10/28/2021

GoToトラベルはヒマな老人優遇策でない

利用者の消費喚起のための割引に税金を投入するという政策は、もともと観光旅行に時間と金銭を費やす余裕のある「恵まれた人」にさらに富を分配移転してしまうものなのだ。いくらコロナ禍で傷ついた業種の救済支援が目的であるとはいえ、はたしてこれは税金の使われ方として公平と言えるだろうか。(下記リンク、木村医師)

 この木村氏がもとから勘違いしているのは、GoToトラベルは旅行関係業者の救済が目的であって、決して旅行者の優遇ではないことがわかっていない。

 コロナ禍で誰もが旅行に行かない。そこに優遇をして旅行してもらうが、半額は旅行者の負担だ。旅行者と国とで半額ずつを旅行に支出し、旅行関係業にカネを回す。通常の不況業界支援だったら、公的なカネだけだが、旅行者への優遇だったら、その国民のカネも支出される。そして、そのようにすれば旅行関係業界の隅々までカネが行き渡る。

 その上で、新しいGoToトラベルが平日優遇なのは、まずは旅行業界の需要平準化要望に添っていて、かつ、旅行先で混雑しすぎると旅行者自身も感染の危険がある。そして働き方改革で平日に休みをとるインセンティブになればよい、との目的で、「ヒマな老人」優遇を狙ってはいない。

GoToの平日優遇策が引き起こす悲劇…医師が「ここなら唯一行っていい」と勧める"ある場所" "危険すぎるホテル"出現の可能性

10/19/2021

上流に盛土すること自体が危険

斉藤(熱海)市長は「不十分ながら防災工事を実施し、追加工事を言明したことを理由に見合わせる報告を受けた」と説明。(朝日)

 盛土量が許可量を超過、水抜きパイプが未設置などを除けば、盛土表面を階段状に整形していることから、当面の危険性はないと判断したのだろう。

 許可条件違反だが、19年の19号台風の異常降雨に、許可条件合致していたとしても、崩れなかったかの判断はできない。つまり、崩壊原因が許可条件違反だったのか、それとも、異常降水によるものだったかの結論は出し難い。

 そもそも盛土斜面は通常時は崩壊しない(崩壊しないように盛る)。崩壊するのは地震時、降水時の盛土内部の安定条件が変わる(バランスがとれなくなる)ときだ。人為盛土だから崩壊した、というのもそうでない場合もある。鎮守の森の裏山が異常降水で崩壊する例があった。千年も崩れたことがない斜面だ。異常降水などの自然現象だけで従来の山が崩れることはあり得る。 

 だから、そもそも伊豆山地区のような急傾斜渓流谷間集落の上流には土地改変はできない、ということだけは言えるだろう。その点では隣接するソーラー開発の造成も奨められない。

「人災の側面、否定できず」盛り土問題で熱海市長 調査結果を公表:朝日新聞デジタル

10/16/2021

アジアとヨーロッパの境を旅して

コロナ禍で海外には行けていない。そこで過去の旅を追憶する日々になった。「アジアとヨーロッパの境はどこだ?」がそのテーマだ。

 南北アメリカとかオセアニアは他の大陸と海で隔たれているのでそれらの境界はわかりやすい。ところがアジアとヨーロッパはユーラシア大陸の東と西に位置しているに過ぎなく、その境界が必ずしも明らかでない。ちなみにアフリカ大陸とも地続きだ。折しも東京オリンピックの最中で、その五輪マークも五大陸を象徴していて、ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアを示す。南北アメリカはパナマの地峡でつながっているので一つの大陸扱いだ。

 「アジア」とは古くはいまは小アジアと称されているトルコのアナトリア半島をギリシア側から見ての呼称だったらしい。トルコはヨーロッパからアジアにまたがる国だが、その境界はポスポラス(とダーダネルスの)海峡だ。ボスポラス海峡はトルコ最大のイスタンブール市内も東西に分けて、いまは複数の架橋とか地下鉄海底トンネルで結ばれていて、大陸の違いは実感できない。文化の違いもない。

 その長大な地上境界線の過半はロシア国内にある。その大部分はウラル山脈で、南北に長く直線状なので、自然地形なのにわさわざ地図上に引いたとしか見えない。ここは旅していなく、シベリア上空のジェット旅客機上からたまたま見た。ウラル山脈までがシベリア(アジア)でそこからがヨーロッパだ。機上から見ても直線状なのがわかり、両側が大平原なのに冠雪した山脈なので見つけやすかった。

 問題なのはアフリカ大陸とアジアとの境だ。スエズ地峡がそれらの境界だとする。エジプトは同国東部のシナイ半島地域がアジアになるほか大部分はアフリカの国だ。但しスエズの地峡と言っても、パナマ運河(約80km)の地峡の狭さと違い、スエズ運河は約190kmだ。

 ヨーロッパとアジアの境のほうに話を戻すと、ボスポラス海峡を北上して黒海からその支海のアゾフ海へと境界線は続く。ここはクリミア半島東のケルチ海峡が境だ(紛争地なので行けていない)。この境界だと矛盾があるのが黒海東岸の国・ジョージア(旧グルジア)の扱いだ。ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンのコーカサス三国はそれぞれ違う文化の国だが、ジョージアだけは東ヨーロッパ的だ。それが以上の欧亜境界説だとアジア側に入ってしまう(他の二国はアジア的だ)。

