6/20/2013

原発再稼働を決めるのは国しかない

原発の再稼働への原子力規制委員会の新技術基準が出るようになって、止まっている原発の安全審査が始まることになる。遅きに失し、審査期間も半年と長くなると言う問題点はあるが、その基準に対し安全性が確保できないあるいは確保するための対策費が膨大になるものまで、各電力会社は審査を受けて、対策をとったあと、再稼働を目指すという。

なぜこのようなおかしなことになるかというと、地域独占で電気料金算出に総括原価方式を認められていることにあるのではないか?電力会社は株主主権のもと意志決定がなされる。対策費を料金に転嫁できるなら、たとえ不良資産といえど、それらを利用しない手はない。

各原発を再稼働するかどうかは最後は経産省が決めたらどうか?ついでにいうと、半年後に安全性が確認された原発について関係自治体の意見を聞くことも止めるべきだ。その自治体にとって最終決断を任されるのは酷だ。

6/18/2013

コメンテーターはTV局雇いの小金労働者

「小金稼ぎのコメンテーター」は冷静な有権者に劣る、という趣旨の橋下市長発言に対し、議論が沸き起こっている。

「小金稼ぎの」の部分は橋下氏は撤回(そのあとの部分は撤回していない)したようだが、小金あるいは稼ぎの軽蔑用語はともかくとして、コメンテーターはTV局からなにがしかの出演料をもらっているはずだ。当の橋下氏にも過去のコメンテーター時代は当然、現在の公職にあっても、出演料は出る。お金をもらえば、出演者はTV番組の意図(事前に決めている)に従って発言を合わすことは十分考えられる。

NHKクローズアップ現代のLNG高騰問題のコメンテーターに十市勉・日本エネルギー経済研究所顧問が打診を受けた際に、NHKの番組意図に合わないとの理由で、出演取りやめになったそうだ。コメンテーターは番組のご意見番のように見えるが、実は基本「賛同者」を種々集めているに過ぎない。

コメンテーターのほうも契約打ち切りにならないように発言には自主規制をかけている。また、レギュラーコメンテーターは毎日の違った話題にすべて通暁しているわけではないから、時々の通俗説にあわす無難なコメントを出していれば問題とはならない、ということもあるだろう。

以上のように、TV番組で一般世論が形成されるとするとすれば恐ろしいことだ。

6/15/2013

内容より「言い方が悪い」が日本人の悪弊

「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる」との復興庁水野参事官のツイッターには二つの観点がある。ひとつはマスコミ論調が一色となっている言葉遣いが適切だったかだが、もう一つの内容は事実か、被災地での真実が隠されていないか、のほうが重要だ。

被災地では謝罪に訪れた東電社長(当時)を被災者(の一部だと思うが)が無理矢理土下座させた、というようなことも起きている。国家公務員が嘘をついて「罵声を浴びせられる」と書くことは考えにくい。罵声のような事実がないのにそのように書くメリットはない。

さらには、その集会は子ども・被災者支援法の進捗が遅いことをテーマにするものだったらしい。「言い方」を問題にするより、そのような言い方になった集会の目的のほうをもっと国民に知らせるほうが重要でないか?「言い方が悪い」より「集会の目的」のほうが注目されるようになった、という結末を期待したい。

6/13/2013

デフレは名目物価現象なので円高が原因だ(不況の原因でない)

デフレが続いて不況になっている(デフレスパイラル)というが、そのデフレは引き続く円高の結果ではないか。1ドルのものが120円だった時代から、つい最近までは80円になったから、物価が下がったとはいわない。米国価格では1ドルのままだ。物価も給料も円に換算した名目値で下がったに過ぎない。円高で輸入価格が下がれば物価は下がる。だから給料も下げることができる。実質(相対的な数字)は変わっていないからだ。

むしろ、イノベーションがない昨今、世界的に投資が減退して、その分を貯蓄とか会社の内部留保に回していることのほうが犯人だ。いずれ投資すべき資金を給与に回す会社はあり得ない。

