2/10/2009

麻生首相はよくて田母神氏はダメなのか?

 麻生首相が、小泉内閣時代の総務大臣だったころ郵政民営化法案には反対だった、といまになって答弁した。総務相として内閣の一員なので結局は賛成したが、一政治家としては反対だったというのに何の不思議があろうか?内閣という組織の一員にいれば、その長たる小泉首相(当時)の決定に従わなければならない。一政治家の政策を主張することとは別だ。辞任するのでなければ、命令に従わなければならない。
 とすると、矛盾が出てくるのが、さきの空幕長の論文に対する麻生首相の扱いだ。空幕長は上司たる防衛大臣と内閣総理大臣の命令に反したわけではない。自分の意見を言っただけだ。麻生首相が自分の政策は内閣の方針と違ったけれど、いまになって本音を言っているのと同じだ。
 違うのは、首相はトップで、部下たる空幕長は言論を慎めなのかだが、それはないだろう。とすると、戦争の侵略性の有無みたいなきわめて政治的に微妙な問題に踏み込んだからとしか思えない。麻生氏自身も内心は侵略性については主張があるし、それを慎重に扱っていたところ、部下に先を越されたのが致命的だったとしか思えない。

2/09/2009

温首相が温の情け(靴投げ、英国の場合)

 中国の温家宝首相が訪英中にロンドンの大学で講演をした際に、一人の学生が靴を首相めがけて投げた。チベット弾圧などに責任ある中国の独裁者が学問の府に侵入したことを抗議したものだ。ブッシュがイラクで受けた靴投げの事件を模倣したものだろう。
 おかしかったのは、その事後処理に関して、大学当局にその学生を除籍処分にしないでほしいとの駐英中国大使の言だ。イラクのときと違い、ここは民主主義国英国だし、靴投げははるか遠くからなのか、惜しくも外したブッシュの場合と違い、命中にはほど遠かった。除籍にはとうていならないだろう。譴責処分ぐらいか。中国とかイラクだったら、除籍処分ではすまない。蟹は自らの甲羅に似せて穴を掘る、の類だろう。

2/08/2009

日銀が国債を引き受ければすむ(政府紙幣の怪)

 政府紙幣を発行するかで混乱している。通貨政策は日銀が政府から独立して行うことになっているからそんなものは駄目に決まっている。必要なら日銀が国債を買い入れるなどして、日銀券を市中に増やすことができる。そうすれば国債の市況が改善し発行しやすくなるので、政府は国債を増発することにより総需要を追加することができる。
 今の動きは日銀が言うことを聞かないから日銀抜きでできることを、という本来の通貨政策の邪道を行っているものだ。
 なお、デフレギャップは300兆円ほどあるらしい。これを埋めるにはまずは供給余力を減ずる。それらは外需への供給能力が主だから、大胆に減らすべきだ。これが今回の米国発の経済危機の教訓だ。そうしたとしても国内の需要がふるわないし、1,500兆円もの貯蓄も利用されない。であるならば、国債を発行して残ったギャップを政府支出として埋める。これが経済のセオリーだ。

派遣の登録型は労働確保のためにある

 派遣労働者の登録型が従来からの常用雇用型にくらべ首切りにつながりやすいと非難の対象になっている。それはそうかもしれないが、製造業からの要請でスタートした登録型がなければ、登録され臨時工で働くことになったその職も最初からなかったろう。無から不安定職が産まれたと考えるとわかりやすい。
 同じことは、最低賃金制にも言える。その制度では最低賃金以下の価値しかないと使用者が考えれば、最初から雇わない。最低賃金制は継続雇用者の権利しか守れない。2006年にフランスで反対騒ぎの対象になった「初期雇用契約」は対象の若者の雇用を促進するものだった。2年の試用期間があるから雇用してみよう、ということになるので、この制度がなければ、若者に対する雇用が増えることはない。

2/06/2009

日本綜合地所からの内定(もらっていても仕方がなかった)

 日本綜合地所が破綻した。あの新入社員内定取り消しで有名になった会社だ。破綻するくらい苦境だったから、新社員の入社即会社消滅の不幸を未然に防いだのだとも言える。内定を出すと言うことは、ほかの会社と二股をかけさせないという約束だから、当該会社の罪と言えば罪となるが、学生のほうも複数社の内定をもらっているものもいる(一社以外は約束を違え袖にする)から、どっちもどっちだ。でも、そういう考えが日本の社会的常識のレベルを落としているとも言える。

2/05/2009

「渡り」の議論は正確に

 「渡り」とか「天下り」に関し議論が錯綜している。官民人材交流センターに一元化して官僚OBの再就職が斡旋されるようになることは、すでに法律で決められている(野党も渡辺喜美議員も賛成)。問題になっているのは法律の三年間の移行期間中での扱いだ。そのときに監視機関となる再就職等監視委員会が発足する必要があるが、野党の抵抗で人事・組織が立ち上がっていない。仕方なく政令で(当面の措置として)内閣総理大臣が代行することとしたが、その権限を使い麻生総理が「渡り」を駆け込み承認してしまうのではないか、と騒ぎになっている。激変緩和のため、従来行われていた各省による斡旋は、三年間でなくしていこうとする趣旨で、この期間で必要な「渡り」は認めても良い、という法律の趣旨だ。それが首相の役目となっている。このことは最近の麻生内閣メールマガジンでも説明されている。
 なんだ、野党の抵抗が原因で回り回って議論がおかしくなっているのだ。さらに言えば、省庁の斡旋でなければ、天下り、渡りはあり得る、と長妻議員の質問で明らかになった。法律は省庁の斡旋のみを禁止できるから、制度趣旨の実質的担保には成り得ない。だから「天下り」等の「出口」を見張るのではなく、天下り組織の公益法人等への金の流れを監視する「入り口」作戦でないと意味ないし、それだけで十分なのではないか?本当に唯一必要不可欠の人材だったら、官僚OBであっても採用しなければならない。
 単に、退職金を何回も受け取って怪しからん、ということに矮小化したら不幸だ。

