5/30/2012

原発再稼働は国の判断で、首長は従うべき

原発特に関電大飯原発を再稼働させるかの最終判断をすべき時期となっている。いかに民主主義といえど、議論を延々と続けるわけにはいかない。原発は国家的な広域政治課題だから、国が決断すべきだ。もちろん、福井県ほかの地元の意向は尊重した方がよいが、それを踏まえても、場合によってはそれら意向に反した結論を出すべき時もある。

有権者は一方で国会議員と間接的ながら内閣の構成を選んでいる。また一方で、地方自治体の首長、議員も選んでいる。その中央と地方の結論が違うこともあり得るが、そのときはどちらの行政課題か、ということで判断すべきだ。原発は中央政府が決める事柄だ。

橋下大阪市長などは国に対して意見を言っているだけで、国が最終結論を出せばそれに従うのは当然だ(と考えているに違いない)。

5/28/2012

福島4号機現場その2使用済み燃料の保管方法

四号機の使用済み燃料が建屋四階の巨大なプールに保管されている。水面には白いシートが被されていて燃料棒の状態がどうなっているのかわからないが、例えば水の中で散乱していたとしても、むき出しになるなどの危険な状態ではなさそうだ。

使用済み燃料など残留の熱あるいは放射性物質をもつものは、水槽のなかで、安全に取扱ができるようになるまで長期間保管するのが合理的だ。水中にあれば、直接大気中に漏れることはなく、必要であれば汚染された水を処理、循環するのに便利だ(事故後緊急冷却も水処理循環方式だった)。

問題だったのは、事故の危険性がある原子炉のすぐそばに燃料プールを置き、それも、高い位置(4F)だったので、耐震性に問題(トップヘビー)があった。今回、幸いにも燃料用プールの構造体に損傷はなかったようだ(今後の大地震に備えて補強をすると聞く)。原発敷地内の、原子炉から十分離れた高台に巨大なプールを建設し、そこで、長期間監視をする方法をとれなかったのだろうか?地中に永久埋設処分するより、人の目に触れる場所で長期に監視できるほうが安全だ。

5/27/2012

福島4号機事故現場は危機管理の教室その1

福島第一原発の4号機が事故後初めて公開された。水素爆発の現場はすさまじい破壊状況だった。

ウラン燃料ペレットを被覆するジルコニウムから高温になれば水素が発生し、それが空気中で所定の濃度に達すれば、爆発的燃焼をすることはわかっていたはずだ。問題は密閉された原子炉建屋の中で爆発すれば被害が甚大になること。あらかじめ水素を逃すために建物上部に「穴」をあけておくとか、周囲の壁で特に弱い部分(ヒューズ的役割)を作っておけば、これほどの破壊は起きなかったと思われる。

このように気密性にこだわったのは、日常の微少の放射能漏れを完璧に防止しようとしたからではないか。微少であれば周辺住民の健康被害には及ばないが、「ニュース」になるのがいやだったのだろう。大同小異という言葉がある。小異(日常の微少な漏れ)は大同(危機管理)の前に捨てる勇気を持たなければならない。

その2ではプールの構造。

5/23/2012

民主党は政治の透明化を間違えている

野田首相・民主党代表が元代表の小沢氏と消費増税法案への対処について会談するのに輿石幹事長の仲介が必要だという。同じ党の代表経験者には自分で連絡したらどうだろうか?さらにおかしいのは、この連絡プロセスがすべてマスコミの報じるところとなっていることだ。輿石さんは小沢さんに連絡しなくとも、小沢さんはTVなどでもはやご存じだ。

いくら政治の透明化が必要だといっても、党内の会談のセットのプロセスまで出すのは出し過ぎだ。会談結果を必要に応じ公表すれば足りる。

5/20/2012

FTAは現地生産化のまえに無意味

日中韓で進めているはずのFTA(自由貿易協定)交渉がいつのまにか中韓二ヶ国で先行し、日本があせる、という話になっている。

日本は環太平洋諸国との間でTPP交渉も進めている。これは多国間のEPA(経済連携協定)で、貿易だけに絞ったFTAより幅広い。

FTAのほうはグローバル経済の時代に大した意味合いはないのではないか?とくに工業製品などは現地生産化が進み、日本の会社の現地工場が生産するから、輸出入とはならず、関税など貿易障壁は無関係だ。

5/18/2012

古賀茂明氏は環境テロになるのか?