6/11/2013

ブタ積みを増やして効果がないことがわかっているのか日銀

黒田日銀が金融緩和策として唯一やっているのが量的緩和策で、それは市中に流通している国債を購入する代金をマネタリーベース(各銀行の日銀当座預金)として積み増していることだ。この預金を銀行が取り崩して融資しなければ実際に出回る「円」(マネーストック)が増えず、インフレ目標が達成できない。

マネタリーベースはその需要より少なくては金融緩和にならないが、必要量以上いくら積みましても効果が全く期待できない「ブタ積み」となってしまう。

1本目の矢の金融緩和は必要条件なのであって、それだけで物価目標2%を達成できるわけでない。2本目3本目の矢が重要だ。それら本命策が本格化していない現在、期待だけで上がった株価が調整局面に入ったのは当然のことだ。

6/06/2013

値引き交渉に似た無原則な中国領土政策

日本以外の世界のひとは値引き交渉に真剣になる。最初の売値を売り手が引き上げておけば、そこから交渉が始まり、大幅な割引に妥結した場合、日本人客などは錯覚して満足する。

これに似た戦略を尖閣諸島の領土紛争に中国は用いているようだ。根拠が全くないにもかかわらず、まずは、尖閣(釣魚島)自国領を主張しておく(初値を高くした)。つぎに鄧小平などは「棚上げ」提案で妥協を装った。その後、日本政府が領土原則論から一歩も引かないのを見て、シンガポールで軍人が、また、北京でも外交部(外務省)報道官が「棚上げ論」という「値引き」をちらつかせた。野中元官房長官にも同じことを言わせた。菅官房長官はこの値引きには一切応じない。

尖閣諸島は中国の核心的利益に属すると妥協の余地がないことをいっているそばから、バーゲニングを始める、そういう国だから適当にあしらっておけばよい。さらには、韓国もそうだが、日本が手強そうだと見るや、影響力を行使できそうな米国に泣きつく。よく見れば真剣さに欠ける「お笑い」程度の国々だ。

6/05/2013

曾野氏の橋下発言批判は政治家の基本任務を理解しないもの

今朝の産経新聞で連載の曾野綾子氏が橋下大阪市長発言について批判していた。小説家のような全くの個人ではないので、政治家の発言にはその影響など細心の注意が必要だと。

直言を売りにしている曾野氏らしからぬ文だ。本意は小説家が何を言おうと全く自由だ、のほうなのだろう。それを言いたくて橋下発言を持ち出したに違いない。

政治家の発言のあり方のほうは、むしろ逆で、支持者の意見を代弁して理論的に公言することが政治家の原点だ。支持者の意見発言は社会的に広がりをもてない。それを代弁して政治家が大きな声にするのだ。これに慎重になれ、というのは政治家の基本の役割を放棄するに等しい。もし、その発言が支持者の代弁をしていないのなら、次の選挙で落選する。

大阪市長という(むしろ)行政のトップとしてどうなのか、という議論は残る。しかし、発言は大阪市の行政とは関係が薄いものだ。政府の行政範囲に属するものなので、安倍内閣の閣僚が発言に慎重に、ならわかる。

6/03/2013

尖閣領土問題化は世界華人保釣運動のため(逆だ)

シンガポールでのアジア安全保障会議で中国軍の幹部が尖閣問題の棚上げを提案した。日中国交正常化交渉に際し、周恩来首相が田中首相(いずれも当時)に提案したとされる棚上げ論と軌を一にする。現在も過去も日本側は同意していない中国側の一方的な提案だ。このことから尖閣諸島の領土問題化は中国側の戦術だった可能性がある。

尖閣諸島は台湾と日本との紛争地だった(台湾側の一方的理解だけだが)。その台湾は中国の一部ということで、中国は領土問題化していたわけだ。その台湾と日本が尖閣周辺の漁業交渉で妥結して領土問題を希薄化してしまったので、中国としては問題化する大義名分を失ったのだ。