以下は「麻生内閣メールマガジン」の該当部分です。
 【各省庁のあっせんによる、「天下り」と「渡り」(退職後再就職を繰り返すこと)に関しては、今後3年間の移行期間中は、法律では認められています。その後は、再就職のあっせんは、第三者機関である官民人材交流センターに一元化され、「渡り」は禁止されます。  「しかし、私は、過日、『渡り』につきましては、申請が出てきても認めることはしない、ということを明言しました。これに加えて、各省庁から天下りのあっせんも3年を待たず、前倒しして廃止したいと思っております。具体的にはこれを明確にするために、今年一杯で廃止するための政令を作ることにしたい。」  これは、私の2月3日の国会における公務員の「渡り」に関する答弁です。ただし、来年以降、二度と「渡り」や「天下り」のあっせんを許さないためにも必要な、再就職等監視委員会が、野党の抵抗から、組織が立ち上がっていません。  私は、今国会の施政方針演説で、「不断の行政改革の推進と無駄排除の徹底」を訴えました。  公務員制度改革は、前倒しでやらねばならない。内閣の最優先課題と存じます。そのためには、あらゆる障害を突破する必要があります。是非、ご理解と応援をよろしくお願いします。  人材は、活用しなければなりません。一方的な公務員バッシングが国益にかなっているとは思いません。公務員は使いこなすもの。能力を十分に活用して働いてもらうようにすることが、私の役割です。  しかし、特権を与えることは全く必要ありません。特権を廃止し、意欲を持って十分に働いてもらう制度を構築せねばなりません。  「国民全体の奉仕者である国家公務員について、一人一人の職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行すること」(国家公務員制度改革基本法第1条)  まさに、この原点に立ち返り、国民のための公務員制度の改革を断固やりぬきます。 】

2/04/2009

「渡り」の発音が違う理由(麻生首相)

 麻生さんものでくだけた話になります。
 「渡り」のアクセントについてです。首相だけが「渡哲也」のアクセントで「渡り」と発音。正しくは(他の人はすべてそうしている)「渡り鳥」のアクセントで「渡り」です。
 麻生さんが「渡り」について勉強したときの指南役が「関西系」の役人?ではないかとの推測をしています。
 官僚OBの「渡り」についての真面目な議論は今回はパスします。

2/03/2009

中韓指導者の真意を理解せよ(サヨクへ)

 「趙紫陽」を読んでわかるのは、中国の指導者といえども、自国の政治体制(一党独裁)に欠点を認めていることだ。日本の明治維新などの民主化とか資本主義諸国が戦前の大恐慌を克服し、社会主義的な資本主義社会に変貌を遂げていることを理解し教訓を得ようとしている。中国指導部がその反省を外交の場で決して吐露しないのは、自国民に対する立場上(権威を維持し、社会の安定のみに汲々とする)のことに過ぎない。韓国政府もそうだ(った)。国内事情でハードになっているのだ。
 日本の左翼、東アジアの友好を主張するグループは、これらの国の国民レベルの心情だけに同情しているに過ぎない。もっと大きな枠組みを理解し、諸国国民の繁栄を願ったらよい。

2/02/2009

「趙紫陽」の著者・宗鳳鳴

 著者宗鳳鳴は趙紫陽との対談を「趙紫陽」にまとめている。そのP212での宗自身の考えは注目に値する。
 「歴史のもしもを考えた。もし当時、辛亥革命や清朝転覆が起きないで立憲君主制が実施されていたら、中国は今とはまた違う発展をしていたはずだ。日本の明治維新がそれを証明している。袁世凱が・・・憲政・共和制を敷いていたら、中国情勢はかなり良いものになっていた可能性がある。もし日本が、・・・華北へ侵攻しなかったら、中日両国は無傷で済んだかもしれない」(宗鳳鳴自身の発言)
 文痴は、北支事変はそれだけでは小規模のまま決着がついていたと思う。問題はそのあと人口稠密の上海で日中両軍が戦闘に入ったことだ。蒋介石の戦略か、日本軍の野望か、それとも偶発か、その解明が日中両国の将来のためになるのではないか?日中戦わなかったとして、蒋介石はその後のやりようによっては、民主政府を発展させることも出来たはずだ。

解散は首相の勝手だ(野党へ)

 国会が始まって、野党の質問の大半は麻生首相への早期解散要求に言及するものとなっている。田中真紀子議員の質問のときもうるさいほど「退陣」を求めた。
 時間の無駄だ。解散とは、首相が国会運営に行き詰まったときに解決策として、自分の首をかけても議員の構成を変えようというものだ。いま、内閣は衆院2/3の与党を得ている。行き詰まってはいない。解散総選挙をしたら、行き詰まるは必定、そのまえに、首相に再選任されない。解散は首相の都合で行う権利であって義務ではない。
 そのように首相の専権だと憲法に書かれていることへの質問は無意味だ。質問されて、まともに答えるわけがない。