6/30/2010

衆参ねじれはたまたまではなく、制度上の欠陥

 参議院は3年ごとに半数が改選となる。前回、平成19年では121人改選のうち全国比例区は48、各県毎の選挙区は73の定員だ(今回も同じ)。比例区での得票率が各党の実際の勢力だ。世論調査の支持率は圧倒的に多い支持政党なしと、投票となると意味のなくなる棄権(予定)票も母数に含まれるので、各政党の支持率は低く出る。
 比例区では第1党の民主党は40%弱、次の自民党は30%弱で、残りの3割をその他政党が分けた。比例区ではほぼこの比率で議席が決まる。民主党は20①(42%)、自民党は14(29%)、その他が14だった。
 選挙区の一人区は29②ある。これは小選挙区そのもので第1党がすべてとっても、選挙区の残りの18の複数区(定員合計44)では第1党は18(各区一人ずつ)+1(5人区東京で二人)=19③がよいところだ。勢力は40%弱で過半に達していないからだ。①②③足すと68となり、過半数の61をわずかに上回るに過ぎない。今回のように勢力の40%が衰退すれば、すぐに過半数割れとなる。比例区と複数区とで比例的性格が強い選挙制度だ。
 一方の衆議院の小選挙区比例代表併用制は第1党が過半数どころか、2/3の安定多数を占めることができる(ように仕組まれている)。だから、衆参ねじれは異常なのではなく、当たり前の結論なのだ。

6/28/2010

一部高速無料化は選挙対策

 今日から民主党マニフェストの高速道路原則無料化への第一歩となる地方の末端線あるいは枝線の無料化社会実験が始まった。
 でも、最終の「大都市以外は無料」への実験にはならない。地方の幹線を無料にしたらどうなるかが知りたい。これらの実験路線は無料にしても大した影響(良いも悪いも)はないだろう。もともと採算に合わない路線だから、有料道路で作ったのが間違いだったからだ。
 文痴の案は、建設費などを通行料で償還するのではなく、利用者の利便に応じた料金とすべき、というものだ。今の正規料金の半分くらいになるのではないか?償還に不足になる分は税金(自動車関係税)で埋めるべきだ。それで、渋滞が心配される路線はそれを解消するためのチャージ(上乗せ料金)をかければよい。

6/24/2010

小野善康教授の成熟社会経済学

 昨夜のBS8プライムニュースは小野善康大阪大教授とリチャード・クー野村総合研究所主席研究員が舌戦。小野氏は菅内閣の、クー氏は麻生内閣のアドバイザーだ。クー氏のバランスシート不況と総需要確保対策はおなじみのものだったが、小野氏の成熟社会の経済学は初耳だった。菅首相のいう第三の道の経済対策の理論となっている。完全雇用の成長経済(中国、インドなど新興国)の経済理論で日本などの成熟社会の経済はコントロールできない。失業者に雇用を確保するためには増税をしてまでしても意味がある、とのこと。増税して定額給付金(子ども手当)として現金を戻すのではお金が回るだけになる。雇用を増やす施策として戻すべきだと(タダではあげない)。
 菅内閣は、第三の道の施策例として介護、医療、環境を挙げているが、小野氏は社会資本でもよい、それが生産基盤の向上につながるという考えを排すべきだ、と強調する。供給力が過剰なのが問題なので、そのための投資という考えでなく、人間生活を気持ちよくするなど、の目的でよい、自転車道の建設なども、と説明する。
 文痴は2010.6.11に菅内閣の第一~第三の道、について書いたが、以上の議論では小野氏にとっても、第一の道(公共事業による内需創出)がまだ一部有効だ、ということにならないだろうか?社会資本は昔のように生産基盤につながらなければならない、という考えから広げて考えればよいわけだ。

6/23/2010

今度はマニフェストの減点評価

 昨年の総選挙で、民主党のマニフェストのすべての項目に賛成して投票した有権者はいないはずだ。その一部にポジティブに賛同して投票したが、政権交代してみて、目につくのはスルーしていた反対項目の方だろう。賛同項目の方は9ヶ月で実行されたからよかったが、反対項目の方は論議の対象となるものも多く、実行されないままのものが多いのではないか?政権にとって中間選挙となる来月の参議院選挙では、このネガティブな政策項目の是非の方が争点となりやすい。
 それらは、自動車関係税の暫定税率廃止(がマニフェストから落とされたこと)、高速道路無料化の継続、コンクリートから人へ、農家の所得補償の拡大、子ども手当の拡大、沖縄米軍基地の最低でも県外移設(前首相)などで、今度の選挙での審判は、これら問題施策の減点方式になるのであろう。
 マニフェストというものは、当初のポジティブな部分の評価と審判時反動のネガティブな部分の評価とを行き来するものだから、あまりに詳細なものは有害になるといわざるを得ない。代議制間接民主主義になじまないことは前にも言った。
 

