2/05/2009

「渡り」の議論は正確に

 「渡り」とか「天下り」に関し議論が錯綜している。官民人材交流センターに一元化して官僚OBの再就職が斡旋されるようになることは、すでに法律で決められている(野党も渡辺喜美議員も賛成)。問題になっているのは法律の三年間の移行期間中での扱いだ。そのときに監視機関となる再就職等監視委員会が発足する必要があるが、野党の抵抗で人事・組織が立ち上がっていない。仕方なく政令で(当面の措置として)内閣総理大臣が代行することとしたが、その権限を使い麻生総理が「渡り」を駆け込み承認してしまうのではないか、と騒ぎになっている。激変緩和のため、従来行われていた各省による斡旋は、三年間でなくしていこうとする趣旨で、この期間で必要な「渡り」は認めても良い、という法律の趣旨だ。それが首相の役目となっている。このことは最近の麻生内閣メールマガジンでも説明されている。
 なんだ、野党の抵抗が原因で回り回って議論がおかしくなっているのだ。さらに言えば、省庁の斡旋でなければ、天下り、渡りはあり得る、と長妻議員の質問で明らかになった。法律は省庁の斡旋のみを禁止できるから、制度趣旨の実質的担保には成り得ない。だから「天下り」等の「出口」を見張るのではなく、天下り組織の公益法人等への金の流れを監視する「入り口」作戦でないと意味ないし、それだけで十分なのではないか?本当に唯一必要不可欠の人材だったら、官僚OBであっても採用しなければならない。
 単に、退職金を何回も受け取って怪しからん、ということに矮小化したら不幸だ。

以下は「麻生内閣メールマガジン」の該当部分です。
 【各省庁のあっせんによる、「天下り」と「渡り」(退職後再就職を繰り返すこと)に関しては、今後3年間の移行期間中は、法律では認められています。その後は、再就職のあっせんは、第三者機関である官民人材交流センターに一元化され、「渡り」は禁止されます。  「しかし、私は、過日、『渡り』につきましては、申請が出てきても認めることはしない、ということを明言しました。これに加えて、各省庁から天下りのあっせんも3年を待たず、前倒しして廃止したいと思っております。具体的にはこれを明確にするために、今年一杯で廃止するための政令を作ることにしたい。」  これは、私の2月3日の国会における公務員の「渡り」に関する答弁です。ただし、来年以降、二度と「渡り」や「天下り」のあっせんを許さないためにも必要な、再就職等監視委員会が、野党の抵抗から、組織が立ち上がっていません。  私は、今国会の施政方針演説で、「不断の行政改革の推進と無駄排除の徹底」を訴えました。  公務員制度改革は、前倒しでやらねばならない。内閣の最優先課題と存じます。そのためには、あらゆる障害を突破する必要があります。是非、ご理解と応援をよろしくお願いします。  人材は、活用しなければなりません。一方的な公務員バッシングが国益にかなっているとは思いません。公務員は使いこなすもの。能力を十分に活用して働いてもらうようにすることが、私の役割です。  しかし、特権を与えることは全く必要ありません。特権を廃止し、意欲を持って十分に働いてもらう制度を構築せねばなりません。  「国民全体の奉仕者である国家公務員について、一人一人の職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行すること」(国家公務員制度改革基本法第1条)  まさに、この原点に立ち返り、国民のための公務員制度の改革を断固やりぬきます。 】

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