12/28/2010

44兆円でなく33兆円が国債限度額だ

 昨年の12/16に国債発行限度額について国債44兆円でなく、当初の33兆円が限度と書いたが、必要なことは何度でも言う。
 菅内閣は今回の予算編成で22年度予算に続き23年度予算も国債の発行限度は44兆円を守った、としている。44兆円の根拠は麻生内閣の21年度予算の国債発行額が44兆円(史上最高額)だったからそれを前例としたという。この44兆円の内訳は当初予算に対し33兆円、リーマンショック後の経済対策(補正予算)で必要になった11兆円だ。
 だから、23年度予算の国債発行限度額として前例とすべきは33兆円のほうだ。これに上乗せできるのは目下の経済対策に必要な当年度限りの経費のみで、それは11兆円はないだろう。子ども手当は経済対策とは言えない。今後永続して必要となる経費だからだ。 

12/25/2010

鳩山前首相引退撤回の前にすべきこと

 鳩山由紀夫前首相が「首相経験者が影響力を行使しすぎてはいけない」として、次期衆院選には出馬しないで引退をするつもりだと表明していたところ、最近、支持者からの要請があって一転引退を撤回した。
 それはそれでよいのではないか。引退するか衆議院議員で居続けるかは支持者すなわち有権者が判断することだ。鳩山氏が次期衆院選でもし当選できたなら議員続投が制度上認められたことになる。問題は首相経験者が影響力を行使しつづけることのほうにある。その意味で、まだ衆議院議員である鳩山氏が民主党内で影響力を行使していることの是非は有権者が判断することになる。
 冒頭の鳩山氏の表明は昨年の総選挙の際に、たぶん自民党の首相経験者(森、安倍、福田、麻生)が議員で居続けていることを批判する趣旨で出たものだ。小泉元首相がその選挙に出ず、引退したことも念頭にあり、民主党が政権を取ったら、自分も首相となってやめたら引退するという潔さを選挙戦術にしたものと思われる。
 言いたいことは、自民党の首相経験者に対し批判をすべきでなかったことを説明した上で、引退を撤回すべきだ。

12/24/2010

(鉄建機構)剰余金を使うのは借金を増やすのと同じ

 来年度予算の編成に際して、鉄建機構(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)の剰余金1.5兆円のうちから1.2兆円をいわゆる霞ヶ関埋蔵金の扱いとして使うこととなった。
 埋蔵金は国の貸借対照表(バランスシート)で言えば、資産に当たる。負債に当たる国債の残高をできるだけ抑えるといっても、純負債は負債-資産なので、資産を減らすことと負債を増やすことは同じことだ。数字のからくりで国民を騙しているとしか見えない。必要なことは、継続支出(こども手当など各年度に継続して支出が義務づけられるもの)は税収の範囲内に収める(プライマリーバランスをとる)ことが必要だ。公共事業などデフレ経済対策として実施するものは臨時支出なので、国債でまかない、後年(景気がよくなったとき)に償還するという財政政策の対象とすべきである。

12/22/2010

一色正春海上保安官(43)

 尖閣ビデオ流出の神戸の海上保安官の氏名は「一色正春」氏という。時事通信のページには実名報道されている。他の大手新聞系などは43才の海上保安官と匿名扱いのままだ。
 辞職願を出していることから、これからは自由の身で流出の経緯など何かを発信していくのかもしれない。そのさいは実名で登場するのが自然ではなかろうか?

12/20/2010

交通政策に逆行する休日上限割引

 土日休日の1,000円上限高速の割引制度が4月からも継続されそうになっている。もともとは麻生内閣の経済対策で2ヶ年限定(来年3月まで)で始められたものだ。混雑する休日に値引きしたら、観光地の経済対策にはなるかもしれないが、交通政策としては逆だ。だから、リーマンショック後のデフレ対策として時限的に考えられたのだ。経済対策だから、必要がなくなったら、そのときは元に戻す(値上げ)しかない。
 今年の6月に始める予定だった全日2,000円高速の制度は、休日にはその値上げになるとして、当時の小沢幹事長の反対の一声でポシャッてしまった経緯を引きずっているらしい。民主党は将来は無料を目指していたのだから、その点では理屈は合う。しかし、前政権時に用意した3兆円の値下げ財源(道路公団の長期債務のうち3兆円分、政府が肩代わりする替わりに確保)はあと2年で枯渇するという。そのさき、新財源がなければ割引は継続せず、大値上げとなってしまう。値上げの時期を先延ばししたに過ぎないのだ。そのときまで民主党政権は持たないから、どうでもよい、と考えているなら、究極のバラマキ、選挙対策と言わざるを得ない。しかし、こんな事でだまされる地方選挙の選挙民だとは思えないが。