6/22/2010

サッカーはチームプレー(改めて確認)

 ワールドカップ南アフリカ大会が進んでいる。昨夜はポルトガルvs北朝鮮戦を見た。7-0の大差で葡チームが勝ったが、注目の的は同チームFWのC.ロナウド選手がナショナルチームとして久しぶりの得点を挙げれらるかだった。7点のうちの1点は彼の得点で、それはそれで熱狂の的だったが、FWとして何点挙げたかというのは本質的ではなく、チームとして何点得点した(させた)かが唯一の評価につながる。
 ロナウドは守備への参加が消極的だ。それと、世界的な知名度(へのやっかみ?)からか、葡チームでは何となく浮いているような感じがした。名ストライカーはシュート前のアシストの球出しをもらってこそ、得点のチャンスとなる。そのような球がロナウドの前には来ない。他の選手のアシストが下手なのかもしれない。この試合では、ロナウドは名アシストに徹し、その結果、3点ほどの貢献になったのではないか?
 スペインリーグのチームでは最高得点を挙げている。それはそのチームだから出来たことではないか?
 日本チームの本田選手のカメルーン戦での得点も、アシストの松井選手のビンポイントパスが最大要因だった。

6/19/2010

実施しない政策、というのもマニフェスト

 二大政党制の幕開けと期待したが、「不満」の自民党が伸び悩んでいると思ったら、鳩山政権下の「不安」の民主党が低落し、菅内閣で期待度が高まった。
 「不安」の民主党がやるべきは不安感を解消することだ。マニフェストで「これこれの施策はやりません、反対です」というのも一つ方法だ。選挙対策で、党内少数のあるいは連立政党のそれらの政策を強行するのではないか、というのが不安となって、安定した支持層になっていない。鳩山政権末期の20%支持というのが、安定支持層がそれしかない、という証だ。
 民主党、自民党の政策の間には共通部分がほとんどで、消費税論議を避けないというのもそれだ。そこを際だたせるのが二大政党制の成功につながるのではないか?

6/16/2010

鳩山由紀夫氏の裸踊り

 鳩山前首相ツイッター「裸踊り」が議論を呼んでいる。突拍子もない言葉なので、誰かのなりすましか?との疑惑だったが、本人のものだ。「新しい公共」という裸踊りをリーダーとして一人で踊り出したが、最初に踊りに加わるフォロワーが重要だ、とのこと。政権末期にフォロワーが現れなかったのだというのか?紹介するユーチューブの画面では、リーダーの一人踊りに対し、一人のフォロワーが現れたのちは、参加者がみるみる増加する。
http://www.youtube.com/watch?v=qdwO1l5nKyg
 以上は社会現象といえる。前首相が大事なこととして紹介しているが、なんのことはない社会心理学の範疇だ。鳩山氏が一人裸踊りを始めて、新しい公共を唱えたのに一人のフォロワーも出現せず、その結果、多数の同調者も現れなかったのは、社会心理学というより、提唱することの是非の方に異論があったからではないか?「裸の王様」踊りの方がぴったりだ。

6/15/2010

志の輔師匠の温暖化理論への疑問

 立川志の輔は毎日新聞都内版にコラム「ピーピングしのすけのふしあなから世間」を連載している。6/11は「地球温暖化の原因は」のタイトルで。「先日、週刊誌に地球温暖化は人為的原因で起こっているのではないというコラムがありました」と紹介し「どういうこと?読み進むと」びっくりし「お願いだから本当のことを教えてほしい」という。「でも、たとえCO2が原因じゃなかったとしても・・・省エネ生活を心がけるのはいいことですよね?」と、普通の人が目的とするMOTTAINAIからくる生活は変える必要はないのではないか?と。
 国立環境研究所の江守博士が書く「地球温暖化の予測は正しいか?」など「環境省ほかが提示する資料を頼りにするのが安心」とあまたの「地球温暖化懐疑説」の読み切れないほどの資料は安心でない?と思い直している。(以上、「 」内は引用)
 行ったり来たり、ですね。マスコミほかが「地球温暖化の予測は正しい」とエセ科学で一般国民をミスリードするから、初めて懐疑論に接すると、以上のようなびっくりコラムが出てくるのではないか。