大阪市顧問の経産官僚OB古賀茂明氏がTV番組で「関電は原発を動かすために火力発電所をわざと故障させる(故障の復旧を遅らせる)可能性がある」との関電陰謀説を披瀝した。関電は猛烈に抗議している。

関電を停電テロと言っているのだろうか。シーシェパードの逮捕された船長もそうだが、世の中へのきわどいPRがお好きなようだ。これも環境保全へ資する行為だと思っているとしたら、恐ろしい。

逆に、関電が停電テロを起こさないのならば、これら一味がわざと関電の仕業のようにして、火力発電を故障させるということもあり得る。昔読んだトム・クランシー「今そこにある危機」に生き生きと描き出されている環境テロリストのことを思いだした。

5/17/2012

尖閣衝突被疑者セン船長は日本国内にいてもらう必要があった

一昨年の九月、尖閣諸島海域で巡視船に体当たりし、いったんは逮捕された中国船のセン船長に対し検察審査会が強制起訴手続きに入っていた。裁判が成立するためには、起訴状がセン船長に届いて、那覇まで出頭することが必要だが、起訴状は中国政府が届ける仲介をしなかったので、期限が来て、裁判は中止となった。

馬鹿じゃないか。中国政府は尖閣諸島の領有を主張しているので、日本国の裁判を認めるはずもないし、セン船長に届いたとしても出頭するはずもない。日中間には被疑者引き渡し協定もない。

それらのことがわかっていて、検察審査会の制度を実施に移そうとする意味がない。世界の笑いものだ。実効あるものにするなら、被疑者を国内にとどめておく必要がある。保釈したとしても、検察審査会の対象となる可能性があるので、帰国させては駄目だ。

5/14/2012

橋下市長は(隠れ)原発再稼働容認

橋下大阪市長は関電の経営に対して注文があるだけなのではないか。

同盟する東京都の石原知事が基本的には原発再稼働容認なのに裏で合わせているのかもしれない。推測するに、市長は石原慎太郎別働隊となって、民主党政府とか関西の原発反対知事たちへ揺さぶりをかけ、実は原発再稼働へ「政治的に」スタンスを自在にしているのだろう。

政府は第三者委員会の電力需給予測の結論を待って、関電管内ではこの夏のピーク時には20%の節電要請と場合によっては電力制限令発動と計画停電の用意、西日本の電力融通が必要な場合の各電力会社管内での節電要請などを相次いで発表した。

これらは全て大飯原発再稼働のため連動しているのではないか?

橋下市長は直接民主主義を志向しているように見えるが、実は違うのではないか?日本国は有史以来直接民主主義だったことはない。ギリシャ(都市国家)のような小国とは違う。我が国の間接民主主義では有権者に右顧左眄せず任期中は政治家自ら決断しないといけない。

民主党政府でなければできなかったことその3

文痴は自公政権から民主党に政権交代したせめてもの利点を「民主党政府でなければできなかったこと」(その2も)に書いた。

もう一つあった。中国政府に弾圧されている新彊ウイグル地区のウィグル人の抵抗運動を国外で支える世界ウイグル会議が今年は東京で開催される。中国政府の非難にも関わらず、会議の議長のラビア・カーディル女史の入国を日本国政府が認めたことだ。

外務省は一貫して対中国の摩擦を嫌っている。民主党政権の外務大臣なり首相の強い「政治主導」がなければ、実現しなかったろう。そういえば、チベット亡命政府のダライラマ14世あるいは台湾の李登輝元総統の入国問題でも何回か中国の非難を無視していれば、日常のこととなった。自民党政府時代は逆に中国のことを配慮しすぎて、なかったことだ。

仮設焼却施設の耐用年数いっぱいでの処理(震災ゴミ)

東日本大震災の主として岩手宮城福島三県の災害ゴミ(がれき)が膨大(2,200万トン)で、仮置きされたがれきの処理が進んでいない。

日本全国でがれき処理に協力しようという動きになっているが、これは「絆」を確認する意味であって、運搬費が膨大になるために、現地で処理処分するのがメインとなろう。処理には大半を占める可燃性のもの(木質ゴミ)の焼却が欠かせない。臨時に設置する焼却施設に大幅に頼ることが合理的だ。この場合、例えば三年程度の短期に処理しようとすれば、この仮設焼却場を数多く設置しなければならず、費用もかさみ、終了後に残る施設の始末にも困る。