 ところで、以上の境界区分のヨーロッパ側は文化的にもキリスト教圏でまとまりはあるが、ユーラシアの残りのアジア側に宗教・文化的な統一感は全くない。まとめてアジアと見做したヨーロッパ人から見た「東方世界」なのだろう。その意味ではロシア連邦共和国が欧亜大陸に国内二分されている実態について知りたくなる。ソビエト連邦が1991年に崩壊して、15の共和国に分割された。ロシアはそのうちの主要な共和国だった。そのロシアも22の異民族自治国が内在している。それらは別として極東にまでロシア国本体は広がっているのだ。その東の果ての日本海に面したウラジオストク市に行ったことがある。ここは「日本に一番近いヨーロッパ」と言われるほど、建物とかの町の雰囲気はヨーロッパそのものだ。シベリア一帯はロシア人が東進して植民都市を建設した歴史があり、その意味ではロシア人がヨーロッパを連れて(広げて)きたと言える。

 三大陸、もう一組のヨーロッパとアフリカの境は地中海だ。ただ地中海は大陸間を隔てる大洋とは違う。ローマ帝国は地中海周囲に版図を誇った。地中海はローマ(ギリシア)文明の内海だ。むしろアフリカ側沿岸のマグレブ諸国(エジプトからモロッコまで)とサブサハラ(サハラ以南のアフリカ)との境になっているサハラ砂漠の自然障壁が地理的境界としては大きく、文化・宗教の違いも見られる。ヨーロッパとアフリカの大地を隔てるのはジブラルタル海峡。スペインのカディスとモロッコのタンジェの間は最峡部が14kmともう一つの出口のボスポラス海峡の0.7kmと並び、地中海は内海と言うには大きいが、出入り口が極端に狭い。古くはカルタゴ軍のハンニバルが、そしてその後はサラセン軍が容易にこの海峡を越えた。大陸間の海峡としては隔絶効果がない。

 そもそもだが、球形の地球に太平洋に切れ目を入れて東西に分けるのが困る(どこかに切れ目を入れないと平面地図にはならないが)。日本は西側諸国に属するが、その地理区分だと東側になってしまう。ユーラシア大陸が広すぎるので、欧州がそこだけヨーロッパとして切り離して残り東半分をアジアと呼んだにすぎない。そして世界区分もその西と対立する東に分けた。

 一方、南北は赤道を挟んで対称だが気温が違うなど絶対区分だ。日本海側の某県勤務のとき、太平洋側の日本の中心から見て「山の向こう(裏側)」扱いなのに憤って、南北逆さ地図を作った。南半球の豪州なども逆さ世界地図を作成している。北を地図の上方向にしているのは何故か、そしてその由来はどこからかが興味深い。

10/09/2021

レジ袋は引き続き実質有料に

 もしいま政府与党がレジ袋無料化(自由化)を決定したら支持率が上がってしまいそうで複雑なところ(音喜多氏)

 わたしはレジ袋(実質)有料化に賛成だ。ただしその理由は有価値で製造に費用のかかっているものは、紙袋でも、有料にするのが資源有効利用に資するからだ。もう一つの有料化理由のプラゴミが環境中にあふれかえる、は日本では当てはまらない。有料化してもポイ捨てする人はする。大部分の日本人はゴミの計画収集に協力し、その最終処分は有効利用(焼却熱利用も含む)されるからだ。

 レジにていちいち少額の料金をとるのは店側にとって面倒だ。だから、(いままでのように)商品価格に含めてしまって、マイバッグを持参の人にはポイントなどメリット付与すれば、それらの人には少しでもインセンティブにはなる。これはプラ製の包装などに限らずすれば、全体としてゴミの減量につながる。これはレジ袋有料化前に一部の店で実施されていた。

小泉進次郎さん肝いりの「レジ袋有料化」は岸田内閣で見直しされるか

10/08/2021

裁判中に被告に別ルートで接触?

 「夫が正しいことをしたことに財務省がどのような対応をしたのか調査してください」と求めた。「正しいことが正しいと言えない社会はおかしいと思います。岸田総理大臣なら分かってくださると思います」とつづった。雅子さん側は国などに損害賠償を求め大阪地裁で係争中。(日経)

 提訴したからにはその理由があるはずだ。被告の代表にその理由を強化するために聞くのは裁判上あり得ない。かくなるうえは裁判で決着をつけるのが最も正当だ。

 そもそも赤木氏が近畿財務局内で文書改ざんを強いられたのは、政治家の関与ではなく、理財局内での安倍案件であることの決裁文書コメントが余計だったことだ。安倍昭恵氏が籠池氏と昵懇であることが国有地の買収価格にそもそも影響はしない。これは籠池氏の勘違いだ。

 なお、新首相の岸田氏は「政治的に」対応する必要を認めている。これは総選挙直前で、野党が政治案件としているので、自民党総裁として対応せざるを得ない(行政の長の総理大臣としてではない)。赤木雅子氏はその状況(野党を利する)を知って求めているのだろうか?

 そもそもだが、この土地は国交省航空局がらみで、売却価格は同局で算定する。財務省近畿財務局は売却手続きだけだ。飛行機の進入コース直下で違法な廃棄物も埋設されているので、価格は最低とならざるを得ない。総理が口利きしなくても最安で手に入れることができる。籠池氏は政治家の力があるとの古い考えだ。政治家はこの手の単純な口利きをしなくなって久しい。

10/02/2021

前の200といまの200は違うのか

東京都の新規感染者報告数が200程度に下がった安心感のもと観光地が賑わい始めた。しかし、1年前の夏の感染者数で大騒ぎしたのを覚えているだろうか?春の第1回の緊急事態でその後50人以下になったが、夏にそれが500人程度まで増加した。それが夏の終わりに200人程度に収まったのにGoToトラベル原因説で沸騰した。

 1年後のいま、200人程度で安心感に浸っている。こういう数字のトリックが効く人は「朝三暮四」の猿と同じだ。