1/28/2022

コロナ対策の失敗は医系技官に責任

「コロナ禍という非常事態において、分科会でなく厚労省の医系技官がリーダーシップを発揮していたならば日本の新型コロナへの対応が科学的な政策からかけはなけれることはなく、人々の混乱や分断も少なく済んだと言えるでしょう」(元医系技官の木村氏)

 官庁内の技術職員はインハウスエンジニアと呼ばれる。行政の課題は極めて技術専門的なものが増えている。それらをすべて外部(今回の分科会も)に任せるのは危険だ。外部の民間人はいくら優秀でも専門閥の片方に属するかもしれないし、利益相反の疑いが拭えないからだ。そこで、インハウスの出番で、政府が技術を含む判断をするときには国家公務員の身分のインハウスエンジニアが不可欠となる。

 今回の反省で言うと、外部の分科会などの組織立ち上げのとき、会の専門家メンバーの選定に偏りがあるなどの失敗があったのではないか?もし失敗があったとしても途中で是正はできた。しかし、それを上申する厚労省の医系技官はいなかったようだ。

 私が所属していた建設省(現国交省)の土木系技官はこの役割を果たし続けている。インハウスエンジニア集団としては中央官庁最大のものだが、技術も日々研鑽しながらも当然ながら行政への目配りもでき、民間技術と行政トップとの正常な関係を保つのに貢献している。厚労省医系技官もそのような役割を今後は果たして欲しい。

1/24/2022

全人口が罹る可能性がある、という理論は間違い

新型コロナの「山火事理論」でいうと、感染しやすい人(山火事なら燃えるもの)にうつりきったら、新規感染者は増加からピークを過ぎて、減少の趨勢になる。これが第5波のデルタ株でみられ第6波のオミクロン株でもそれが予想されることは万人の認めるところだ(ほかに説明できる理論がない)。 

 全人口にはうつらない。これを認めることが話のはじめになる(8割おじさんはそこから間違っている)。うつらない人は、まずは、

・日頃から感染行動をとらない人が一定割合いる
・交差免疫が自然と獲得できている人がいる(日本全体だと「ファクターX」だ)
・オミクロンみたいに無症状のままが多いと、未検査のまま数にカウントされない部分が多くなる

から人口の数パーセントが罹るだけで流行は終わる。もちろん行動規制がされればその分は全体数に幾ばくか影響するが、それが自粛によるものだったら全体の急増減には影響することはない。

 そこで、オミクロン株の先行地域で英米南アだけでなく、同じ日本社会の沖縄県で検証してみると、1月になってオミクロン株が支配的になった感染状況で、ピークの1/15までに15,000人が陽性になった。県の人口は150万人だから、1.0%だ。同じ現象が東京都で遅れて発生しているとすると、1400万人×1.0%=14万人累計でピークになる。1/22現在で1月累計7万人なので、五合目だ。これからは数が多い状況で経過するので、いままでの日数よりは短期間でピークになる。一日1万人だったら、七日間。

1/17/2022

三方良し、に安住するコロナ対策

入院患者があと51人増えると病床使用率は20%に達し、「まん延防止等重点措置」の要請を検討することになります(TBS)

 まん防指定でとれる施策はまたもや飲食店の時短だろう。オミクロン株になって(経路不明を除き)感染経路の最大は家庭内だ。飲食店での感染はある程度は見られるが、これを撲滅しても、全体の増減にほとんど影響していないことは過去の「波」で明らかだ。

 なぜ飲食店の時短をまた要請するのか、というと、これがスムーズな施策になりつつあるからだろう。飲食店にはまん防指定とともに入店客は激減する。店はそれで打撃を受けるが、そのままでは補償は得られない。客が減るのを見越してあらかじめ時短要請しておけば、要請に応じた店に協力金という名目の補償ができる。行政側にしても「やった感」が演出できる。都民に対しては店も頑張っているのだからと言う、メッセージになる。

 店、行政、都民の三方良し、の日本的解決策だ。

【速報】東京都 病床使用率19.3%、20%で”まん延防止”要請検討
NEWS.TBS.CO.JP
【速報】東京都 病床使用率19.3%、20%で”まん延防止”要請検討
 東京都は16日時点での新型コロナの病床使用率が、前日から1.4ポイント上昇して19.3パーセントになったと発表しました。東京都が現在、最大で確保できる見通しの病床は6919床で、16日時点で1333...

