ローマ人の物語Ⅹ「すべての道はローマに通ず」(H13.12刊)を読了しました。
社会のインフラをローマ人は大切にし、その代表がローマ街道作りなことはあまりにも有名です。
作者塩野七生は「ソフト」なインフラとして教育システムも話題にあげています。ローマの遺跡には学校跡は見つけられません。私塾的なものが大半だったからです。ローマの国としては施設に補助するのではなく、教師にローマ市民権を与えることで優遇し、自由競争により教育を盛んにしました。
そのローマが東と西に分裂し、キリスト教を国教として、もともとの多神教を迫害しだしたころ、教育も公営化されました。キリスト教という一つの考えで、社会を統一しようとしたときから、ローマそのものも衰退し始めました。もともとあった研究機関(いまでいう大学院大学)のアテネのアカデミア、アレクサンドリアのムセイオンも廃校になりました。
塩野女史は次の言葉でローマの衰退を葬送(おく)っています。
「疑いをいだくことが研究の基本だが、世の中は、信ずる者は幸いなれ、の一色になったからであった」
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