11/26/2010

CNNもだめではネットしかない

 ユーチューブに尖閣衝突ビデオを投稿・公開した海上保安官はそのまえにCNNの日本支社に匿名投稿したという。なぜ米国のCNNなのかというと、日本のマスコミは政治と裏のつながりがあり、だから、それらでは秘密ビデオの公開につながらないと恐れたのであろう。それが米国マスコミでも駄目で、ユーチューブになったのだが、そのことからも、あるいはGoogle等のネット(ユーチューブ)でもIPアドレスを最後は捜査当局に公開してしまうなど、内部告発者(情報提供者)の保護という原則がないことがわかった。
 情報源を守るというマスコミの最低義務を忘れた所業だと思う。ビデオが公序良俗に反するかどうかが公開の基準となるが、マスコミ自身が民主党政府に反対しているくらいだし、それは自身で判断すべきことではないか。こういうときにこそ、お上と違う見解に立つのがマスコミだ。
 日本のマスコミを通じた公開であってほしかった。既存マスコミがネットに負けた瞬間ではなかったのか?

11/25/2010

北朝鮮国家としての愚行に説明がつかない

 米国の科学者にウラン濃縮施設を見せたとか、大延坪島へ白昼砲撃したとかは、はたして北朝鮮の国家としての合理的な意志によるものだったのか、はなはだ疑問が残る。行動の結果が、中国を含む国際関係に明らかに不利になるからだ。友好国(と言われている)中国も戸惑っているように見える。
 だから、一連の愚行(とみえるもの)は隠されている国内問題が原因なのではないか?金正日体制初期のラングーン事件とか大韓航空機爆破事件も金正日体制を盤石にする意味があった、と言われた。「盤石」にするというより、政権初期の内部対立のとばっちりが外に出た、と言うのが真実なのではないか?
 いずれにせよ、北朝鮮の現体制が崩壊して内部の事情が遡って解明されればわかる話だ。合理的に考えて変だなと思われる説は信じないことだ。
 北朝鮮は瀬戸際外交を常道としている、という解説もあるが、その結果がよくなければ、それは「瀬戸際」と言われる資格がない。

11/23/2010

法相心得「二つのこと」に安住しなければよい

 辞任した(更迭された)柳田前法相がその原因になった「二つのことを覚えていればよい」の基本は本当だ。各省の仕事には官僚が担う行政部分とその上の政務三役が担う政治部分がある。後者が政治主導の対象となる。法務省の日常はこの政治主導部分が少ないのであろう。二つの基本は行政部分の長としての最低限守るべきことだ。政治主導があるとすれば、個別の案件では検事総長に対する「指揮権発動」だ。尖閣衝突漁船船長を釈放したときが実質そうだった。隠してはいたが、法相をとおりこして総理あるいは官房長官主導だった。だから、法務大臣は専門家でなくても、初任大臣でも十分つとまる。ベテランだとかえって二つの基本から逸脱する恐れがある。
 柳田前大臣は「二つのことはある」と紹介したうえで「政治部分では法務省を政治主導している(したい)」と答えておけば、単なる前自民党政権時の暴露で終わっていただろう。

11/16/2010

組織の懲戒処分は受けても国民として必要な行動だった(神戸海上保安官)

 神戸の海上保安官が①国家公務員法守秘義務違反の罪に問われるか②国土交通省の組織内部での懲戒処分を受けるかは、それぞれ注目すべきことだとは思うが、それ以前に、国家組織に属する公務員が国家の犯罪(と判断したとき)を暴く秘密情報に接したときどう行動すべきかの大問題の存在がわかった、ということではないだろうか?
 一般の民間組織(会社など)に対しては、公益通報者保護法があって、たとえ通報した組織員がその組織に不利益な情報を外部に漏らしたとしても公益に合致していれば保護される、というものだ。公益を守るべき国家組織がその公益を守らない行動で情報を秘匿し続けたら、内部にいる公務員が国民の「公益」のために暴露するのに何の不都合があるだろうか?海上保安官は公務員である前に国民なのだから。
 もちろんだが、①と②の処分は受けることになるだろう(保護はされない)。①は不起訴、あっても略式起訴で微罪だろう。②は結果的に国民の支持をほぼ得られていることから、処分したとしてもごく軽いものにしないと、行政組織自体が国民に背を向けることになる。

11/15/2010

能面(胡)にはメモを読む(菅)という、意趣返し

 APEC横浜で菅首相が中国の胡錦涛主席と会談できた、というのが大ニュースと成り果てている。会談したのは中国側の事情によるもので、菅首相が、相手が会いたくないのならそれはそれで仕方がない、国際社会で行動する大国としての意識を持ってほしい、とコメントしたのは正しい。
 それよりも、菅首相がメモを読み上げるスタイルをとったことに非難が集中しているが、適当だったのではないか?胡氏はにこりともしない、無礼な態度だ。首脳外交なのだから微笑だけでも親善への努力はしてほしい。だから、菅首相はメモを読むという「失礼」で返答したのではないか?

