中に何が起こっているか知る必要がある。それに便利なのがネットニュースだ。オリンピック関連はクリックしなければよい。