焼却施設はその耐用年数いっぱい稼働させ、その期間で残存がれきが全量処理できるように、施設基数を決めたらどうか。三年程度でなく、耐用年数の例えば十五年(?)くらいかかるが、仮置きゴミがいつまでも残り「めざわりだ」という気持ちを抑えてもらうことが必要だ。少しずつではあるが、ゴミの山が減っていくことに期待するというように。

5/13/2012

電力確保は国家の大事、地方自治より優先

大阪市民を中心として関電管内の家庭でこの夏のピークに節電の協力ができるなら、大飯原発の再稼働は必要ないかもしれない。そして、原発代替の火力発電所でかかる燃料費の増額による電力料金の値上げを認めてもらえば。

しかし、電力利用者には家庭だけでなく工場事業場(病院など)もある。それらにはこれ以上の節電が無理なところもあろう。計画停電となれば、対応できないところもある。そしてなによりも燃料は輸入に100%頼っている。ホルムズ海峡が紛争により封鎖されたら、全国が停電となってしまう。

これらの事情を全て勘案して、原発再稼働をすると政府は決断した。地元の福井県、おおい町、関電圏内の府県市の意見を聞くということで、いつまで政府は待つのだろうか?電力確保は国家の大事だ。地方自治とか直接民主主義とかは最後は遠慮してもらわなければならない。

5/12/2012

消費増税法案への反対与党議員は委員会質問にたて

民主党内で野田内閣提出の消費税増税法案に反対の勢力がある。与党がこれでは、野党が国会審議に協力するのは困難だ。

それら反対勢力の議員に委員会質問をさせたらどうか?国会というのは便宜上、与党と野党に分けているが、もともとは一人一人の議員の総意(多数決で)が立法につながる。与党議員が内閣提出法案へ全面的に賛成なら(普通はそうだが)、質問する意味が薄い。

質問をさせて、もし、与党が選んだ内閣の方針と大幅に違うようであれば、党を割る(その議員は野党になる)のがわかりやすいし、有権者への礼儀だろう。

5/08/2012

もうこれ以上の対策は諦観せよ(原発)

原子炉の安全性についてはいまひとつわからないところがある。だから、絶対に近い安全性を求めるのは最初から無理なのだが、それでもという人は、可能な限りの対策で「安心の確保」を求めることになる。

安心の確保に手間とか金が余りかからないのであればそれでもよいだろう。しかし、電気料金値上げなり税金投入が大幅に必要となれば、それでも更なる安心を求めるだろうか?東電とか関電での経営努力を遙かに超える対策規模になっている。安心料は自腹となるから、いい加減のところで手を打ったらどうか?

先日の茨城などの竜巻被害は自然災害なので、再度災害を完全防止する「絶対安全」の風潮にはなっていない。人災での責任者への賠償追求といったことができないからだ。日本人の自然災害への諦観というものかもしれない。通常可能な対策をとったうえでの原子力災害も自然災害と同じく諦観できないものか?

5/03/2012

関電にも予備率10%が必要(15%不足だけではない)

関電が大飯原発を再稼働しない場合の今夏の電力不足率は16.3%と発表されている。第三者委員会での再検討でも15%は不足するという。
ここで、何パーセント不足するから、それをちょうどゼロにするように節電努力を積みますとか、老朽火力を再稼働するとかいう話にはならない。ゼロに加えて「供給予備率」というのも必要だ。夏のピーク時にたとえば火力発電所の一部に不時の停止があった場合、そのときに緊急発電することも見込んで、余分な供給電力を考えなければならない。

供給予備率は最低10%程度は必要ではないか。だとしたら、関電ではもともとの不足分15~16.3%とあわせ合計25%以上確保しなければならないことになる。この不足幅を埋めるのに、「不確実」な節電努力では無理で、原発再稼働あるいは東電みたいに休止火力発電所の再稼働を図らなければ「確実」とはならない。

東電はじめ関電以外の電力会社で供給予備率の確保はできているのだろうか?

5/02/2012

関西節電夏の陣(社会実験の始まり)

関電大飯原発3,4号機の再稼働ができなければ、この夏、原発ゼロになるであろう。野田首相は在米中、同行記者団にそう語った。
当たり前だ。困るのは関電が電力を原発をもっともあてにして供給する関西地域となるに違いない。大阪も京都も滋賀もトップがそれでも構わないと言っているのだから、好きにさせたらよい。

この夏の関西地域版「節電社会実験」の始まりだ。

東電管内では一年前、計画停電という混乱を経て(これも一種の社会実験)こりごりしている。ただし、東電管外の新潟県とか事故を起こした福島県にお願いはしづらいから、原発再稼働には黙っているしかない。