1/11/2022

ワクチン拒否も検査拒否も権利だ

ワクチンを健康な体に接種して少ない確率でも副反応に苦しむのは嫌だ、というワクチン拒否は尊重すべき権利になっている。同様に感染の自覚がないのに検査を強制されるのを拒否するのも同等ではないか?専制国家の中国では天津市1,400万人に検査を強制している。

PCR検査をはじめ検査に際しもちろん体への悪影響はない。いまは唾を採取するだけらしい(検査の精度は落ちると思うが)。それでも偽陽性の可能性を排除できないので、検査の陽性結果で隔離されるのは「無実の罪」になる可能性は残る。さらに真陽性でも他人に感染させるほどでない場合もある。

そもそもPCR検査の精度が有効だったのは事前確率が高い母集団(濃厚接触者も)への検査の評価だったからのはずだ。それを1,400万人の全人口を対象にしたら偽陽性が続出してしまう。それでも中国だったら「疑わしきは隔離」がまかり通るのだろう。もっとも陰性が確認されても全員隔離するのが都市封鎖だ。

このようにそもそも100%確実とは限らないPCR検査を本来の咽頭部からの採取でより簡便に唾でとか、さらに簡易速効な抗原検査で済ませて「安心」にはならない。それよりも体温(遠隔)検査とかを多用し自覚症状を隠している潜在患者をあぶり出したほうが合理的だ。

検査は100%確実ではない。そうであれば、検査の範囲を日本のように事前確率で絞って、それ以外の無症状感染者起因の感染は見逃しても仕方がない。そもそもその確率は低いと考えるのだ。中国のように「ゼロコロナ」を目指すのは無理だと。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9e67c7cff9f71b11e894817aa40cb9a087dded6c


1/06/2022

感染症対策はPDCAサイクルで

PDCAサイクルという言葉がある。これは感染症対策などの不確かな施策にも応用できる。このサイクルを回すことによって、対策の内容をより現実にあわせたものに改良できる。

新型コロナウイルス感染症の対策の基本は人と人との接触感染の確率が低くなるように改善することだ。そのための基本としてマスク着用と三密回避は常に必要とされてきた。

問題は感染拡大局面でさらに接触の場面を減らすためにこれまでそのときに採用されてきた「飲食店時短要請」だ。Planするときにどの程度その時短が感染事例を減らしたのか、Check時にその要請の結果どの程度感染事例が減ったのか、を検証しなければ、次のサイクル(再要請)を始めることができないはずだ。このチェックは感染症対策の中での保健所の本来の仕事だ。

今回の予想される第6波からはワクチン接種と経口治療薬が施策のエースとして加わる。だから、新規感染者数のうちワクチン二回接種者の数(ブレークスルー感染だ)、そしてその接種済みのなかで重症化(死亡)した患者の数、これらの統計が欲しい。第6波ではオミクロン株が加わったので、以上のうちのオミクロン感染者のなかでの数。

もちろん、重症化予防の経口治療薬の効果も軽症者のその後を追跡すればわかる。この効果測定が、新薬認可時の治験よりも実際の値として貴重だ。新薬を急ぐときは安全性を確認したもので臨床で効果測定してもよいくらいだ。

政府と都道府県が第6波に至っても相変わらず既存の施策(飲食店時短とか)の継続しかできないなら、以上のPDCAサイクルができていないことになるだろう。

1/04/2022

特殊事情の低賃金が日本の平均賃金を下げる

日本の賃金は先進各国に比較して低水準だとの指摘がされている。主な理由として最近の非正規労働者の割合が増えていることが挙げられている。

しかし、それだけではない。日本の特殊要因として賃金の平均値を下げるのは、

①年金制度に在職老齢年金があり、正社員などをリタイアして引き続き働きたい高齢者で、年金を併給される場合、ある額以上の給与を支給されるとその超過分は年金からそのまま控除される。給与の増加分が年金額から削減されるので、本人あるいは雇用者にとって年金支給者への給与を抑える積極的誘因となってしまう。(収入総額で給与必要額を判断されてしまう)

②同様なのが、配偶者のパートタイマー労働だ。年収103万円が所得税配偶者控除の限度だ。大部分の配偶者がその金額以下で(むしろパートで)働くほうを選択してしまう誘因だ。

③海外からの労働者が、技能実習生という制度名とはかけ離れた低賃金労働を強いられている。これは明らかに労働基準法とか最低賃金制に違反する雇用だ。是正しようと、特定技能労働者制度が発足したが、その普及はまだまだだ。海外の低賃金労働者を必要とする特定の産業分野(野菜農業など)があることが真因だ。

正規労働者(正社員)の給与水準はそこそこなのに、①〜③などの特殊事情の低賃金者を加えて平均を算出したら、低賃金の統計となってしまう。さらには団塊の世代がリタイアし、急激な高齢化により、年金生活者の割合が増えれば、それらのボリュームゾーンが年功序列最高賃金から一気にゼロないしは低賃金となるので、経年的にも賃金水準が平均値では落ちてしまう。

必要なことは全体の平均だけではなく、例えば、年金世代以外の世帯主の賃金を統計の対象にすることなどだろう。