6/14/2010

賭博は暴力団関係のみへの議論に

 賭博には公営の競馬競輪あるいは宝くじなどがある。それら公営の営業妨害になることから公認以外の賭博は禁止されている。しかし、麻雀などの賭博は少額なのでお目こぼしにあっているのではないか。
 琴光喜関の野球賭博は掛け金が多額(数千万円)かつ暴力団に資金が流れていることから警察が問題にしている。相撲協会はそこのところの区別をわかっているのか?すべての関取に期限を切って申告させようとしている。砂かぶりの席チケットの暴力団への譲渡など、関取と暴力団とのつきあいのほうを問題にすべきだ。

50%が去り40%が戻った理由

 菅内閣が発足してすぐの世論調査は「支持するか?」ではなく「菅内閣に期待するか?」の問だったらしい。鳩山内閣最後の支持率が20%でそれが一日にして60%に期待度が跳ね上がった。両内閣で違うのは社民党が連立離脱したのと、首相(当たり前ですが)、官房長官、二人の副長官(政務)が替わった(官邸のチームが替わった)ことぐらいだ。ほかの十数人の各省大臣と民主党議員は変わっていない。
 期待度だからいずれ支持にはつながらないものもあるかもしれない。それにしても、政権発足時の70%から離脱した50%と今回戻った40%は何なんだろう。こういうのを風に吹かれる浮動票というのか。個々の有権者の「理由」をリサーチするのが、政治記者の仕事だと思う。

6/13/2010

有権者はすべてを見通して投票する

 鳩山内閣時代、衆院では一日審議で強行採決したわけだから、郵政法案を参議院で同様のことができないわけはない。会期だって、7/25の参議院選挙をもっと遅らせることにより、大幅延長もできる。
 すべては選挙に対する影響を考えてのことだろう。国民新党が菅内閣から離脱しないのも、郵政票の鼻先ににんじんをぶら下げた方が選挙のためになる、と考えたからに違いない。
 ただ、郵政票を含め有権者はそんなにバカではない。国会の予算委員会での追求が衆参一日ずつで終わっても、そのあとに、マスコミの追求とそれを見て判断する国民の勉強期間が何週間もある。

6/11/2010

第一~第三の道すべてが必要

 菅首相の所信表明演説で経済政策には公共事業中心の第一の道、生産性重視の第二の道があったが、自分は第三の道を選ぶとして、経済社会の課題解決により需要と雇用問題を解決する、とした。
 文痴は第一~第三のすべてが必要だと思う。バブル崩壊後、第一の道の有効性が問われた、としたが、内需不足への対応が過小だったから、あと一歩有効に足りなかったのではないか?もし公共事業投資など内需拡大策がなかったら、経済は惨憺たるものになっていたはずだ。
 「コンクリートから人へ」のスローガンは第一の道を全否定するものだ。しかし、第一の道だけでは現今の複雑な機構をなすデフレ経済の克服はできず、有効需要の創出以外に、その恩恵を国民各層に及ぼす第三の道、すべてを組み合わせるという柔軟性が欲しい。

6/09/2010

ご祝儀支持は菅直人氏にとって意味がない

 マスコミ各社の菅内閣支持に関する世論調査が内閣発足後早速行われ、発表された。ご祝儀支持というやつで、民主党内閣としての支持率がV字回復した。
 菅内閣はこれから仕事をするわけで、まだ、良いも悪いもない段階でなぜ調査ができるのか?また回答する国民も何を根拠に支持不支持を言えるのか?新人への可能性を伸ばすためにとりあえずは評価して持ち上げようという、日本人のあたたかな心配りだろうか?菅氏がその程度で良くなったり悪くなったりする「うぶ」な心を持っているはずもないベテランだということを失念しているようだ。
 また、仕事をするいとまがなく、選挙に突入するのなら、評価ができないまま投票先を決めなければならないが、さあどうする?

6/08/2010

幹事長辞任でけじめ、では疑惑を認めたことになる

 枝野民主党幹事長は就任会見で小沢前幹事長の政治とカネの問題について、幹事長辞任で政治的なけじめはついたとし、進行中の検察審査会の手続きなど法的問題への影響を避けるために「防御権」があるとし、国会での証人喚問などへ慎重な姿勢を見せている。
 さすが、弁護士出身だが、政治家である小沢一郎氏には一般的な「防御権」より国会で説明責任を果たすという義務の方が大きいのではないか。国会で自身の疑惑について政治的に説明をするのは政治家本人の権利でもある。
 「けじめがついた」を言葉どおりに受け取ると、疑惑が解決できないので、その責任で幹事長職を辞した、ということになる。

