10/31/2009

前原大臣は言い方の順序がおかしい(八ッ場ダム)

 前原国交相は、八ッ場ダムはマニフェスト通りに中止、と言っていたものが、関係都県知事あるいは地元の反対に対応する格好で、再検証すると軌道修正した。予断を持たないとしているので、再検証の結果を尊重する、ということだろう。
 そうなるのなら最初から「八ッ場ダムはマニフェストで中止の方針だが、国民の理解を求めるためには、ダム以外の治利水の施策で代替可能かどうか再検証して結論を出していきたい」とでも言っておけばよかった。

JALはなくなってもよい

 JALは国の関与する特別会社から普通の株式会社になったはずだ。世界中を見れば航空会社の倒産は日常茶飯事だ。米国でもパンアメリカン航空とかが倒産した。それでも米国の航空需要に応じられなく困った、ということはない。日本だって、ANAは健在だし、スカイマークなどLCCも数社ある。JALがなくなったら穴埋めをするのは簡単だ。国際線だって、なにも日本の航空会社に乗らなくても不便は感じない。
 JRがつぶれたら困るのだろう。鉄道会社は線路のインフラも持っているからだ。航空会社は飛行場を持っているわけではない。その飛行場に他の航空会社が代わりに乗り入れれば、それでOKだ。
 ここで、国が日航を支えたら、民間企業を特別扱いすることになる。資本主義の優勝劣敗の原則が廃れれば、日本は社会主義に成り下がってしまう。鳩山総理がいちばん恐れていることだ。代表質問への答弁でもそこのところは色をなして否定していた。

10/29/2009

郵政改革に関しては自民党のほうが問題

 民主党政権の日本郵政(株)のドタバタをみて、逆に自民党のことを思ってしまった。まずは民主党は連立を組む国民新党の影響を受けてか、小泉郵政改革にはっきりノーを突きつけたことは驚きだったが、小泉郵政選挙の時に惨敗したわけだから、政局的にはわからないでもない。問題は自民党の政策がどうなったかだ。麻生前総裁総理は小泉郵政改革に反対だったと答弁したからはっきりしている。その流れは、郵政造反組が平沼氏以外すべて復党したので、それはそれでわかる。でも、小泉氏の流れをくむ、中川、武部両元幹事長もいるし、小池氏もいる。自民党は郵政改革に関しどこが民主党(国民新党)と違うのか、一本にまとめないと、政策を標榜する政党というものに値しないのではないか?

10/28/2009

マニフェスト墨守より検証を(八ツ場ダム)

 八ツ場ダム問題で前原国交相は一都五県知事と話し合いをもった。その席で、いままでの「絶対中止」から他のダムと同じ「再検証」へ舵を切った。検証結果には予断を持たないとも。しかし、中止の方針は堅持している、という。矛盾している。再検証作業に入るということは、その結論のひとつに過ぎない「中止」をいったんはおろさないと客観性を疑われる。
 マニフェストは国民との契約というが、野党民主党時代に科学的検証の作業を経たあとに政策となったのだろう。政策はその根拠が失われれば、政策の資格がなくなる。そうなってまで、国民の契約として残す理由は皆無だ。
 高速道路の無料化は社会実験の結果、妥当であれば徐々に実行していく、としている。八ツ場ダムも同じことだ。再検証してから(やはり)「中止」あるいはマニフェストを変える、としても遅くはない。

10/27/2009

コンクリートから人へ、の無意味なスローガン

 「コンクリートから人へ」のスローガンを民主党はかざしている。一昔前の「脱ダム宣言」も同じことだが、政治的具体の行動のためにはまったく無意味だ。現に、前原国交相は国際競争力の強化のための重点的港湾、空港の整備を進めるとしている。これらにはもちろん「コンクリート」が不可欠だ。コンクリートの仕事ばかりして人間を軽視してきたわけでない、前政権も。
 多様な手段による河川整備を新河川法はうたって前自民党政権時に成立している。前原民主党大臣もこの新河川法に従えと言っている。前からの方針を踏襲せよと言っているに過ぎない。多様な手段のひとつにコンクリートダムは入っている。これを最初から排除したら、多様でなくなる。ダムありきでなく、ほかの様々な手法も活用すべきだ。これも前からの方針となっている。
 要は個々具体に検討しなければならない。だから「コンクリートから人へ」のような大方針は無意味だし、百害そのものだ。

