2/28/2022

ウクライナ戦争は中台への予行

プーチンが始めてしまったウクライナへの侵略の結末は中国による台湾侵攻を考える上での予行になるだろう。

中国は孫子の兵法を継ぐ国だ。戦争にとりかかる前に敵の対応を事細かに予測・検証する。日米欧がどう出るか。ウクライナでのロシアの失敗があれば当然参考にする。プーチンはロシアの民主主義が生んだ独裁者だが、中国共産党は一党独裁でも習近平独裁とはならない。集団指導体制は続いているから、独裁者個人が安易に失敗するような戦争は起こすはずがない。

だから、来る中台危機を予防するに必要なことは、ウクライナでの日米欧からの制裁を正しく効果的に遂行することだ。自由貿易経済の中国には経済制裁がロシアとは比較にならないくらいに効くだろう。それを理解させることが危機を未然に防止することになるし、賢い中国のことだからその点は理解しているだろう。

2/22/2022

ο株感染者のワクチン接種記録を統計的開示せよ

オミクロン株対応にと三回目のワクチン接種が求められている。しかし、一二回目と違ってその接種ペースは今ひとつだ。国のワクチン供給、自治体の接種体制それぞれに問題があるとされるが、基本的には国民一般が緊急性を感じていないからだと思う。

日本での新型コロナ感染対策は自粛・自主行動を基本としている。だから国民一般がその行動変容が必要だとするリスク感覚を呼び起こすことができなければ、感染症対策にはならない。感染症の学者はその点でリスクの説明ができていず、学問としては失敗だ。

新型コロナウイルスは新種なので、まずはその感染上の特性を見極めることが必要だった。そのうえで、実際の感染での統計データを示してリスクを国民に説明する、そのことが不足している。理論上の結論を示しても、国民は実際の事例で判断するだろう。

オミクロン株では若者に感染が広がりやすいが反面重症化しない、という当初の説明があった。しかし、少ない事例で重症化、死亡するケースがあるという。しかし、それらの危険が大きいと言われた高齢者でも、軽症で済んでいる事例は多い。海外だが、エリザベス女王とその息子(チャールズ皇太子)は三回接種後でも感染したが、軽症だという。このように事例だけ両極端を示しても国民は動かない。リスクを個人として判断できるには以上が事例に終わらずに統計データとして示されることが必要だ。

三回目接種を推奨するには、二回までだけと三回目済みとの感染率の違いを示せばよい。理論で三回目の効果がある、だけより、実際にオミクロン株に感染した人の膨大なデータから、その年代、接種の回数、感染後の症状を集計して統計として開示すればよい。

これが感染症学のイロハだと思うが、当の感染症の学者はそうは思っていないのだろうか?

2/16/2022

オミクロン株と季節性インフル

季節性インフルエンザ(以下、インフルと略す)がどのようにして現在の感染対策になったか(感染症法の5類)を考えるとオミクロン株(あるいはその後の再変異株)が今後どうなるかが見通せる。

インフルはワクチンは毎年のものが開発されている。治療薬も飲用のタミフルなどがそろっている。インフルの感染者は毎年変動するが、ここでは1千万人、その0.1%が致死するとして1万人の死者が出る、として考える。1万人の死者は多いようだが、毎日平均では100人程度だ。他の病人、老人が大部分だが毎日の総死者は3,000人もいるので、そのごく一部に過ぎない。それでも感染症で死に至るのは対策として不十分の誹りを受けるので、感染症の統計はとらなければならない。そこで考え出されたのが、感染者数は特定病院毎の診察数から全体数を割り出し、死者は超過死亡数で判断する簡易法だ。毎年だからこのようにしないと防疫統計部局(保健所など)が疲弊してしまう。

インフルはワクチンも治療薬もあるのに重症化して致死するのは、高齢者あるいは基礎疾患者がインフルに罹るとその死期を早めるからだ。もともとの死因とインフルに罹ったこととの軽重が判断できないから、毎年の死者より超過する数を超過死亡数としてインフルも起因したと判断する。

オミクロン株の感染者数と死者数は(いまのところ)インフルより年間数換算で少ない。ワクチンと治療薬もそろってきたので、そろそろインフル並みに大まかな感染対策に移行すべきときだ。なお、残る問題とされている後遺症の事例が散見されているが、統計としてみた割合はわずかだ。後遺症は主な病気が治癒してもその後に長引く一部の症状なので、必ずしも「後遺」が永久に続くかはわからない。これもしばらくはデータを待って判断する性質だ。

