6/20/2024

EVでも丁度いい車でないと売れない

日本人の庶民に至るまで乗用車保有が広まって長い年月が経過した。当初はお仕着せの車種に満足していたが、何回か買い替えるに従って、車種選びもバラエティに満ちてきた。

「丁度いい」という売り文句の車(1.5BOX)があった。二台以上を持てるほどの金持ちは少ない。自分の家族にその一台が丁度いいことが求められるようになった。大家族用だったら三列シートの8人乗り、子ども連れだったらワンボックスカー、荷物が多ければワゴンタイプ、街乗りだったらコンパクトカー、高速で遠乗りだったらスポーツタイプ、お偉いさんを乗せるデラックスタイプ、そして、環境に配慮できる省燃費車。これらの個々の要求をそれぞれ満たすのに日本のメーカーは多車種を用意し、それらをそれぞれ大量生産し、安価に提供する体制を築き上げた。

そこにEVが良いから売ろうとなっても、エンジンがモーターになっただけの違いで単一の車種にしても売れるはずはない。HVからしてそうだった。トヨタのプリウスが先行したが、それは数人定員だけの乗用車の希望層で、環境にセンシティブな人に売れただけだ。いま、HVが普通乗用車ほぼ全車種に装備されるようになって、価格差も車の寿命いっぱいでペイするようになって、ようやく普及するようになった。30年はかかった。

EV普及もその長い年月が必要だ。欧州では環境にセンシティブな人が多い。中国では政策でガソリン車を保持しづらくしている。米国では一部の富裕層がEVを二台目以降として購入している(かつてのプリウスと同様だ)。

日本でも地方部での二台目軽EVが普及するかどうか?爆発的な普及は期待できない。