高市内閣が発足する期待で東証株価が5万円をうかがう高値となっている。ドル円の為替も円安水準に。
これらはいずれも庶民の暮らしの観点からの新内閣期待に基づくものではない。後者の円安だが、輸出関連企業にとって、製品原価がほとんど輸入物資によるドル建てで加工貿易としては為替水準は中立だ。しかし、そのうち国内人件費だけはドル高(円安)になるとドル建て原価の中で唯一減ずることができる。つまりは国内労働者の「ドル建て換算」賃金が円安で安くなることで、製品価格の輸出競争力がでてくる。
つまりは円安で輸出競争力が大きくなるのは、労働者の犠牲のもとからになる。実際、国内労働者の賃金は輸入物価の高騰で苦しくなるばかりだ。円安が庶民の苦しみを増加させるメカニズムだ。
東証プライム株式市場は輸出関連大企業(あるいは対外投資企業)でほとんどが構成される。高市市場で空前の株価となるのは不思議でない。庶民のために物価対策で何をしてくれるか監視が必要だ。それができないサナエノミクスでは次の総選挙で再び退潮すること間違いなしだ。まずは円安是正が試金石だろう。