1/04/2022

特殊事情の低賃金が日本の平均賃金を下げる

日本の賃金は先進各国に比較して低水準だとの指摘がされている。主な理由として最近の非正規労働者の割合が増えていることが挙げられている。

しかし、それだけではない。日本の特殊要因として賃金の平均値を下げるのは、

①年金制度に在職老齢年金があり、正社員などをリタイアして引き続き働きたい高齢者で、年金を併給される場合、ある額以上の給与を支給されるとその超過分は年金からそのまま控除される。給与の増加分が年金額から削減されるので、本人あるいは雇用者にとって年金支給者への給与を抑える積極的誘因となってしまう。(収入総額で給与必要額を判断されてしまう)

②同様なのが、配偶者のパートタイマー労働だ。年収103万円が所得税配偶者控除の限度だ。大部分の配偶者がその金額以下で(むしろパートで)働くほうを選択してしまう誘因だ。

③海外からの労働者が、技能実習生という制度名とはかけ離れた低賃金労働を強いられている。これは明らかに労働基準法とか最低賃金制に違反する雇用だ。是正しようと、特定技能労働者制度が発足したが、その普及はまだまだだ。海外の低賃金労働者を必要とする特定の産業分野(野菜農業など)があることが真因だ。

正規労働者(正社員)の給与水準はそこそこなのに、①〜③などの特殊事情の低賃金者を加えて平均を算出したら、低賃金の統計となってしまう。さらには団塊の世代がリタイアし、急激な高齢化により、年金生活者の割合が増えれば、それらのボリュームゾーンが年功序列最高賃金から一気にゼロないしは低賃金となるので、経年的にも賃金水準が平均値では落ちてしまう。

必要なことは全体の平均だけではなく、例えば、年金世代以外の世帯主の賃金を統計の対象にすることなどだろう。 

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