そもそもだが、インフルが毎年のように猛威をふるっているのに、例年以上に対策をアップしないのは、この程度しかできないからだ。病気のリスクと人的資金的資源を確保するリスクを比較した結果だ。医療体制の拡充についても限度があるので、災害時とかパンデミック時には最初から完全対応をあきらめてトリアージ(選択的医療)をすると予告している。

オミクロン株の感染率が大きいままだと、医療が完全に対応することをあきらめるときが必ず来る。それがインフル並みの5類に自然と移行せざるを得なくなるときだ。議論して5類に変更するわけではない。

2/08/2022

供給力確保のための総力戦

野口悠紀雄氏は現在に至るまで日本は1940年体制だと看破した。戦争遂行体制がそのまま続いていると。軍備増強などの供給力に劣る日本は、戦時に民間の需要を抑える総力戦体制をひいた。それが日本社会の習い性になったのだ。

現在の対コロナ戦でもこの供給力確保に腐心している。病院の治療体制は対コロナの最重要手段だ。戦争初期にはコロナの急襲で全体の需要を抑えてまで供給力(医療体制)を守らなければならなかった。その時に先の戦争と同じ、「感染して病院のお世話にならないように」という民間需要を抑制したのは仕方がない。戦争もたけなわになって、病院態勢も整い、ワクチン、治療薬などの「近代兵器」も整備されたら、コロナとの戦い方も変わらなければ何のための戦備増強だろうか。 

だから、第6波の二年後になっても、相変わらずまん防で、まずは感染防止の基本を守る、感染しやすい飲食店の開店規制で客を集めないようにする、という民需を抑える施策に頼り続けることになる。病院という供給サイドに立っている。

日本民族はそのような「欲しがりません勝つまでは」の精神力での戦いが好きらしい。欧米諸国では国民の反乱が起きているというのに。

2/06/2022

リスク評価ができる日本

小池知事の「感染は止める。社会は止めない」は当然だと思うが、素朴な国民向けにはヒットする格言だ。

いままでは「社会を止めて」までも「感染は絶対に止める」だった。それが社会への弊害とのバランスをとって施策を進めることになった(当初からそうあるべきだったが)。オミクロン株になってその感染力が強い反面、弱毒性であることがわかりつつあり、それもあって施策の変更にあたりこの格言までもちだした。

つまり新型コロナウイルスに感染して重症化(後遺症も)し死ぬこともあるのは絶対回避(ゼロリスクに)すべきことではなくなり、他のリスク(社会を止める)と比較すべきひとつの価値基準になったということだ。さらには新型コロナで医療に負荷がかかり続けている。医療にはこれまでには対象となり、待たせている急がない手術とか急性病でないガンなどの治療もあった。それらに悪影響が二年間のうちには出てきている。医療の対象は新型コロナだけでないので、そろそろ他の病気への配慮とバランスをとるべき時期だ。死に至る病は新型コロナだけではない。

感染爆発では同じ季節性インフルエンザと同等のレベルにまで毒性はまだ下がっていない。ワクチンの効果と治療薬の配備も完ぺきではない。しかし、そろそろ他の病気のことにも配慮する必要が出てきたのだろう。他病にもそれほど完ぺきであるとは言えない。

以上は一言で言えば、リスク評価ができる、ということになる。さらには「正しく怖れ」て他のリスクと冷静に比較できる、とも言い換えることができる。

2/01/2022

感染の勢いは前週同曜日比で

新型コロナ新規感染者の毎日報告数はカレンダー方式でニュースになることが多くなってきた。これは報告数には曜日による人為的偏りがあるので、同曜日の1週間前と比較するしかなく、そのためのカレンダー表になっている。

 これに更に加えて欲しいのが、1週間前同曜日からの倍率だ。この倍率が(5,000人/日以上になってから)最大だったのは1/18で1/11比5.39倍、翌日からこれがほぼ減少一途で3.36,2.77,2.39,2.46,2.27,2.29,2.47,1.91,1.91,1.82,1.55,1.68から1.38の1/31(11,751人)までだ。この表より先の日の新規感染者数最新の本日2/1は14,445人、1週間前同曜日からの倍率は1.03となる。

 数理疫学的に言うと、実効再生産数が単調に減少、ということになるが、素人向けにはこの「1週間前同曜日からの倍率」を同時に発表すると、毎日の数字で感染の「勢い」が減じているのがわかる。感染者数が単調に増加していることは感染の勢いを現すものでないので、「感染者数が過去最大を更新しました」とのアナウンスは避けるべきだろう。

新型コロナ 30日の東京都の新規感染者は1万5895人 前週から約1.7倍の増加 (Hint-Pot) - Yahoo!ニュース