12/16/2010

各県各部門での争点は最後は首相決断で(諫早水門)

 諫早干拓堤防水門の開門調査を命ずる二審判決を受け、菅首相は上告断念を政治決断した。
 こういうのを政治主導というのだろう。長崎県と佐賀県、農業者と漁業者の対立案件だから、上位の国が何かしらの判断を下さないと、迷走は終わらない。もちろんだが、調査にともない、漁業側だけの検討にとどまらず、農業側にできるだけ被害が及ばないような工夫も考えていく必要がある。
 文痴の考えは、開門に伴う
・高潮対策については、台風接近時のみ水門を閉め、内水位を下げればよいし、
・常時の塩害の心配については、干拓堤防あるいは干拓排水樋門の改築でも対応できる。

12/14/2010

少数与党政権でよいではないか?

 社民党の一度抜けた連立与党入りが衆院2/3再可決の駒として菅政権で検討されている。ところが、連立三党の予算協議で、普天間関係予算と法人税引き下げに絶対反対を唱え始めた。予算に対する考えは政策そのもので、それが一致あるいは最低でも妥協できなければ、連立入りは困難だ。
 民主党は通例となっている連立与党を構成するのはやめたらどうか?絶対多数の連立与党があれば、政府提案の法律は成立が自動的になる。そもそも国会は行政府提案の法律を審議する場だ。審議の過程で修正して成立する場合も十分あり得る。予算の成立そのものに反対の党はないはずなので、少数与党であっても、国家予算など各法律を成立させていくことはできる。

12/13/2010

マスコミを通じて党内意見を言う、馬鹿さ加減

 民主党の政策は密室ではなく透明化が図れて、国民にわかりやすくなっている。とは言うが、根回しあるいは内部の議論まで公開することはないだろう。政策として決定したことはその決定理由、過程まで説明してもよいが、決定するまでの議論をマスコミと一緒くたになって進めるのはむしろ害になるのではないか?
 昨夜、小沢、鳩山前首相、輿石の三氏が会合し、今日の民主党役員会での政倫審への小沢氏の出席を多数決で決めようとしていることに、あらかじめ反対の声を明らかにした、と報道された。三氏がマスコミに会合の開催とその趣旨を知らせたのだろう。マスコミが伝えることによって、岡田幹事長以下の民主党執行部に圧力をかけたのだろう。普通なら、電話で内密に伝えるところだ。さらには、輿石氏は参議院会長だから執行部に入っており、その席で言えばすむ。マスコミを巻き込んだ、大騒ぎをしているとしか見えない。一方のマスコミも利用されている、馬鹿だね。

12/12/2010

平和賞への対応が言論の自由制限の証拠

 ノーベル平和賞は政治的な選考とならざるを得ない。平和に貢献するためには政敵も作らなければできないからでもある。昨年のオバマ大統領の受賞はそれと違い、平和に貢献予定のスピーチだけが理由だった。選定委員会は将来の貢献を期待したのだ。金大中もと韓国大統領の場合は後年になってみれば、平和の達成に失敗している。もちろん相手(北朝鮮)のあることだから、彼だけの責任ではない。以上、そんなに客観的な選考ではないことがわかる。
 中国は自国の犯罪者・劉暁波氏を対象とされたのだから、国の立場としては当然反対するだろう。そのようなものだ、平和賞は、というだけのことだ。問題なのは、中国の反対の仕方だ。冷静さを欠いたのだろうか、ありとあらゆる嫌がらせ的な手段を用いた。また、自国民に世界の世論が厳しいことを知らせなかった。国内に言論の自由がないことを、劉暁波氏からだけでなく、今回の対応で示すことになった。
 劉暁波氏に続く中国国民の多数がその状態を問題としない限り、言論の自由を保障する自由民主国家には決してならないだろう。ソ連はそれをして、ロシア連邦という「共和制」国家となった。