第二次日露戦争で決着?

 ロシアが第二次大戦(の終戦後)でソ連(当時)が獲った北方領土を返還しようとしない。日本の固有の領土と認めていながらだ。
 第二次日露戦争が必要らしい。戦争で獲った領土は戦争でしか取り返せない、という鉄則はあるが、その意味でなく、ロシア帝国~ソ連~ロシア連邦と国名は変わったが、ロシア国民は「日露戦争で負けて悔しい」気持ちを持ち続けているのではないか?
 同様のことが韓国(北朝鮮)にもある。独立戦争を日本と戦ったわけでない。中国も同じだ。宣戦布告なき支那事変のまま泥沼状態で、交戦相手の日本は米国に負けたのだ。
 米国は降伏した日本が米国製憲法まで受け入れ、その後も米国の庇護に居続けたので、沖縄を返還した。世界史では平和的に領土が返ってくることは希有のことだ。

11/14/2010

ミャンマーと中国で違う弾圧の仕方

 ミャンマーのアウン・サン・スー・チー氏が自宅軟禁を解かれて、NLDの支援者がお祝いに自宅前に詰めかけ気勢を上げた。ミャンマー軍事政権の独裁ぶりは非難されてしかるべきだが、中国政府のノーベル平和賞受賞の劉暁波氏の扱いに比べると、なんとなく緩いものを感じる。スーチー女史は軟禁と言っても自宅にずっと住めた。劉暁波氏は監獄で幽囚される。支援者は劉氏の妻の暮らす自宅からはブロックアウトされる。
 ミャンマーは小国で、国際的な圧力により軟化せざるを得ないのか、それとも南国特有のいい加減さなのか?

11/11/2010

ミャンマー政府にも劣る今回の「秘密」への対応

 今回の守秘義務違反について、このビデオ画像を含め何が守秘義務の対象になるかの検証は大切なことだと思う。この検証がいつもなおざりになっているから、関連で言えば、個人情報保護法を過剰に解釈する弊害にもつながっている。
 旧ソ連崩壊直後のシベリアに行ったことがある。ソ連時代は空港付近の撮影は硬く禁止されていた。崩壊後は秘密ではないはずだが、惰性なのか、空港係員とか一般市民乗客から撮影は駄目だと余計な指示をされた。守秘の範囲がわからないときはすべて秘密となってしまう。以前の官庁の仕事も過剰に「部内秘」の扱いをした。しかし、これは裁判に出されれば通用しない役所内部だけの決まりに化している。
 今回の流出事件は刑事事件上は立件に微妙なところがある。しかし、行政組織内の統制ということでは問題が多い、との識者の声だ。その際、なぜ守秘事項なのかの検証が行われないと、すべて怪しいものは秘密にしておけば問題ない、という昔の組織の論理に返ってしまう。民主党政府の目指すものと反対の方向に向かう危険性があるのだ。
 評判の悪いミャンマー軍事政権だが、同国を訪れた際、空港などを始めどこでも写真撮影は問題なかった。Googleアースなどで宇宙から見られて公表されているものを地上で秘密にしても仕方がない、との合理的判断によるものらしい。ということは、我が日本政府はミャンマー政府以下の判断力しか持っていないことになる。

11/10/2010

神戸の海上保安官の覚悟の行動

 神戸の第5管区海上保安本部の保安官が漫画喫茶から尖閣ビデオを流出させたと自首した(するようである)。最初から計画していた行動ではないか?微罪あるいは無実が予想されるので、流出ビデオを見た国民の間に「流出行為」の是非について議論してもらった方が結果はよい。何を議論して、どのような結論に導くかは、政府あるいは既存のマスコミに独占させてはならない。
 その意味でIT時代の武器である動画サイトユーチューブなどを手段として選択した新進気鋭(40才台というが)の保安官(海上防人)の慧眼が賞賛されるべきだ。
 中国との関係は重要だが、それよりも、ビデオを公開して国民の判断に委ねる、という民主主義国家であることがすべてに優先することとならなければならない。

11/09/2010

流出罪の役人は行政罰のみ

 尖閣ビデオの流出は国家公務員の守秘義務違反として告発され警視庁と東京地検が捜査を開始した。しかし、ビデオの内容はそれほどの国家機密だったのだろうか?現に内閣の関係メンバーと関係の国会議員は内容のダイジェスト版を見ている。さらに、その感想を口で伝えている。秘密だったら、口外も無用なはずだ。だからたとえ起訴されたとしても公判維持は無理なのではないか?
 もちろんだが、流出させてはいけないという上司(政府)の命令に違反している。これは組織内のことだから、行政的に処理(戒告など)すればよいだけだ。窃盗罪という説もあったが、パソコン内のデータをコピーするのを窃盗とするには、財産的に価値があるものでなければならない。犯人は全世界に無料で公開したし、政府も公開するときは料金を取る考えはないから、これも無理であろう。

