3/31/2012

カネは命の次に大切

日本人はカネをバカにする。カネがなければ命が危なくなることもあるのは世界の常識だ。「カネで片づくことなら」という日本人の言い方はカネを方便として一段と低く見ているからだろう。
 カネがなければ、政府、公共団体の仕事が国民全体に行き届かなくなることはようやくわかってきた。たとえば限界集落の面倒はもはや見ることができない。税金をもうこれ以上払いたくなければ、その選択と直結する冷厳な結果なのだ。
 福島県の除染の程度をできるだけ高めるべきで、それには巨額のカネがかかってもよい、と主張するとする。しかし、その責任者である破綻予定の東電からの資産以上の賠償は電気料金なり税金なり日本国民の負担するところとなる。その除染に使いすぎるカネも限界集落を守るカネも同じカネだ。カネは大事だ。軽く見て、いくらでも出ると考える手合いは、カネがなくて命を失うことになって、初めてカネの出し方にシビアであれば良かったとわかるようになるだろう。
 原子力発電を拒否してLNG火力あるいは太陽光発電などを志向するには燃料費、建設費などのカネが余計にかかる。火力発電を残せば二酸化炭素の排出減が出来ない。そのために排出権を他国から買うにはカネが必要だ。これらも同じ大切なカネであるということも忘れてはならない。

3/30/2012

ドイツZDF「フクシマのウソ」のうそ

3/8にドイツのZDF-TVで放映された「フクシマのウソ」はユーチューブにすでに日本語字幕付きで投稿されている。 http://www.youtube.com/watch?v=8MZKxWLruZQ
 30分もので、原子力村への告発になっているが、菅前首相、佐藤栄佐久前福島県知事などへのインタビューのみで、多方面ににまんべんなくあたるべきところ、きわめて一方的な構成となっている。さらには学問的に争いがあるものなので、双方の学者の証言とわかりやすい科学的説明がないと、反原発の人たちにとってさえ、溜飲を下げるだけの効果しかない。
 結論を言うと、きわめて有害無益な内容だ。ものごとの理屈を信条とするドイツ人はどこへ行ったのか?

3/27/2012

電力大口契約は双方の責任で

大口電力契約で非常識なことが伝えられている。非常識を通り越して恥をかくのではないか?
 大口電気料金は自由化がなされていて、電力会社と需要家の間で契約により料金が決められる。それは、一般家庭の小口のものより割安になっている(需要家は割安だから大口契約をしている)。その契約更新に際して東電は値上げをお願い(申し出ることが)できる。自由契約だから当たり前だ。前契約のままにしてほしいのは需要家側の申し出だ。その後交渉になる。その値上げ申し出はおかしい、というのは契約の自由に反する。
 東電は契約期限前の値上げをお願いしている。これも、契約を守らないおかしな行為で、もし、需要家が無知により認めてしまったら、だましたことになる。

3/26/2012

北朝鮮が図らずも日本の防衛強化に手を貸す

来月に北朝鮮が人工衛星 (実は弾道ミサイル発射) の打ち上げを世界に予告している。我が国はその打ち上げに反対しているが、もし発射されたときに備え、自衛隊を中心として対応に余念がない。沖縄本島と先島地方にPAC3の迎撃ミサイル配備、イージス艦による迎撃準備とJアラート(全国瞬時警報システム)の活用準備だ。
 これって、我が国の緊急時に備える訓練として最適な機会を与えてくれたのではないか?北朝鮮の意図とは別に。

3/24/2012

政治が決められない二つの原因(ねじれ、民主党内)

橋下大阪市長の維新塾が始まって、あらためて、既成政党では「何も決まらない」との声が高くなっている。
 でも、国会で決まらないのは二つのことがあるからだ。ひとつは衆参のねじれだ。直近の民意が参院選の結果では衆院の名が廃(すた)る。ここは早期の衆院解散総選挙をして、直近の民意を衆院に取り戻してほしい。野田政権が解散しないのは負けるとわかっているからだが、自民党時代も福田、麻生政権の後半二年もそうだった。二大政党ともに反省してねじれで行き詰まったら衆院解散をするルールにしたらどうか?小泉首相(当時)のように。
 もうひとつは民主党内のごたごただ。ここは野田代表の言うとおり、51対49でも党の決定を早期にすることだ。49がごねたら除名することしか民主党の継続には方法がない。

