4/30/2008

一般財源化は炭素税への全面転換を条件に

五月中旬に道路関係の歳出法(道路整備費財源特例法)を再可決するのに併せて、首相公約の道路財源の一般財源化を閣議決定の予定だという。バランスをとった格好だ。
しかし、一般財源化に納税者の理解が得られるのか?ガソリンなどを一人あたり多く消費するのは都会より地方だ。一般財源化で潤うのはすべての人だから、人口の多い都会部に地方の金が回るという、税の再配分機能の逆になってしまう。この不公平がまだ解決されていない。
ガソリンほか自動車関係税の徴税目的を再構築しなければならない。
炭素税が最適だ。石炭石油天然ガスなどの化石資源を輸入するときに炭素重量で課税してしまう。これらはいずれは二酸化炭素になるからだ。発電用の石炭あるいは重油にも、家庭用の灯油にもかかる。原子力発電用のウラン燃料にはかからない。だから、エネルギー源の大転換が進むだろう。
ディーゼル車は燃費がよいとされるが、軽油の炭素分の割合がガソリンより多いから、よくないかもしれない。原子力発電の電気で家庭暖房をしたほうが灯油より経済的になるかもしれない。

この炭素税(一種の環境税)は、炭素の排出を抑制するための税で、環境目的に使う意味で誤使用されている「いわゆる環境税」と間違えないことだ。一般財源化とは使う目的を限定しないところに意味がある。もちろん道路にも使える。必要な道路に十分なだけ。

4/24/2008

中国とは仲が悪い、をスタートに

文痴は3/28にも「中国とは所詮他国だ。適当につきあえばよい」と書いた。
4/24朝のニッポン放送出演の文筆家(外務事務官起訴休職中)佐藤優氏によると、世界で隣国は通常仲が悪く、とくに、ギリシャとトルコ、ロシアとポーランド、イギリスとアイルランドがそうだと例示していた。
日本も、韓国(北朝鮮)ともそうだが、いま問題の中国とはそもそも仲が悪いことを出発点としたらよい。それでこそ、それを少しでも良くしようする両国の努力が生きてくる。古くは聖徳太子が随の皇帝と言い争い、「日出ずる国・・・」の国書を送った。まずは立場が違うことを外交の出発点とすべき見本のような言葉だ。
それにしても福田首相は、相手の嫌がることはしない、という外交の真剣勝負にふさわしくない態度だ。ブリッジゲームのように自分をまずは高く見せる(見せかける)ことができない。日本人の特性なのだろうか?

4/23/2008

チベットに理解の中国人

ニッポン放送の4/23朝の番組での東海大学葉千栄教授の話し。中国語でブログを開設しているが、葉氏の反仏デモは良くないとの意見に対し、中国国内から同調のコメントが多数寄せられているとのこと。
日本ではTVなどマスコミが反仏の一部の中国人デモばかりを伝えているが、多数は冷静な判断をしている証拠だという。
ま、当たり前のことだ。13億人もいれば、反日など歴史教育にもかかわらず、いろいろな意見があるのは当然だ。日本でも、反中ばかりでなく、親中(反日?)の存在も広く伝えられている。
問題は、中国国内ではこのような言論の多様性の報道がなされないことだ。チベット問題についても中国人の意見は多様だと思う。それが政治に反映されない、させない中国政府が今回の問題だ。

4/22/2008

中国が豊かになって、モノが安くなり高くなった

世界的な資源の高騰、とくに食料、化石燃料が投機もあって値上がりしている。それが日本の庶民の懐を直撃し、大変な生活苦になっていると「世界を恨んで」いる。
でも、資本主義市場経済だから、ものの値段がいまではグローバルに変動するのは、むしろ当たり前なのだ。値段の高低に従い、消費の対象を変えていくたくましさが現代人には不可欠だ。全体から見れば、市場の(プライス)情報により資源の最適利用が図られる、というやつだ。
経済のグローバル化がすすみ、中国などの工業化により、モノの値段がずいぶんと安くなった。近年の物価水準の低落はデフレからではなく、この中国要因が多いと言われる。その中国人はこうなる前は、地域経済の範囲で生活してきた。それが工業化のすえ、世界貿易に飲み込まれるようになって、豊かになった。豊かになれば、豊かな食生活などのため、世界に食糧、資源を求めるようになる。
需給関係がタイトになったのですね。インドもあわせると13+11=24億人が市場に参入したわけだ。

