10/31/2016

韓国はその大統領制が政治の混乱の原因

国王がもともといないあるいは廃止した国では大統領を選挙で選び国家元首とする。

大統領は最高の政治権力を持つが、国王に替わる国民の精神的トップも在任中は務めることになる。その大統領が政争によって政治権力を追われることになると、その国民の精神的中心が揺らぐ。いま、韓国がその混乱のさなかにある。

だから、大統領はドイツみたいに国民の選出によるものの、政治的権限を制限するほうがよいのかもしれない。米国の大統領は米議会との比較で権限が少ない。米軍には最高司令官が必要だから大統領がいる、と言われている。

以上の意味での国家元首は必要だから、その元首が失敗したらどうするか、という観点で国家の仕組みを考えたらよい。明治憲法では天皇は神聖にして侵すべからずとし、天皇には政治的責任を持たせないようにした。立憲君主制だ。英国に倣ったのだが、国家元首は権限を持たず、議院内閣が政治に責任を持つほうがこのようなときに混乱しないように思える。韓国は強力な大統領制が政治の混乱をもたらしている。一期のみの任期がさらに政争を過激なものにしている。

10/23/2016

グローバルに競争する企業が賃金を善意で上げられるはずがない

NHKスペシャル「マネー・ワールド」が第3集の今晩で終わった。

今晩は「巨大格差 その果てに」がタイトルで、「給与体系を変更し全従業員の賃金を同額にする企業、利益を分かち合う自治体―。過剰な富の追求は「幸福」に繋がらないという経済学が注目を集め始めているのだ(NHKのHPより)」がその内容の一部だ。

でも、企業がそのような平等化の試みを善意でしてもうまくはいかないと思う。企業はグローバルに競争している。少しでも製品の原価を安くしなければ、競争には勝てない。原価の主要な部分は賃金だ。世界の60億人が労働力市場の供給者となる。だから、世界的な労働市場で賃金は決まる。

そこで決まっている賃金を「幸福」を理由にして特定の企業で上げても持続できるわけがない。

これはもともとは共産党などが主張していた経済の成長のためには企業の内部留保を賃金として分配すべきとする政策だが、対立する安倍政権が同じことを言い出したのにはびっくりした。両政治勢力ともに競争経済がわかっていない。このNHKも。

幸福のための賃金を上げる原動力は「平等配分」ではなく「生産性向上」のための経営力そして技術革新だ。そのためにはかえって「平等」は害となる。それが共産主義を70年で滅亡させた理由だ。

10/19/2016

アスリートファーストで決めたら負の遺産になる

東京都小池新知事の「・・・ファースト」には違和感がある。都民ファーストは都政の主権者の都民だから、当たり前だ。

わからないのが、アスリートファーストだ。選手がまずはその施設でスポーツをするのだから、競技しやすく計画するのは当たり前だが、この場合、施設をレガシー(遺産)として、五輪後のそのスポーツの振興に引き続き役立てる、という積極的意味だ。

アスリートがまず考えるのは日頃のスポーツ関連予算の不足だろう。五輪(予算)を好機に立派(すぎる)な施設だけは是非ともほしい。その競技の振興にはまずは施設が必要だからだ。でも、その種目自体に魅力がない場合、残された施設は負の遺産(維持管理費がかかる)になってしまう。

ボートカヌー競技を被災地県の長沼で開催する小池案に対しアスリートが否定的なのは、東京から遠隔地では五輪後の同競技振興への自信がないからではないか?でも、その調子だと、東京湾の立派な施設でも「負の遺産」となりかねない。

ここはアスリートの意見は聞くことなく、純粋に五輪時だけの効果(復興五輪も含め)を考えて決めるべきだ。真に必要なスポーツ施設は五輪と関係なく毎年のスポーツ予算で要求すればよい。

10/18/2016

たかがノーベル賞、でよい(ディラン氏も?)