12/11/2010

大連立までする必要はない

 衆参国会のねじれで何も決まらないから、大連立だという。憲法改正、消費税引き上げ、など大連立中に懸案を解決して、また分かれて総選挙をすればよいと言う。
 憲法改正とか消費税増税とか与野党のほとんどが賛成なら、いまでも可決できる。与党の提案に是々非々と言っているからには、野党は政局を見ての反対はできないのではないか。こども手当など与野党の争点は大連立しても成立しない。中間的なものに修正して妥協するしかないだろう。

12/10/2010

遅きに失した京都議定書見直し

 地球温暖化ガスの国際的削減枠組みを議論するCOP16でいままでのCOP3の京都議定書の延長を日本が見直すことを主張した。ブラジルとか中国とかがそれに反発している。
 そもそも京都議定書は世界の主要排出国すべてを網羅していなかった。日米EUだけで始めて、米国は批准していないから、EUと日本だけのおかしな枠組みだった。二酸化炭素は地球全体で削減するプログラムでないと意味がない。日欧で削減しても、中国とかインドとかの新興国で経済発展に伴う排出増が当然だとするなら、先行国の削減の効果がどこに行ってしまうのか、疑問だ。ましてや、省エネ技術で少しでも排出原単位を減らす努力をしているのかもわからない。
 「排出権取引」なる先走った経済ゲームに欧州は狂奔している。このゲームの前提は、キャップアンドトレードだという。「キャップ」すなわち排出量限度の配分がなければゲームそのものが成り立たない。

12/07/2010

現物支給福祉はやめよ(ワクチン無料化)

 小児用ワクチンの接種率が低い理由は何か、という番組を見ていて、タイトル名の「現物支給福祉」なる言葉を考え出した。低い理由の一つに高額の個人負担があり、だから、公費負担制度を導入すべきだという論調だった。
 ワクチンの強制接種の対象疾病は伝染病系で流行の恐れのあるものに限るべきだ。貧乏だから接種をしない、ということでは伝染病を駆逐できないから、公費負担で強制する。前にもコメントした子宮頸ガン
あるいは小児麻痺とかはワクチンとか予防接種をすれば罹患率が下がるが、接種なしでも必ずしも全員が罹るわけではない。接種時の副作用も低確率で覚悟しなければならない。費用も高額だ。だから、接種するかどうかはその個人あるいは家族の自己責任でよいのではないだろうか?
 自由と言っても貧困者は経済的に負担能力が少ないから、その費用も含めた生活保護なりが支給されている。生活保護費の範囲内で、接種を選択するかを決めたらよい。現物支給(無料接種)ということになれば、選択の自由がなくなるし、不必要になっても支給が無駄なまま永続してしまう、という市場経済に反することになりはしないか?

12/06/2010

民主党政府でなければできなかったことその2

 諫早湾干拓の締切堤水門の開閉の是非を巡って国と漁業者とで争われてきた訴訟が福岡高裁でも判決が下された。三年間の猶予後最低5年間開門し水質調査などをすべき(漁業者勝訴)、というものだった。
 締切堤による外側海域の水質悪化があるかどうかは科学的に因果関係が究明されなければならない。そうでなければ異なる主張に結論を出すことはできない。そのために開門調査を行うのだ。
 民主党政府になって、農業サイドの長崎県政と距離を保つことによってようやく出された方向だ。自民党時代ではできなかったかもしれない。
 もうひとつ、納税者背番号導入がある。菅首相がことのほか導入に熱心だという。似たもので利用目的が限られているものは住民基本台帳だ。東京の国立市とか横浜市などではまだ完全導入されておらず、住民に不便を強いている。当時の反対運動は主として民主党、共産党などの支援下で盛んとなった記憶がある。野党だから自民党政府のすることに反対するのが仕事だ、と理解していたのだろう。だから、すべての政治勢力で賛成となり、今後スムーズな導入が期待される。
 以上二点も加えて、民主党が与党となって「勉強」あるいは理解することになった政策は多い。だから、政権交代は時々は必要なのだろう。