日本人はお金を持っていれば心配することはない。グローバル経済とは金持ちのところに商品が必ず行く、という仕組みだ。第一次石油ショックの時、日本は親イスラエルとみなされ、石油の禁輸措置がとられたが、まわりまわって結局は日本に石油が入って来、輸入統計上はこの期間の減少は認められなかったという。金持ち日本は心配するに及ばなかったという。(心配した人々がトイレットペーパーを買い占め、そのためモノ不足となったに過ぎない)

4/21/2008

後期高齢者医療保険別枠の不思議

後期高齢者(75歳以上)の医療保険制度を通称「長寿医療制度」と改めるのは枝葉末節のことだ。
問題は、後期高齢者だけの制度を別立させることの是非だ。本人拠出を新たに設け、国費補助は50%、若年の保険から40%の拠出を受け、いままでゼロだったものをそれでも10%に抑えるという。単一市町村では収支にばらつきが生じすぎるので、都道府県単位の広域連合に運営を広げるという。将来の赤字に備え、よく考えたものだと思う。
しかし、問題はこれでは解決しない。過剰医療、それも後期高齢者はどうしても病気がちなので、とくにその世代への「過」過剰の医療が是正されなければ、「備えた」ことにはならない。後期高齢者だけを別枠にして、さあ独立してやってご覧、と言ったって、そこに赤字が移るだけで、全体合計では何も変わらない。
過剰治療の医者も問題だが、受ける高齢者だって、本人拠出あるいは窓口負担の額はなんのその、少しでも健康に不安があれば病院に駆けつける。その金も暇も十分ある(若い人は病気がちでも医者に行く時間がない)。保険を払っているのだから医者に行かないと損だ、という保険制度の根幹を崩す考えが日本人にはある。健康な人が医者にかからない、というのが保険制度の前提だ。
窓口負担をこの別枠制度の収支をとれるまでに割合をアップしなければならないだろう。しかし、そうすれば、健康な老人はこの制度から脱退し(できないが)、民間医療保険のほうに移行するかもしれない。民間のほうが健康非健康での査定をきめ細かくできるのかもしれない。

米国の大統領選挙では国民皆保険が争点になっている。国民間の不公平感がもともとあるから、医療保険制度は最初から成立しないのだろう。我が国もこれからそうなるのかもしれない。

4/18/2008

クラスター爆弾は非人道的?

クラスター爆弾を国際条約で禁止しようという動きになっている。それは米軍だけでなく、日本の自衛隊も装備しているという。戦争の武器は敵軍の攻撃能力を殲滅するのが目的だから、なかでも対人殺傷能力を持つことが大前提となる。だから、人を能率良く殺すことが「良い」兵器の性能なのだ。
クラスター爆弾は航空機から投下する爆弾型ケースのなかに数百個の子爆弾が納められ、そのケースが空中で分解し、子爆弾が広範囲にばらまかれる、という仕組みになっている。 散開する兵士を対象とする爆弾で、「能率良く殺す」という性能にピッタリだ。
そのうちの不発弾の判別がしづらく、戦後に民間人への被害が続くという欠点はある。そうであるなら不発の率を少なくするように改良するとか、小さくとも危険な不発弾があることをPRすればよい話しだ。
禁止対象としようとしている一方の地雷はそもそも秘匿のため埋設するもので、だから戦後の除去処理が困難な問題があるが、不発弾は通常の大きさでも、このような小型でも、処理の方法に変わりはない。「不発」であったことが問題なだけだ。

中国に民族意識、チベットにも民族意識

チベット解放のため、世界各地で五輪聖火リレーに抗議の動きが高まっているが、それが中国国民にも伝わるようになってきた(これはこれでよいことだ)。その結果、民族意識から西欧のこれら動きに逆に抗議する中国人が多い。
中国にも民族意識があるなら、チベットにもある。そのことに中国人がいつ気がつくのだろうか? いまでも中国人のごく一部にはチベット人のことを思いやる人もいる。
報道の自由、言論の自由が徹底されれば、中国国内でも問題は自ずと解決されていく。中国政府はこの大きな流れに棹さしているのだ。それを、わかっていないのか?それとも抵抗して時間稼ぎをしているのか?

