5/30/2014

北風が北朝鮮という国を動かす

 拉致被害者は北朝鮮側から見たら、対日交渉の大事なカードとなっている。拉致した当時の目的の対外謀略の人的資源としての価値はもうないだろう。
 折角の「人質」だから、大切に扱い、利用していくしかない、と合理的に思考するだろう。合理的思考ができると言うことは、「なじみの悪魔」になったということで、問題の解決はようやく見えてきた。結局は北朝鮮を取り巻く国際情勢の厳しさがそうさせたのだ。
 対露北方領土交渉も同じで、ロシア側をとりまく変化を待つしかない。また、南の韓国は合理的思考ができないので、交渉そのものが成り立たない。

5/29/2014

「自主憲法」という単なるスローガンに拒否反応する野党

 「自主憲法制定」にはだれも反対はできない。米国から押しつけられた九条をそのままあらためて自主的に制定することも自主憲法だ。
 このような文面だけで野党統合ができないのは「万年野党」に安住し自グループのスローガンを叫び続けることに価値を置いているからだ。
 自民党は議員の過半数を所属させるための知恵があるので、政権与党となっている。

5/28/2014

西沙諸島紛争の疑問二点

 中国の領土紛争二カ所に対する姿勢でわかること。
 対ベトナムの西沙諸島では自国が実効支配しているので、ベトナム船に体当たりなど無法行動に出る。対日本の尖閣諸島では中国公船は日本の海保巡視船に無線ないしは音声などで対抗する。実効支配されているからか、または、ベトナムを見下しているか、のどちらかだろう。
 もう一点、西沙諸島海域の石油基地は自国の領海(どこかの島から12海里以内)ではないのだろうから、両国のEEZが重なるとして、両国協議したらよいのではないか?協議しても実効支配が無効になるわけではない。

5/26/2014

タイのクーデタは「リセット」

 クーデタとはフランス語で「国家に対する一撃」の意味だが、タイのクーデタはその一般的な意味と少し違うようだ。タイは日本のような立憲君主制下での三権分立とは違う。三権の間で最終決定権限を持つものがいない。日本の国会が国権の最高機関と言われるのは、国民の選挙によって選ばれるからだ。タイではその選挙が機能していない。少数派がボイコットするのは、ウクライナでもそうだが、国民の間に選挙による民主主義が信頼されていないからだ。
 国王ないしは軍が暫定的に事態をあずかり、国民各派に一定の冷却期間を経たのち、元に戻す、という一種の「リセット」効果なのだろう。

5/24/2014

抵抗野党の戦術だ

 厚木基地への自衛隊機の夜間着陸を禁ずるのは騒音公害のためではない。米軍機は禁止していない(禁止できない)ので、これは(地裁)判決のみを得ようというだけのことだ。
 「トイレのないマンションだ」と核廃棄物最終処分の不備を原発反対運動の根拠とする。しかし、放射性廃棄物の地中処分に各地で同時に反対している。トイレをなくしておいてトイレがないと非難する。
 集団的自衛権の閣議決定に反対するのに「憲法改正で対処すべき」だというが、その憲法改正にも反対する。最初から自衛権に反対だと言えばよい(砂川判決で負けたが)。
 以上は少数派の徹底抗戦の戦術に過ぎない。

5/22/2014

個別的集団的の区別より自衛権一般への制約を

 集団的自衛権を行使できるようにする場合でも、憲法解釈変更でなく、改憲で対応すべきだとの意見がある。
 でも、憲法九条ほかには集団的自衛権はもとより自衛権の文言すらない(自衛戦争も禁じられている、と砂川判決以前は信じられていた)。書いていないものをどうして改憲できるのか?日本は国連に加盟している。その憲章には各国は自衛権があると書かれている。自衛権には集団的なものも含まれる。また、日米安全保障条約を米国と締結している。片務的だが、米国基地を日本国内に置く「集団的自衛権」的義務を負っている。
 だから、憲法に集団的自衛権は行使しない、とは書けない。また、行使できる場合も当たり前の具体的なことを憲法にまで書けるのか、という議論もある。
 個別的あるいは集団的の区別より、自衛権一般への制約が必要だ。過去の戦争は各国が宣言する「不戦の精神」にもかかわらず、自衛戦争だとして、侵略的行為を行ってきたからだ。日本も日中戦争勃発の理屈として盧溝橋事件で発砲を受けたことを「自衛戦争」の根拠としてきた。同発砲事件は八路軍が国民党軍と日本軍を戦わせるため秘密裏に仕掛けたという説もあるものの、「自衛」に名を借りた戦争は大いにあり得るのである。

5/20/2014

タイの軍隊は統帥権独立か?