12/05/2010

原子力駆動潜水艦(原潜)は核兵器ではない

 昨夜、NHKスペシャルの「シリーズ日米安保」第一回を見た。60年安保反対運動が一般国民を巻き込んだ広範なものだったことに危機感を抱いた米国が在日大使にライシャワーを任命して、70年安保に備えた、という筋書きだ。原子力潜水艦とか原子力空母エンタープライズを計画的に日本に寄港させ、最初の拒否反応から、徐々に慣れさせ、10年後には日本の一般国民には日常のこととして受け取られ、スムーズな日米安保延長につなげた。
 戦後しばらくの反戦感情はあれだけの激戦の被害から当然だったといえる。唯一の核被害国として反核感情も当然だった。それが一部のプロ運動家だけに残され、一般国民はそれら感情から「卒業」していったのだ。
 軍艦の動力源が原子力だから、それが核兵器だと言うことにはならない。そんな当たり前のことに国民はいち早く気づいていた。核にしても米国の核の傘の元にあるのであれば、「持ち込ませず」が無理なことも知って、秘密に持ち込まれているのも気づいていただろう。「核密約」の存在が暴かれてもそんなものだろうと驚かなかった。
 裸の王様は、暴くのに熱中した民主党政府と原潜が核兵器だとプロパガンダしたプロ活動家だった。

12/03/2010

民主党政府でなければできなかったこと

 民主党政権に交代して鳩山、菅と内閣が続いてきたが、自民党政権時代に比べ期待はできないにせよ、もう少しましかと思っていた。民意だから政権交代は仕方ないものの、民主党支持者のためにもう少ししっかりとした政権運営をしないと、誰からも支持されなくなってしまう。衆議院の任期のあと三年間弱、解散はしないで石にもしがみつくらしいが、それはそれで仕方なければ、その間でせめて立て直してほしい。
 そのなかで、自民党政権時代にどうしてもできなかったことが、政権交代でできた(できそうな)政策がある。これは政権交代のせめてもの果実であろう。
 ひとつは文痴の専門だが、首都高速道路あるいは阪神高速道路の一律料金(ブロック別)を距離別料金に改定するらしいことだ。自民党時代は一律のほうが得になる運送業界などからの圧力をかわせないのだった。八ツ場ダムをいきなり中止するくらいのパワーでこの懸案は突破できるものらしい。
 もうひとつは武器輸出三原則の行きすぎ緩和である。三原則の対共産圏、国連制裁対象国、紛争当事国以外にも米国以外には事実上禁輸措置がとられ、兵器産業の育成に多大な悪影響をもたらしている。
 最後に、非核三原則も二原則に縮小し、米軍による持ち込みを認めるようにすべきだ。いままで核密約として事実上認めてきたのを民主党政権が暴いた。暴いたのだから、そのまま認めたらどうか?その状態で日本への核の傘が有効となってきたのだから。

2,000円一律料金は首都高など距離別料金化と逆行

 馬淵国交相は懸案となっていた高速道路の料金割引制度の改定について、前の前原大臣時にいったん決定し、民主党内(小沢幹事長・・・当時)と国会の都合で延び延びとなっていたものを、一部変更して来年度より実施すると発表した。利便増進事業(追加スマートICなど)使途拡大のための道路整備財特法改正は当面断念して、国交省だけでできる料金改定を先行させた格好だ。現行の上限料金、休日1,000円を全曜日2,000円(乗用車の場合、ETCなしでも)とするものだ。
 道路交通の需給政策からは混雑する土日に割引制度をもってくることは明らかにおかしいし、利用者からも割引よりも混雑解消を求める声が多数だった。その点、全曜日に割引を広げたことはよい。しかし、2,000円を超える距離の場合、その額を上限とすることは、遠距離の利用をとくに優遇することになり、中長距離の交通を分担するJR新幹線、航空機を含めた総合交通体系に深刻な歪みをもたらす。いまも、土日にその弊害が現れているのではないだろうか?
 距離別料金制は守ったうえで、一律割引(例えば50%)とするほうがよいのではないか?首都高・阪高は今回、一律料金を距離別料金に改定し利用距離の合理的選択を促すというから、その正しい方向と逆行することになりはしないか?

12/02/2010

日本が壊れてしまう

 文痴はこの一週間、無投稿になっていた。この間、国会での問責決議騒ぎ、懲罰もの、社会の暴力沙汰など論評に値しないことだらけだったからだ。これも漂流状態の民主党政権、菅内閣のなせる結果なのだろうか?このままでは「日本が壊れてしまう」というのは実に名言だ。