3/22/2012

安保理常任理事国グループ多数での拒否権行使に

リビアの独裁者カダフィは後ろ盾となる中露の様な国がなかったので権力を失うこととなった。シリアのアサドと北朝鮮の金正恩はそれぞれロシア(中国も)と中国の後ろ盾があり、その二国が安保理常任理事国であることから、この先安泰であることが約束される。
 国連の安保理の改革が必要だ。常任理事国五ヶ国それぞれに単独の拒否権を持たせることはやめて、五ヶ国多数決での拒否権としたらどうか?すなわち、非常任理事国を含む安保理での採決があったばあいでも、常任理事国だけでも採決を必要とする(採決の結果が違えば拒否権となる)というように。したがって、(たとえば中露二ヶ国だけでは拒否権が行使できない。拒否権行使には三カ国の同意が必要となるというように。

3/21/2012

(大飯原発)計画超災害には「避難」を想定すればよい

今回の原発事故で「絶対安全」はないことがわかったはずだ。関電の大飯原発でストレステストの結果、再稼働の是非が議論になっているが、絶対安全になるはずがないことを前提に議論を進めるべきだ。
 計画水準(場合によってはより高めた水準)の地震あるいは津波が来たときには安全だが、それ以上だったら施設の損傷等により放射性物質の漏洩がまた起こるかもしれない。安全性が相対的に上昇したに過ぎない。それらをストレステストで確かめたのだ。
 計画水準を超える災害現象には「避難」などにより危険を避けるという、それも今回の避難誘導の不手際を反省して、想定をしておくことが必要だ。

3/19/2012

3.11一周年その6中心は残った幸運

阪神大震災の時、神戸市中心部は壊滅した。それと今回違うのは、仙台、盛岡、福島など各県中心都市は無傷に近い状態で残ったことだ。仙台市の海岸部は津波で壊滅状態になったが、それこそ、平安時代の貞観大津波以来地域に継続してきた防災意識で仙台平野の山よりの微高地を選んで都市中心を形成してきていた(そのような意識はなかったかもしれないが)。それが地域全体の回復力を結果的に残したのだ。盛岡、福島(郡山)はもともとが内陸平野にある。津波被害への備えがこれらの県土構造を選んだのかもしれない。
 これからの復旧、復興にこれら中心都市が大きな役割を果たすに違いない。これら理想的な県土構造を継続するためにも、復興は拙速を避け、じっくり腰を落ち着けて考えて欲しい。それでも悲惨な被害を受けた石巻とか気仙沼などは沿岸に立地が必須の漁業の町だけに、将来の防災と産業復興の両立に工夫がいるところだ。

3/18/2012

原発は既存不適格で運転継続を

法律の規制で、ある時期基準が厳しくなって、その前に存在しているものをどうするかという問題が生ずる。建築基準法では既存不適格ということで建物の継続使用が許される。でも、その基準が耐震設計上のものだったら人の命に関わるかもしれない。現に、阪神大震災では建物倒壊による死者が多数出ている。
 一方、原子力発電所の基準が過去の事故により厳しくなって、それまで事故にあっていない発電所をどうするかという問題にさらされている。これも既存不適格=運転継続でよいのではないか?その過去の事故ではひとりも死んでいない。