10/26/2009

国債発行限度は当初予算ベースで

 H22年度予算の概算要求がまとまって、集計の結果90兆円を遙かに超える額になっている。これは予算政府案としてまとめる段階で査定・減額されることになる。そのさい注目すべきは、財源不足に国債を史上最高額発行せざるを得なくなるかだ。
 藤井財務相はそこのところの目標として、発行額をH21年度の補正後44.1兆円以内にとどめるとしている。
 違うだろう。H21年度の当初予算での発行額以内にとどめるべきだ。補正予算は景気対策上組まれたもので、その年限りのものだ。それに対し、当初予算は後年度負担のあるものもあり、また、複数年にわたり継続する政策を実施するものだから、当初予算ベースで発行額の多寡を考えなければならない。
 あたかも、サラリーマン家庭が会社の景気の良いときのボーナスを毎年あるものとして生活を放漫にするのと似ている。住宅ローンをその考えで組んで、不況のいま苦しんでいるのと似ている。国家だから、個人の家庭以下では困る。

10/22/2009

民主党政権は放漫財政を改めよ

 米国社会では政府が何をしてくれるかではなく、政府が余計なことをしないように、議会の監視機能があるという。政府関与の健康保険制度が監視の矢面に立っている。
 一方、日本ではばらまき機能が期待されている。確かに、政府には所得再配分機能がある。ただし、それだけではないだろう。外交・防衛で国の真の独立は最低限守らなければならない。もうひとつは、通貨・円の価値の保持だ。ハイパーインフレ(通貨価値の毀損)をおこさないのも最低限だ。日銀がその負託に応えているが、政府は邪魔をしないことだ。邪魔のひとつが放漫財政による結果インフレ政策だ。だから、国債費を除く歳出予算を税収の範囲内に収める(プライマリーバランスをとる)ことは最低義務だ。

10/19/2009

屋上屋を架す民主党の無駄

 民主党政権になって、予算のたてかた、使い方を大改革するという。予算作成では「事業仕分け」なる手法が用いられる。対象となる事業を必要か不要か、必要なら民間でできないか、できないなら、他の行政機関(国、都道府県、市町村)でできないか、自機関の仕事であれば、内容を改善できないか、の各チェックを行って、予算の合理化を図るとするものだ。でも、これは国で言えば財務省、自治体で言えば、財政部局のそもそもの仕事ではないか?屋上屋を架す見本のようだ。財務当局を改革すれば済む話で、行政が複雑になることはやるべきでない。
 また、無駄をなくすために行政刷新会議なるものがデビューした。でも、会計検査院とか総務省の行政管理局、行政評価局(旧行政管理庁部分)があり、同じ間違いを犯している。

10/18/2009

赤字国債は特例だ、増やすな

 鳩山内閣のH22年度予算概算要求が各省から提出された。集計すると95兆円にもなるという。これから財務省の査定を経て、政府原案となるのだが、赤字国債の増加を前提とする予算にはして欲しくない。そもそもはプライマリーバランスをとる予算とすべきなのだ。各年の税収の変動があるから、少なくとも数年の中期で集計したらバランスがとれていなければならない。赤字国債はあくまで緊急時の特例と考えるべきだ。
 いまは経済対策が必要な緊急時だ。その対策は麻生内閣時のように補正予算で対処し、平年予算とは峻別すべきなのだ。
 これからの予算関係の藤井、仙谷、菅大臣それぞれの手腕が見所だが、赤字国債の発行を対前年減らせないようであれば、マニフェストに示された施策の縮減を図るしかない。

10/17/2009

飛行機は乗り換えて利用するもの(成田ハブへ)