 タイの国軍が治安維持のために戒厳令をひいた。クーデターではないという。
 タイの憲法が軍隊の指揮権をどこにおいているかは知らないが、三権からは独立しているようだ。日本の旧軍のように統帥権の独立というものだ。国王が指揮命令しているとは思えないので、軍の独自の判断なのだろう。タイは議会の中で対立が深まると、デモなどの実力行使が始まり、司法も介入して、国政が混乱する。それを収めるのが国王であり軍である、と考えるとわかりやすい。国が違えばやり方も違う。日本の旧軍みたいに対外戦争を勝手にやられるよりはよい。

5/16/2014

アラブ各国と日本の国民統一感の違い

 アラブの国々では政治的対立から国民的統一感が失われてしまう場合が見られる。シリア内戦ではシリア国民としての一体感があれば、あれほど悲惨にはならなかっただろう。
 なぜアラブでそうなのかは、過去の英仏の植民地(信託統治)政策による。民族の違いを無視した人工的国境。また、アラビア語がモロッコからイラクまで話されている。汎アラブ主義(アラブの国際主義)になる素地は、各国の国民意識を希薄にするという反面もある。イスラム教という宗教がスンニ派とシーア派の宗派対立を生んでいることもある。
 ひるがえって日本のことを考えるに、孤立した島国であることから、古来からの自然の国境で日本語の話者も日本国の範囲と同じで、仏教などの渡来宗教も国内対立を生むまでに高度に伝わらなかった。内戦も戦国時代あるいは戊辰戦争とあったが、天皇という精神(宗教的)中心があったので、決定的分裂にはつながらなかった。

5/14/2014

法治国家の議論は仮想敵も知るところとなる

 日本は法治国家だから、自衛隊の活動の根拠も自衛隊法などに置かなければならない。ただし、国防は相手国があることなので、事細かに自衛隊の制約を法制すると不利になってしまう。
 とくに、その基本となる集団的自衛権の合憲解釈に内閣の「自衛隊の制約条件」を定めるのは避けるべきだろう。必要なら国会での関連法の審議の過程で定めるべきだ。

5/12/2014

参議院の定数の根拠を公職選挙法に明らかにせよ

 参議院各県選挙区の人口あたり議員定数の不整合は長らく司法から指摘されてきた。倍率は少なくとも五倍以内とせよと。自民党の脇座長による参院制度協議会が出した11合区案はそれに少しでも答えるものとなって、二倍以下に格差が減少する。
 しかし、参議院は衆議院と違って(違う必要があって)、必ずしも人口比例代表でなくてもよい。米国上院のように各州二名ずつの地域代表であってもよいわけだ。司法はそのような判断ができないので、公職選挙法の参院の項にその旨書けばよいわけだ。

5/11/2014

税抜き価格表示はやめて総額表示へ

 財務省は今回の消費増税に際していままでの総額表示の義務づけを外して、税抜き(本体)価格と税額あるいは税込み価格の併記表示を許容した。一般には税転嫁が容易になると理解されているが、来年10月の10%への再増税をにらんだ二段階増税対策だ。わずか1年半で価格表示をさらに変えるのには手間をかけ過ぎで反発が大きくなると考えてのことだ。
 おかげで、スーパーなどの価格表示はいままでの5%込みの数字から、本体価格表示になって、一見安くなったように錯覚する。庶民は値段にはさといが、1.08倍する暗算は難しい。チラシなどでものの値段の変化に敏感だった主婦は混乱の極みにあるのではないか?変な話だが、計算が楽な10%に早くならないかと思うように誘導されているかもしれない。
 さらに、便乗値上げというか隠れ値上げの最たるものが高速料金の割引廃止だった。単独値上げだと世論の攻撃対象となるものが、大きな消費税値上げ時期に合わせれば目立たなくなる。電力料金値上げも同じで、中部電力は五月に再値上げ(平均3.77%)を「強行」した。消費税の2.8%の一ヶ月後の同程度であれば利用者の値上げ麻痺感覚が期待できる。デフレの世で、供給者側は値あげて販売が不振となることを一番おそれ、必要な値上げにも腰がひけていたのだろう。それを助けたのが消費税関連一斉値上げだった。これでインフレターゲットが達成できたというのだろうか、変な話しだ。

5/02/2014

集団的自衛権合憲解釈は内閣だけの解釈だ

 集団的自衛権の従来の内閣法制局による憲法解釈を変えるのは内閣の責任でできる。でも、これはあくまで、行政の内部での解釈だ。日本は三権分立だ。内閣で法律原案を作っても立法府でそれが「違憲だ」という理由で否決されることもあり得る。法律になったとしても、違憲訴訟がなされれば、司法の解釈があり得る。安倍内閣の合憲解釈に反対の国会議員なら、提出された法律案に反対すればよいし、一般国民なら個別事件に違憲提訴してもよい。それぞれを経た後は日本国の憲法解釈となるのであろう。
 最高裁長官の憲法記念日を前にした記者会見で「裁判所がその是非を言う立場には全くない。それぞれの機関で考えることだ」とし、憲法解釈は機関ごとにいろいろあり得るとしたのはその意味だ。

5/01/2014

いま起こっている人権侵害

 韓国ではいま公務員の不作為により修学旅行の生徒が生命を失うという人権侵害が進行中だ。中国でも、キリスト教会が宗教弾圧のため取り壊されるという信仰の自由の侵害がある。
 過去のそれも全てが人権侵害かどうかわからない慰安婦、その侵害者が国家かどうかの証拠がない「従軍慰安婦」で外交問題化させるより、また、南京において民間人が殺されたのか定かでない「大虐殺」を問題とするより、やめるべきは自国によるいまの人権侵害だろう。