ノーベル文学賞を授与されるボブ・ディラン氏は受賞に対しこだわりがあるようだ。本人が公言していないので推測するしかないが、大成した自己のライフスタイルに合わないので、忌避的対応をしているのかもしれない。

ノーベル文学賞はその作家の作品、活動の全体に対して与えられる、とされている。この授与対象とされる二つの前者の「作品」の場合、文「学」は学問の一部のような名称だが、ストーリーの芸術と言った方がよい。芸術は鑑賞する個人の主観だから、客観的に評価して授与する各種の賞には無理なのかもしれない。後者の「活動」の場合だったら、たとえば、作品群が文学界の隆盛に資したとか、が客観的に対象になる。ディラン氏はこちらの「文学賞批判派」かもしれないし、氏の作詞、歌手活動は本来の文学にくらべて更に主観的だ。

いずれにせよ、ノーベル賞はきわめて政略性が高い平和賞は当然のこと、経済賞、そもそもの自然科学分野の各賞までを含め、評価基準に欧米的とかその時代の価値観にとらわれているとかの、客観性に欠けるところがどうしても残ってしまう。

だから、「たかがノーベル賞」で、醒めた目で対応する必要があるのではないか。さりとて、対抗して孔子平和賞を創設するまでもないが。

10/05/2016

ボートの491億円も決着の10億円も安いものだ

2020東京五輪ボート会場の海の森水上競技場の建設費491億円が高額ではないか、東京都外でも宮城県の長沼とか埼玉県の彩湖を利用すれば少額ですむ、と論争になっている。加えて、1964東京五輪で使用した戸田ボートコースを改修する手もある。

491億円は巨費というが東京都の財政にとってみれば、全体7兆円のうちのごく一部だ。一般の生活感からすれば、700万円の年収の家庭が、5万円ほどの出費を痛いとみるかどうか?東京都はオリンピックのために基金を積み立ててきていてそれは4,000億円になるという。この家庭で言えば、40万円のそのための貯金から5万円を取り崩すことになる。

東京都の金銭感覚は他自治体と違ってそんなものなのだろう。金持ちなのだから、5万円くらい出しても自前のものがほしいと。

だから、問題なのは、東京都の税収が過大なほうにある。名古屋の市長のように「減税」を公約に掲げる東京都議会政党はでないものか?

ついでに言うが、韓国との慰安婦問題決着で10億円を日本は出す約束になっている。10億円は庶民感覚で言えば巨額だが、韓国の大統領を黙らせることができれば安いものだ。だから、金だけは出して、約束にない安倍首相の謝罪の手紙を拒否するほうがずっと重要だ。

10/03/2016

マスコミの勘違い(正しくは豊洲地下ピット、二重国籍虚偽答弁)

豊洲市場用地の標準造成断面は汚染表土2mを除去したA. P.2m版に、除去分の新しい盛土と、さらに、2.5mのかさ上げ盛土(計4.5m)でA.P.6.5mを計画造成高とすることになっている。市場建物のコンクリート構造物の一階床面高さもそれに合わせて計画するが、このような重量構造の基礎には杭が必要なので、折角除去したA.P.2m版から打ち込むのが合理的だ。市場の床面まではさらに4.5mを超える高さがあるので、そこは鉄筋コンクリートで空間を作るのが、土で埋めるより合理的で工費が安くなる(A. P.2m以深の汚染土壌の原位置封じ込めにも効果有り)。

豊洲市場は建築物なので、配管のための地下ピット空間が必要だ。前述の空間がこれに利用されたのは間違いない(4.5mも必要ないが、重機を入れるらしい)。

これらのことは市場整備担当の都庁技術職員(土木、建築)が説明すればすぐに理解されることだが、小池知事の方針もあって、職員は証言できないらしい。

問題としたいのは、正確な証言がないまま、マスコミが素人コメンテーターの憶測だけで話を間違った方向に拡げてしまったことだ。マスコミに技術的な素養があるものがいないあるいは重用しないことがそのような結果をもたらした。

蓮舫代表の二重国籍問題についても、彼女が間違いの答弁を繰り返していることが問題なのであって、他国籍から日本国籍を取得したことは問題となっていないことをマスコミは勘違いしている。こちらは技術者不在からではなく、そもそも先入観にとらわれる頭の持ち主であることからだろう。