 前原国交相の羽田、成田の内際分離の見直し的発言に成田の地元が揺れている。問題の発端は日本の地方空港からの海外客が韓国仁川空港で乗り換える仁川ハブ客となり、成田空港がその役割を放棄していることだった。
 だとしたら、それら地方空港から成田への国内便を増やし、海外客への利便性を増やすことだ。仁川への便(大韓、アシアナ航空)ができて、成田への国内便(日本の航空会社)ができないはずがない。
 国内線から国内線への乗り換え(国内ハブ)の役割を成田に持たせれば、さらに利便性は増すし、航空会社のメリットもある。そもそも国内で国内線を乗り継いで利用するという発想がないのかもしれない、日本人には。米国等だったら当たり前だろう。幹線利用以外だったら、ハブ空港(アトランタとかシカゴとか)で乗り換えるしかない。

10/15/2009

辺野古だけでなく八ツ場でも県民の意見を聞く必要が

 鳩山首相は沖縄普天間飛行場の移設アセスで、仲井真知事が県内移設を容認したことに関し、「知事だけでなく沖縄県民の総意をうかがう必要がある」と逃げた。
 県民の総意をもって選挙で就任した知事だから、県民の総意を代表しているに決まっている。そんなことを言うのなら、八ツ場ダムの中止に関しても、総選挙で政権を担う民主党が、地元群馬県あるいは首都圏の関係都県の住民すべてに聞かなければならない。
 国、県ともに代議制なのだから、(国、県)議会とか首長だけの判断で進めて良い。

元栓を閉めるやり方は失敗する

 毎日新聞論説の山田孝男氏が民主党の施策の進め方への反論におもしろい視点を書いていた。空港整備特別会計があるから無駄な空港が作られるという前原大臣に対し、一つ一つの空港の整備を開始するときにチェックすることはできる。それが政治の力でできなかったことをこそ、問題にすべきだと。
 元栓を閉めるやり方に似ている。個々のガステーブルの栓を開け閉めすればよいのに、根本策と称して、おおもとを断つ(元栓まで閉める)という、聞こえはよいが、ほかのガス使用先(施策)まで道連れにするやり方だ。空港特会のほとんどはいま、羽田の拡張に使われているという。無駄な空港は作り逃げされたあとだ。
 天下りを一律に禁止する施策もそうだ。天下りが問題なのではなく、天下りにより無駄遣いがあるかもしれないことが問題の核心だろう。だとしたら、天下り先への安易な国庫支出を個々に査定すればよい話だ。一律禁止にすれば、有為な人材を活用できなくなるかもしれない。元栓を閉めるようなこのような思考方法はやめるべきだ。

10/14/2009

羽田をハブに、伊丹は廃港

 前原大臣の羽田ハブ空港化は説明不足だが、正論だ。もう少し詳しい全体説明と関係者への根回しが必要でないか?日本国政府は継続しているのだから。
 成田と羽田をあわせて国際化を図ると言っても主力は羽田だ。国内線のハブ空港であり、かつ24時間の羽田しか国際線のハブにはなれない。ハブに内際の区別をつけたらハブになれない。だから、羽田をハブ空港とし、羽田だけでは国際線全部を収容しきれないから、成田をその補助空港とすべきだ。貨物は成田だ。
 近距離国際線は日本の各地方からわざわざ首都圏にまで来ると利便性が失われるから、各地方空港には近距離国際線は残るし、関西圏の客は多いので、中距離国際線にまでは関空はハブ空港になれる。そのとき邪魔になるのは伊丹だ。伊丹は廃港とし、国内線を関空に集めることが、関空ハブ化の必須条件となる。関空からは国内線を羽田(と成田)に飛ばせば、長距離国際客も便利になる。
 ついでだが、整備新幹線はキリのよいところで止めるべきだ。地方空港の新設と同じで、地方政治の弊害で止まらない。

