2/09/2011

農産物輸入は援助にもなる

 日本がTPPなど自由貿易体制を推進する立場にある理由として、「日本は資源が少なく海外から輸入しなければならない。そのためには工業製品を輸出しなければ外貨が稼げない(加工貿易)。だから農産物の貿易も含め、世界の自由貿易体制の一層の推進を先頭に立って図らなければ国が立ち行かない」とするのは正論だ。
 この正論に以下の「貿易が成り立つ比較優位の原則」も付け加えるべきだ。
 貿易は二国間で比較して優位な商品がその対象(優位な方から輸出)となる訳ではない。各々の「国内で比較して優位」な商品が輸出され、そうでないものは輸入されるようになる。そうでなければ、輸出入の金額のバランスがとれず、すなわち貿易が成り立たない。日本で言えば、工業製品は国内で比較優位で、農業製品は比較劣位(おおざっぱに言って)なのだから、農業製品を輸入するようになるのは貿易上当たり前のことだ。
 さらに、貿易には低開発国の支援という意味もある。支援のためにお金とかものとかをやっても、それがなくなったらそれで終わりだ。継続して生きる術、すなわち、産業を振興し、またそのための人材を育てる援助方法が必要だと叫ばれている。低開発国では農業が国内では比較優位な産業だ。だから、先進国は上記の原則からいえば、「農業製品をできるだけ輸入してやることが最大の援助」ということになりはしないか?欧米諸国と日本が自国の農業の保護しか考えていないのはおかしい。世界の貧しい国(国民)も助けるべきだ、貿易で。

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