大きな目で見ると、尖閣あるいは南シナ海で領土問題を作ることにより、華人国家(中国、台湾、香港、シンガポール)の内部を牽制しようとするものらしい。世界華人保釣運動という尖閣(中国名:釣魚島)領土を華人として守る運動を香港と台湾に呼びかけて作ったのも中国だ。いつでも棚上げにする領土問題化が真意ではなく、それを手段にして華人国家の内部を統制するもののようだ。中国は内部の問題をいつも対外的に解決する性癖があるようだ。

日本は見すてないが国家の仕事(再論)

「日本は見すてない」が国家の仕事と2006年に書いた。

来月の参議院選ではアベノミクスによる経済対策が争点になるという。この北朝鮮による拉致とか、このたびの日本の過去だけが不当に侮辱されている「慰安婦拉致」デマ問題などは争点になっていない。国家の最低限の義務の争点化を避けているのだろう。経済は民間に任せるべきで、国のやるべきことはその関与をなくすことだけだ。


以上のような安倍自民党政府の姿勢を問題にしている。

6/02/2013

文化・価値観の違いをお互いに認めたところに外交というものは成り立つ

沖縄に直言したケビン・メア氏のような人物でさえ、橋下氏の慰安婦制度発言に拒否反応を示している。商売としての売春はあっても、日本軍(日本国)がその慰安所環境(の管理など)に関与をしたことは恥ずべきだったと。米軍でも大戦時にはそのようなものがあったことは知っているが、それを兵士が利用することは禁止されていると。つまり、実態を拒否しているのだ。戦後の日本に駐留したときも同様で、日本の民間が設立したRAAという強姦被害を防止するための米兵利用の売春組織の設立に際し、日本政府が融資したのも恥ずべき公的関与だとしているようだ。女性蔑視の行為(売春)に公が認知するようなことは絶対に許されないと。

強制連行して売春をやらせたというあきらかな人権侵害があったのかの肝心の論点に至る前で米国は日本の慰安所制度そのものに拒否反応を示している。これは、国が違うと文化も違う、という典型例だ。

自国の文化・価値観を他国(敗戦国)に押しつけるという態度は、戦勝国に許されているはずはない。文化・価値観の違いをお互いに認めたところに外交というものは成りたつ。

6/01/2013

安倍総理の「歴史家に任せる」発言ではうまくいかない

歴史問題は歴史家に任せておくと大変なことになる。国連の拷問禁止委員会がこのたびの橋下発言に関連して、日本政府へ慰安婦問題への「法的責任と処罰」を要求してきた。誤認事実を放置するとここまで世界はかさにかかってくる。橋下氏のように部分的に謝れば相手に好印象を与えるかもしれない、という甘いものではない。政治家に大人の発言を求めるのは日本の悪習慣だ。

以下、時事通信のWEBニュース・・・慰安婦問題「公人が事実否定」=日本政府に勧告-国連拷問禁止委員会 より

【ジュネーブ時事】国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会は31日、旧日本軍の従軍慰安婦問題について「政府や公人による事実の否定、被害者を傷つけようとする試みに反対する」ことを日本政府に求める勧告をまとめた。橋下徹大阪市長らによる最近の発言を踏まえたものとみられる。
 日本政府は、慰安婦問題は拷問禁止条約が発効した1987年以前に起きた事象であり、対象外と主張してきた。しかし、勧告は日本政府に対し「慰安婦問題の法的責任を認め、(法律を犯した者を)適切に処罰する」よう求めた。
 同委による対日審査は2回目。21、22日に6年ぶりに実施され、同委が日本政府に見解をただしていた。
 同委のマリーニョ氏はジュネーブの国連欧州本部で記者会見し、慰安婦問題の解決に向け「日本政府の歴史的、現実的なさらなる取り組みが必要だ」と強調。「歴史教科書に慰安婦問題の記述がほとんどないことを強く懸念している」と述べた。 (2013/06/01-02:05)