11/08/2010

両事件とも日本が怒れ(尖閣、国後)

 中国との関係で尖閣での中国漁船体当たり事件もロシアとの関係で日本領国後島への大統領訪問問題も、日本がまずは不快感を表明し、さらには抗議をすべきことがらだ。悪いことをした方が居丈高になるのを見過ごし、被害者の日本が融和的になるべぎではない。戦略的に互恵を考えるケースではない。
 その意味で、会議が日本で開催される横浜APECの機会を捉えた日中、日露の首脳会談は日本側が拒否してよい立場だ。どこかの国の会議で、廊下の隅で懇談できた(させてもらった)ような些事に一喜するようでは日本国の外交をあずかる宰相とは到底言えない。

11/05/2010

尖閣ビデオ流失コピーを見た(たいしたことはない)

 尖閣流出ビデオ(ユーチューブ、既に削除)のコピーが多数出回っている。そのひとつを見ることができたが、すべては削除し切れていないようだ。原ビデオはsengoku38氏が投稿したものだ。
 前半の大半の部分は巡視船「よなくに」から撮影した中国漁船(該船)の揚網作業のものだ。漁船だから網をまずは揚げないと危険なのかもしれない。その最後の部分10:16で、該船は「よなくに」の左舷船尾に直角に衝突、逃亡した。明らかに故意だ。
 後半は巡視船「みずき」から撮影した該船の衝突映像10:56だ。該船は「みずき」の右舷後方に鋭角に衝突した。「よなくに」も右舵をとっている(該船の進路をふさぐ)ようにも見える。最後の部分は僚船(はてるま)から「みずき」への衝突の様子を第三船の立場で撮影したものだ。このビデオだと、該船が故意にぶつけたように見える。全部にわたり、撮影時に海上保安官の説明付きで、緊迫の私語なども含まれる生々しいものだ。
 いずれにせよ、中国政府と国民が怒るような内容ではない。本当のことがわかると怒る、のでない限り。日本政府も流失ビデオだから仕方ないと平気な顔をすればよい(内心ホットすればよい)。捜査記録の守秘性というほどのものではない。民主党の党是「情報公開」が泣いている。
 同じ流失でも警視庁の捜査協力者秘密情報を含んだものの深刻性とは違う。

11/04/2010

証人喚問は小沢氏の疑惑晴らしの場だ

 小沢一郎氏が検察審の起訴決定を受け、逆手をとって、国会での証人喚問などに難色を示している。司法手続きにあるものを立法府で審議するのはなじまないと。
 違うだろう。司法と立法とではこの問題を扱う視点が違う。立法府では裁判まがいのことは許されないが、政治家の政治行為に対する疑惑を「政治的に」究明する場だ。小沢氏にしても政治家としての疑惑を晴らしたいに違いない。裁判は法律に基づいて裁く場だが、立法府ではあくまで政治行動の政治的な是非を議論する場として、区別してほしい。

11/02/2010

ロシア(四島)を見て我が身を直せ(尖閣)

 領土問題で実効支配しているほうは問題が起きたときは守る側だ。ロシアは北方四島の国後島に大統領が訪問するという守備を強化する挙に出た。尖閣諸島では守る側の日本は何かをしてもよいのではないか?甘いことを言っている場合ではない。尖閣だけではわからなかったが、逆の立場になって北方領土でのロシアの行動を日本も見習うべきだ。
 なお、尖閣では領土問題は存在しない。北方領土は領土問題が存在する、とロシアも再三認めている。その違いはある。

11/01/2010

中国には「対手ニセズ」でなく正面からあたるべし

 中国とは戦前の近衛内閣でも相手として手こずった。そのときは我慢の限度を通り越して「国民政府を対手ニセズ」と見放し、結果として日本国の失敗につながった。
 そういう政府を受け継いでいる中国だと知ったうえで、今回は粘り強く相手にしてほしい。当然だが、相手国の内部事情には介入すべきではない。内部抗争で困っているだろうからと配慮するのでは外交交渉とは言えない。あくまでも日本の立場を主張していく。話し合いの結果、妥協すべき点は国民の前、あるいは国際社会の前で明らかにしたうえで変更する。そのような「正道」でしか中国とはつきあえないのであろう。
 だから、自民党時代のように人脈で二元外交をするのでなく、前原外相のように正面からぶつかるのが正しい。これは久しぶりの民主党のヒットではないか。