石破候補が第一回投票で多数を得て、決選投票で敗退したのは2012.9の総裁選だった(下記リンク)。 このときは地方票が300、国会議員票が198と議員票が少なかった(野党だったので)。その後、地方票と議員票は同数となる。それはさておき、 ここで不思議なのは、地方票の投票と国会議員の投票の傾向が全く違うことだ。安倍vs石破で地方票は87,165、議員票(決戦)は108,89と逆になったことだ。 国会議員は衆院も参院もそれぞれの地方での選挙区の有権者から選出される。以上の矛盾からはこの国政選挙時の有権者と総裁選地方票(地方議員とか党員)の意向に明らかな乖離があることになる。有権者の自民党票と総裁選の党員とに母集団の違いがあることになるだろう。 理由は色々考えられるが、自民党総裁は総理になるので、国政選挙時の自民党支持母集団のほうを尊重すべきだろう。つまり、総裁選は議員票だけで実施する方が正統だ。 一方、地方票を含めた正式な総裁選は急を要する今回はとらない、という議論があるが、現首相の安倍氏は頭脳は確かで、総理大臣の職をしばらくは続けられる。だから総裁選に一ヶ月くらいはかけてよいのでは?
8/30/2020
8/22/2020
全員に補償が必要では補償できない
新型コロナウイルスの蔓延防止に「休業要請とセットで補償を」という主張が相変わらずみられる。
いまは休業に協力いただいた店などに協力金を一律に支払っている。補償となると実際に休業に伴って生じた損失を積算してそれを補償(80%とか)することになる。それには実際上困難な理由が二つある。
一つは税金で支出することになるので、厳密な計算と手続きの、役人(自治体)の仕事となることだ。役人は様々な公的事業を実施する仕事をしているので、それらに伴う補償事務は本来のものだ。しかし、それが何万何十万件と重なったら事実上パンクしてしまう。一件一件が税金を支出するものなので厳密な手続きが要請される。
全国民に一律に10万円を給付する特別給付金も大半に配り終えるまでに二ヶ月以上かかった。手続きは住民票との照合(住所があるか)だけだ。それでも大変な事務の総量(1.3億件だ)になる。実施されなかったが、影響(貧困)家庭に30万円給付する案は、件数は少ないものの一件あたりの審査事務が多くなるので、より好ましい施策だったが、迅速には支給できないことで断念された。
もう一つは「休業を要請した」店だけが損失を受けているかどうかだ。例えば国際空港のビル内の店にはそもそも観光客が来ない。これは出入国管理を厳しくした因果の行く末だ。普通の繁華街の店でも、客は感染を恐れて自ら出かけない。要請しなくても休業状態になっている。事ほど左様に、全商売が何らかの影響を受ける。これらを要請した店だけへの対応に限定してよいはずはない。「補償」という責任関係を厳密にする言葉を使うと全体に矛盾が出てしまう。
だから、協力金という一律にして、補償という責任ではありません、ということにしている。つまり「全員が困ったとき」には全員に対応しないのが公的存在だ。例えば、国が起こした戦争なのに空襲被害を受けた住民に補償はしない。
8/21/2020
感染者の数でなく伸びが問題
尾身茂会長が20日、日本感染症学会の講演で「全国的に見るとだいたいピークに達したというのが私たちの読み」との見解を示した。(共同) 「感染者累計は横浜のクルーズ船を含めて約6万人。6月末以降を流行の第2波と考えた場合、感染者数は約4万2千人で全体の3分の2以上を占める」と共同通信は付け加えている。この見方は一般国民を代表したものだが、感染症の再生産数の考えだと、この6月末以来の伸びが再生産の繰り返しの爆発的(オーバーシュート)なものになっていない。さらにその指数関数的倍率になっていないどころか、直線的伸びからも外れて、ピーク状態に安定しつつある。これを尾身会長は示したのだ。 一般の常識からすると一日新規感染者1,000人がもとの100人に戻らなければ正常だと感じられないだろう。しかし、ここは当初の目標の医療資源の範囲内に感染者数(重症者数)をおさえるために「ピークを均してきた」ことを思い出すべきだ。いまはかろうじてその目標内にとどめている。そもそも感染者数は目標とはなっていなかった(感染者数のオーバーシュートを避けることが目標)。