10/13/2009

敗軍の知事、敗因を転嫁せず

 石原都知事が産経新聞10/12に東京都が五輪開催地に不選定の理由をあれこれ述べている(「日本よ」の欄)。しかし、敗軍の将、兵を語らずだ。
 広島市と長崎市が2020年の開催地に名乗りを上げた。非核の運動と五輪開催地とを結びつけるのはあまりにも政治的な考えで、それこそ平和の祭典にふさわしくない。両市長の嫌がらせくさい。
 ついでに、橋下大阪府知事が関空関係で国に対し、だだをこねている。前原国交相の言い方もおおざっぱだったが、みなが無責任な発言で世の中が混乱するようになった。

10/12/2009

民主党は豹変する

 民主党は豹変する、でよいではないか?「君子は豹変する」というではないか。
 有権者は民主党のマニフェストすべてに賛成して投票したわけではない。と民主党幹部も言っている。尊王攘夷の攘夷は倒幕のためのスローガンに過ぎず、明治新政府は(いまでいえばマニフェスト違反で)開国政策をすすめた故事もある。
 民主党だって、野党時代は単に政府提出法案だからという理由だけで反対した事例も多いのではないか?それらをマニフェストに自動的に移行したものも多かろう。だから、いまマニフェストを整理して、民主党の信ずる政策を実行して欲しい。国民は民主党に任せたのだから。任せられたものには権限もあるけれど、責任もありますぞ。

10/10/2009

ノーベル平和賞は早すぎる

 オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞することになった。そもそもだが、ノーベル賞は科学部門に対し贈られてきたのだった。科学だったら評価が客観的だからだ。文学賞、平和賞は主観的にならざるを得ない。それでも平和賞を設けたいのなら、歴史のあらかたの評価が定まってからにしてもらいたい。レーガン元大統領は冷戦を終結させたから、いま、死後にはなるが平和賞の対象として適当だろう。ソ連はなくなったので、プーチン首相も反対はしまい。金大中元大統領は南北宥和政策で受賞したが、その後の揺り戻しで、授賞にふさわしかったのかいまは疑問だ。
 オバマ氏の場合も非核の世界を作る宣言をしただけのいまより、実行に移し、それが成し遂げられてからでも遅くはないし、いまの授賞ではこれからどうなるかわからない。

10/08/2009

八ツ場ダム続行かは常識問題

 コンクリートのダムが「すべて」無駄なものだという議論が横行している。一般にダムは治水と利水に役立つものだ。しかし、場所によっては地形がダム建設に良くないなどダムが治水利水の方法としてふさわしくないものもある。「すべて」無駄でも「すべて」良くもない。八ツ場ダムは無駄かどうかという議論があるが、全く無駄と言うことはないだろう。それを確かめる計算はいろいろあって、いろいろな結論が導き出されるが、効果がゼロという結論を出すものはない。だから、作りかけたものはどうせなら、そのまま完成させた方がよい。その程度の常識で判断できるものである。
 ダム中止派は堤防強化などの他の施策で代替できるという。でも、治水の方法としてダムだけでなく、堤防も強化しているし、遊水地にできるところはしている。緑のダムも、衛星写真で見ればわかるが、日本中の山が緑で覆われて、すべて緑のダムは完成済みとなっている。そのうえで、完成間近の八ツ場ダムをどうするのか?という常識問題となっている。

10/05/2009

五輪招致活動は禁止すべき

 2016年のオリンピックはブラジルのリオデジャネイロで開催されることが決まった。決まってみれば、アジア(北京)の次のロンドン(欧州)の次は南北米州それも大国でないブラジルになるのは後講釈だが明らかだった。オバマとか鳩山のトップの演説は決め手にならなかった。過去、プーチンの演説が冬期のソチへの決めてといわれたが、そうだったかのかも怪しい。招致活動の費用も大きかったが、関係者の手間とがっかりも馬鹿にならない。手間である現地視察とかプレゼンテーションとかの虚飾をすべて廃すべきだった。多分それらは決定に大きな影響を与えていない。
 開催地はオリンピック委がむしろお願いする立場だ。委員会から世界の都市に照会し、開催受け入れ可能な都市のリストを作成し、それらから委員同士の議論だけで内緒に決めるべきだ。