12/18/2016

ロシアは領土返還する必要を感じなかった

タイトルの言葉に今回の北方領土交渉の結果は尽きるのではないか。

外交でとくに領土交渉は国と国の正義のぶつかり合いとなる。一方の国の正義が絶対的となることはない。ロシアにとっても正義なので、それに日本の相対的正義をぶつけても解決にはつながらない。相手国ロシアが「引き渡し」の必要性を感じるまで問題は解決しないだろう。

必要性を感じるのは相手国が経済力、軍事力で大国の場合だ。中国が比較的小国時代に米国は中国の主張する「一つの中国」論を認識したにすぎない。いま、次期大統領がこの論を無視してかかったところ、オバマ大統領はあわてている。中国が大国になったいま、その主張は無視はできない。

今回から日本がシベリア開発を援助するというバーターを持ち込んだ。対中国包囲網のためだ。ロシアも当然日本のそのような弱みも知っている。だから、領土交渉のほうにはなんの影響も与えなかった。日本が大国になって、ロシアが困るような外交を展開するようになればロシアはそれに敬意を表するようになる。

12/14/2016

一つの中国は台湾が馬英九政権までの虚構だ

米国トランプ次期大統領が「一つの中国」を中国との取引材料に使っている。

一つの中国とは中華民国の国民党政権が大陸反攻をあきらめていないことから、大陸中国との同床異夢のスローガンにたまたまなっているにすぎない。

独立国・台湾を同一民族、同一言語(北京語)を根拠に併合をちらつかせるのは、ヒトラーが小国オーストリアを併合したのと変わりない。中国と一つの中国になるかは台湾国民の自由意志によるべきだ。米国外交はこのあたりまえの方針に「素人大統領」になってやっとわかったようだ。中国がそれを核心的利益と言いつのるのは勝手だが、他国はそれを「認識する」までが限度だ。

12/04/2016

国の合同より分割のほうがよい場合がある

国内の地域に政治的対立が明らかにあるのに無理に一つの国にまとまり続けるのはよくない。

アラブの数多くの国がそうだ。イラクはスンニ派、シーア派、クルドと実際は三分割したほうがテロ頻発の悲惨さの現状よりそれぞれが幸福になる。シリアも早く分割して内戦を終了したほうがよい。

ソ連邦は15の社会主義共和国を無理にまとめて西側諸国に対抗した。冷戦が終了して、連邦が解体、それぞれの国が独自の方向に進んで、国の数は大幅に多くなったがよい結果となった。ユーゴスラビアはチトーの独裁政治で無理にまとめていたが、内戦の泥沼に突入した。いま、民族ごとにクロアチア、セルビアなどに分割されて平和を取り戻した。EUは独仏の何回もの戦争の反省から国家統合の理想を求めて何カ国も加盟して大きくなった。しかし、当初加盟の英国はEUを脱退する方向だ。さらに英国には国内のスコットランドなど分割の動きがある。国家を合わせて大きくすることがよい結果を生むとは限らない。

米国では今回の大統領選挙で当選のトランプ候補にいまだに反対して大統領就任を認めないデモが頻発する。東海岸北部の各州、シカゴのイリノイ州と西海岸の州だ。アメリカはかつて南北に分かれて内戦し勝った北部が南部を併合したような形で大国となった。いま、大統領を認めないというなら、以上の州が逆に分離独立したらよい。

日本の沖縄県の一部の県民だと思うが、日本国政府の安全保障体制に頑強に反対する。もし県民の総意がそうならば(そうではないと思うが)、日本から独立して小さな国として独自の道を歩んでいったらどうか?

以上、国の中に抜き差しならない対立が地域にあるなら、分割して別の国になり、お互いに治世を競ったほうが双方の幸せになると思う。

12/02/2016

「ばい菌」のいじめは科学者の責任だ

福島県から他県に転校した小学生が「ばい菌」だと同級生からいじめられているという。

ばい菌、というのは被曝(したおそれのある)者から放射能がうつる、という非科学的迷信にすぎない。なぜこのような民間信仰的なことがはびこるのだろうか。

放射線の専門家である原子力関係の科学者の責任は重い。科学者がはっきりと「根拠がない」と言えばこのようなことが子供にまで広まるはずはない。子供は親から聞いて言っている。親は分別があるので、権威があると信じる一部の専門家が示唆しなければ子供にまでは教えないだろう。

科学者はわからないことはきっぱりと「わからない」と断定すべきだ。安全側に身を置いて「恐れはゼロではない」とは一般人に向けて言うべきではないだろう。