6/07/2010

不正改造車と選挙時政党不正改造

 今朝のTVで不正改造車の問題をやっていた。幕張PAで検挙された車は不正改造車のシールを貼られる。二週間以内に改造部分を元に直して、車検場に持っていかなければならない。改造者にインタビューしたら、車検が終わったらまた改造するとのこと。いたちごっこだ。
 コメンテーターの一人が「自民党の郵政議員隠しと同じだ」と、前々回の郵政選挙で郵政議員は公認を外れたが、選挙後、自民党に復党したことをあげていた。
 民主党の今回の菅内閣も同じではないか?選挙モード対応内閣だ。小沢一郎を隠して選挙に臨み、勝った後は、小沢一郎氏を復権させる。勝たなかった場合でもそうする。前者の場合は3年間の安定政権のためには民主党内最大グループの小沢氏を抜きには政治は出来ないし、後者の場合でも、政界再編あるいは連立組み替え(ですむかも知れないが)には小沢氏の力量が必要だ、というわけだ。

6/06/2010

小沢反小沢出来レース説

 絶体絶命だった民主党は鳩山小沢のW辞任で息を吹き返した。だがそれだけでは参議院選挙に勝てるところまではいかない。「小沢外し」の演出が必要で、その線で進んでいる。
 参議院選挙にそこそこの結果を残し、あと3年の安定政権になったら、小沢グループが表に戻る、という約束ができているのではないか?この前の首相幹事長会談で。

6/03/2010

H20はリーマンショックでゴミも減った

 文痴は環境問題、とりわけ、廃棄物ゴミ問題に興味を持っている。なぜ人はゴミを出すのか?なぜ出す量を減らせないのか?ゴミ問題の解決策として、3Rということが言われている。Recycle,Reuse,Reduceの頭文字を採ったゴミ減量運動だ。リサイクルすれば捨てるゴミは減る、それよりも、再び同じ用途にリユースすれば、最初からゴミにはならない。ゴミになるようなものを作らない(リデュース)ことが基本だ、ということであった。
 一般廃棄物というのは、工場事業場から出る産業廃棄物に比して、家庭ゴミのことである。日本だと一人一日あたり1kg強排出(ゴミが出る)という統計がある。全国で一年間5,500万t出たのがH12で、ピークだった。上記の3Rの推進でゴミの量は徐々に減ってきたものが、びっくりしたのはH20には急減し、4,800万tになった。13%の減だ。前の年からは5%の減。それまでは毎年1%程度の減でしかなかったから、驚きだ。理由はH20後半のリーマンショックによる景気低迷らしい。つまり、ゴミを減らすには、また、それによって環境問題を解決し、ひいては二酸化炭素排出を減ずるには、景気を悪くすればよい。コロンブスの卵だ。逆に言うと、景気に影響せずに(GDPを減らさずに)、環境問題を解決するのは非常に困難だ、ということになる。
文痴の関連する論文「温暖化ガス削減より「もったいない」を」を読んで欲しい。

6/02/2010

鳩山政権八ヶ月で崩壊は自損事故

 鳩山内閣が8ヶ月の短命に終わったのは、できもしない政策を掲げて結局できなかった、自滅ではなかったろうか。四代続けて1年前後の短命内閣とのそしりは、安倍内閣の場合は病気だったし、麻生内閣は総選挙敗北だったから、「他滅」で比較できない。
 鳩山氏が民主党議員大会で辞職の演説に「国民の皆様が聞く耳を持たなかった」と理由をあげたのは、上記のことを説明する。国民がせめて聞ける政策でないのだから、自分の政策が悪いのであって、国民のせいにしてはいけない。ここのところが短命に終わった最大の理由だ。自民党の三代と比較してはいけない。

鳩山首相のサムアップ・サインは何の意味?

 本日、民主党の議員総会で鳩山首相が辞意を表明することになった。下々の下馬評では、昨夜の親指立て(サムアップ)はVサインと噂され、続投を幹事長(参議院民主党)に宣言したことからと解釈された。しかし、小沢幹事長も道連れ辞任ということになると、そちらのVサインだったかもしれない。
 いずれにせよ、宇宙人的ジェスチャーに地球人が翻弄された、ということか?

6/01/2010

参議院民主党の反乱へ

 どうやら鳩山首相に辞める気はないようだ。総理大臣を辞めさせるのは日本の議院内閣制では不可能に近い。ただし、衆議院の多数の意志があれば可能だが、安定多数をもち任期を三年以上残す民主党衆議院議員にその気は起きない。
 選挙を直前に控える参議院はそうでもない。首相指名更迭権限はないといっても、法律の制定権限の二院制の一院として国権の最高機関としての力がある。つまり、ここのところで、行政府を揺さぶることができるわけだ。二院制のなかで埋没するといわれている参議院の面目躍如というところになるのではないか。