5/30/2016

たった2%でなぜ大騒ぎに

消費税の8%から10%への増税時期の延期について安倍首相から提案があった。今後、消費税法の改正が必要で、内閣に決める権限はない。

たった2%でなぜ大騒ぎになるのか?

2%がすべて経済に影響するとしても社会現象としての経済指標では誤差範囲ではないか?景気が低迷しているのは、所得が伸びないため、消費も停滞し、経済成長が期待できないという。2%より所得の伸び悩みの影響のほうが大きい。

所得が伸びないのは中国が工業製品貿易で世界経済に参入してからだ。中国の賃金は高くはなりつつあるが、依然低い水準だ。中国製品に対抗するには日本でも自国製品を安価にせざるを得ない。そのためには製造原価の主要部分を占める人件費を圧縮しなければ日本のメーカーが存続できない。言い方を換えると、世界的な労働市場に中国人が参入して供給過剰になったから、賃金が低下した、といえる。

GDPの貨幣で算出する指標でなく、実質で日本人の生活が豊かになっているかを考えてみる。物価は安価な中国製品あるいはたまたまのエネルギー価格の低下により下がっている。あわせて所得の名目値も下がっているのをデフレと言うが、実質でみた購買力(実質所得)はそんなに下がっているわけではないだろう。

消費税でいつも大騒ぎになるのは、政争の具としてとっておきだからだろう。過去にも内閣がつぶれた。安倍首相も日本経済の行く末より自内閣の存続のほうが大切だ。

5/15/2016

民主政治は多数決(日米の違い)

民主政治は究極には多数決だ。

米国のトランプ現象を見ていると、少数のエリート支配に非エリート層が反対し成功しつつあるように見える。もともと多数派なのだから、1%の超富裕層に反対する政治になって当たり前だ。デモをしなくても99%の政治が実現する。

日本の政治は以上の多数決になっていない。それは、与野党ともに99%を代表する政策を打ち出していないからだ。不毛な憲法論争で政策を争わないで、国民全体を代表するかで争ってほしい。その点、日本共産党みたいに「大企業から税金を取ればよい」との理屈は民度の高い日本人には通用しない。そこを野党は間違わないでほしい。

5/01/2016

トランプの支持者も護憲日本国民も同じ

前日の続き。

米国有権者の大部分は米国国益、すなわち米国民の幸福につながるわけだが、その国益につながる直接因果関係までしかわかっていない。超大国の米国が世界の秩序を維持していくのが、すなわち、米国の国益につながっていく、という複雑な因果関係までわからない。個々の国民の生活が苦しいのは、違法移民が低賃金で働くからだ、というのは直接因果でわかりやすい。

問題なのは、米国は行政府の長(大統領)は直接選出(公選)なので、このように素朴なある意味ワンイシュー政治が実現しやすいことだ。過去にはモンロー主義という孤立による世界政治への対応になったこともある。現在の世界で米国が孤立したら、ほかの大国同士で紛糾し、結果として貿易立国でもある米国の不利益になる。

日本は幸いなことに議院内閣制だ(過去、有力政治家が首相公選制を唱えたが成功しなかった)。議会も代議制で、間接民主主義の利点が最大となっている。代議士とそこから選ばれる閣僚は、有権者を代表して「総合的に」政策を組み立てることができるし、そのように期待される。

ワンイシューの代表として九条護憲の動きがある。自衛隊の活動を現状で抑えておけば、少なくとも自衛隊の死者は出ないかもしれない、という素朴な主張だ。同盟国・米国との関係から平和のための最適な自衛隊の活用にまで頭が回らないのであろう。

トランプを支持する米国民と護憲一本槍の日本国民とは同じだ。