3/16/2012

災害ゴミは遠距離でも運搬焼却する方がよい

被災三県に二次仮置(分別済み)までされている津波災害廃棄物2,200万トンを、全国自治体の協力を得て早期に処理しようという動きになっている。「美談」になりつつあるのだ。
 ところが、その動きに反対するそれら自治体住民の素朴な「放射能恐怖」とはべつに、遠距離運搬してまで焼却処理するのは経済的におかしい、という意見がある。可燃性の木質ゴミも焼却しないで、埋立て、その盛土の上はメモリアル公園にしたらよい、というものだ。
 まずは、可燃性の廃棄物はすべからく焼却すべき、という原則を確認したい。増大しかつ永久に発生する廃棄物の処理処分の隘路は有限かつ貴重な最終処分地の確保問題だ。焼却できるものは必ず焼却して減量(1/10になる)しなければ日本中が処分場だらけとなってしまう。不衛生状態になっているものを焼却により衛生化できる。そのまま埋め立てれば地下水汚染などの事後の悪影響があるからだ。
 ところが三県の焼却施設をフル稼働してもとうてい常識的年限のうちに焼却処理することは不可能なことがわかっている(2,200万トンを年間焼却能力で割ればわかる)。運搬費はかかるが、全国の焼却施設で能力に余裕があるものに少しでもお願いしていくのが唯一の方法だろう。その運搬費は、三県に臨時の焼却施設を大増設するか、または、提案されている公園だらけにするかの費用よりは安いだろう。

3/13/2012

公務員給与削減は増税の前提にはならない

消費税の増税をする前提に公務員給与と国会議員歳費の削減をという声が強くなっている。
 そんなものは前提としなくてよい。第一、それだけでは数千億円しか削減にならず、44兆円もの国債発行額をゼロ(建設国債分は残してよい)にする、すなわちプライマリーバランスをとるにはまったく足りない。さらには、それら支出の削減は二年間だけの震災復興予算確保のためだという。だから、社会保障の給付水準を大幅削減するか、財源の消費税を大幅アップするか、しかない。現に10%への増税では足りず、15%へもという案が出ている始末だ。そうならそうと始めから言ってほしい。
 公務員給与の二割削減とかは民主党マニフェストにあるのだから、よもや不実行ということはあるまい。

3/10/2012

3.11一周年その5まずは生活復旧を

一年も経って津波被災地がほぼ無人の荒れ地のままというのは尋常でない。原因の一つとして、仮置きされたがれきがほとんど片づいていないと言われるが、気持ちの上で復旧の明るさを阻害しているのだろう。これはこれで解決が必要だ。主要な原因は生活の復旧になっていないことだ。
 被災地から遠い仮設住宅に移った人あるいは遠方の親戚などを頼って一時移転した人が戻ってこないのは被災地で生活基盤が未だに出来ていないことだ。たとえば、主要産業の漁業関係の産業施設、その従業員の暮らしを支える商店などのサービス業の施設、これらの建築などが出来なければいつまでたっても生活のための町は出来ない。
 津波に安全な抜本的な町作りが遅れているからと言うが、それには少なくとも五年以上かかるのではないか?だからそこに一年経って復旧が全くなっていない理由があると思う。
 終戦後、日本人は焼きあとからたくましく復旧した。国などの公的助成がなくてだ。今回もバラックからの復旧方式をとれ、とは前に書いた。

3/08/2012

3.11一周年その4今回だけが災害でない

今回の東日本大震災で地震と津波からの個人被害に対し特別に、国などから助成がおこなわれている。二重ローン対策などだ。大規模災害で被害者も広範にわたるためらしい。
 しかし、個人にしてみれば、小規模な災害も含めすべての災害で、被害が同じなら、同じ助成でないとおかしいのではないか?また、災害は今回限りでなく、災害列島ニッポンなのだから、今後永遠に繰り返されるに違いない。個人被害への助成の程度も、それら全体をみて財政の制約から考えないと、きわめて場当たり不公平なものとなってしまう。

3/06/2012

職務怠慢・国会議員

立法府というからには法律を作るのが唯一最大の仕事だろう。
 司法から衆院の一票の格差を是正するように判決が言い渡され、その期限が来たにもかかわらず、各党の協議すら継続できないという。0増5減すらできない。本当は300選挙区を各県に振り分ける「一人別枠方式」をやめるべきだと言われているのだが、五選挙区だけだったら、また次の国勢調査結果で修正しなければならない。
 憲法もそうだ。両院ともに2/3の賛成が得られないと改正できない条項を同条項を使って1/2に改正するほか、問題条項を各党協議で改正準備する作業が必要だ。
 このような基本的職務がさっぱりできないのなら、国会議員でいる資格がないのではないか。

3/04/2012

次善の策、まずは辺野古への移転

(最低でも県外が無理な現状では)危険な普天間基地を名護市辺野古地区へ移転するのは次善の策だと思う。それがだめなら、普天間基地が存続することになるだろう。
 とくに普天間地元の宜野湾市民にとってはよそへ移転してくれれば少なくとも自分の周辺の問題は解決する。宜野湾市長選の両候補の公約がおかしい、とは前に書いた。普天間基地も使い続ければ補修が必要となってくる。本日のニュースは基地固定化につながるそのことを報じている。いったんは辺野古に移転し、その後はまた考えればよいのではないか?国際環境がずっと今のままと言うことはあり得ず、海兵隊基地の価値も変わるかもしれない。
 種類の違う例だが、60年安保改訂はそのまえまでの当初安保(欠陥)条約からの次善の改訂策だったはずだ。日米同盟反対派にとって。ただし、日本国民の多数にとって最善だったので現在も継続している。辺野古移転もそのようになるのかもしれない。日米同盟に反対のものは県外移設でも反対のはずだ。

3/03/2012

年金運用は投機とは縁を切れ

破綻懸念のAIJへ年金基金の投資顧問を依頼して大損をした(するであろう)年金組合が困っている。昔、確定拠出型年金というのが話題になった。それまでの確定給付ではなく、年金を受け取る個人が自己責任で投資をせよ、ということだった。これらすべては株式市場を活性化させるために仕組まれたのではないか?そのためには個人の年金が食い物にされてもかまわないと。
 年金は虎の子の老後資金となるものだから、安全確実なたとえば日本国国債などを投資先に選ぶのが普通だ。投資顧問業なるもの、たとえば、その最左翼は米国格付け会社であろうが、リーマンショックを予想できず、投資家に大損をさせたのは記憶に新しい。誰であろうと、ハイリスクのものは失敗する確率は高いのである。かたぎのものが株で短期的な売買益をとろうというのは間違いだ。それは投機家のすることだ。

3/02/2012

大きいことはよいことか(市町村の人口)

つい先年まで平成の大合併をした市町村域人口が拡大し全国市町村数も3,000以上から2,000以下にまで集約された。合併に際して特別交付税などのメリットがあったのと、なんと言っても、人口が増えれば町村から市へと、また同じ市でも中核市、政令市と自治体権限が増えることが魅力だったこともある。
 もちろん、近年の交通の便とか行政手段の高度化などの環境が変わったこともあり、適正規模人口、区域範囲が大きくなったこともあるが、広げるにしても、一体の自治体としての自ずからする限度もある。
 国、総務省のやることはそのことの理解が少ないように思える。大きくなることだけを奨励しすぎる。とどのつまりは大阪府と政令市の大阪市の二重行政として行き詰まり、本日のニュースになっている愛知県東浦町が無理に市に昇格するための人口操作となって現れたのだろう。

3/01/2012

増税と話し合い解散は秘密相談に限る

野田首相と谷垣総裁が秘密会談をしたとして大騒ぎになっている。 秘密なのだから両当事者ともに会談したとは言うわけがない。会談内容は増税法案成立とそのあとの話し合い解散であったことはまちがいない。連立組み替えだとしたら、党内関係者を引き連れないと、だいぶ前の野党民主党代表小沢氏が福田首相(いずれも当時)と決めた後の民主党内で認められなかった失敗の再現となる。
 民主自民両党ともに党内に増税反対あるいは追い詰めての解散を目指すグループが多いことから、下から積み上げての交渉なんかできるはずがない。野田首相が党首討論で公言したように、増税を党内決定するには51%をとればよいのだ。