4/17/2008

形だけの民営化(Jパワー)

4/16の4チャンネル、NEWS ZEROで村尾キャスターが私論として、Jパワー(電源開発(株))の外資規制より、公的関与の是非を議論するのが本質で、もし民間開放と言うことになれば、内外(資)差別すべきでない、と主張していた。たとえば、1/3の政府株を残し、以外は規制なし、の案もあると。
文痴の4/7の「Jパワーも完全民営化は不可」と通じるものがある。となりの6チャンネルとは大きな違いで、いいことを言う。
公的関与を残すことが必要な公的基幹事業で、見せかけの民営化をして失敗した事例は枚挙にいとまがない。
歴史の忘却のかなたになった「第三セクター」。官に民の良いところをが、官民の悪いところを残す結果となった。
東京湾横断道路(株)。この会社を形式的に上に置いただけで、実際は道路公団が仕事を続けた。その後、六つの高速道路(株)ができて形式と実際が合致した。
過去の形だけの民営化から、最近の民営化の行き過ぎへと、大きく振り子が振れただけだ。真ん中に戻さなければならない。公的基幹事業の完全民営化(株式上場)は誤りだ。

4/15/2008

「必要な道路は造る」は日本語か?

道路特定財源の一般財源化に伴い、自民党内での決着は、一般化しても「必要な道路は造る」だった。
日本語は難しい。必要な道路は造らないわけにはいかない。不必要な道路は造ってはいけない。当たり前のことをなぜ決着に際し言わなければならないのか?
以前、「真に」必要な道路整備、なる言葉が広まった。「ウソの」必要があったからか?
いずれにせよ、(一般財源化よりも)すべてで必要なところに予算を投じてほしい。不必要な福祉予算、環境予算も多い。
予算が潤沢になったところに無駄が新規に発生する。

4/11/2008

映画「靖国」への攻撃、と妄想

映画「靖国」は見てはいない(まだ、映画館で上映されていないが)。でも、その前の館外戦には日本のサヨク文化の特徴が現れている。
上映を進めるサイドは「蟹はその甲羅に似せて穴を掘る」状態だ。自らの筋書きでしか、相手方を見ることができない。「靖国」上映には幾多の妨害が入るはずだ、そのときは言論報道の自由を掲げて戦うしかない、と悲壮な覚悟で、いわば被害妄想に陥っているのだ。
稲田議員、有村議員など、その相手方にならされるほうは、言論の自由を侵すような古い手は今時使うはずがない。そんなに頭は悪くない。二議員とも賢い女性だ。
いまそのような古い手を使っているのは中国ぐらいではないか?

条約の批准と同じなのに(道路一般財源化)

民主党は与党と道路特定財源の交渉を進めるのに、一般財源化の約束を党議(閣議)決定してから持ってこい、というのはない。
交渉ごとだから、窓口同士が妥協点を見つける努力をする。当然、それぞれ内部の了解は内々得ておくようにする。まとまったら、双方持ち帰って、正式な党議決定をする、という順番になる。
条約の締結に似ている。政府同士がまとまっても、あとに議会の批准(正式な国家意志)が必要だ。議会の承認がなければ、政府同士の交渉ができない、のでは進まない。

なお、一般財源化に文痴は反対だ。念のため。

4/09/2008

メタンハイドレートも温暖化ガスに

(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が日本近海の深海底からシャーベット状のメタンハイドレートを産出する実験に成功した。次世代エネルギー源として歓迎されている。

しかし、メタンは炭素と水素の化合物でエネルギー源として取り出せば、二酸化炭素の純増因となってしまう。
そもそも地球は地質年代を通じて最近数億年の間にも大気中の二酸化炭素の濃度が大変動してきた。濃度が高い時代は、数千PPM(数%)と現在の数百PPMの十倍以上だった。今世紀の100PPM増ぐらいで大騒ぎしているのとは桁が違う。その時代の空気中の炭素がいまどこに行ったかは大きな謎だが、石炭石油の化石燃料となって地中に閉じこめられたのも一部だと言われている。メタンハイドレートもその生成メカニズムは未知だが、結果的に炭素が海底に固定され、大気中の二酸化炭素の減少につながっている。石炭、石油と同じなのだ。

ちなみに、二酸化炭素濃度が最大の時は地球温暖化が進み、恐竜全盛で、ほ乳類も進化し、その後の人類誕生につながる流れとなった。地球温暖化が生物の進化をもたらしたと言っても間違いない。

4/08/2008

宣伝戦に負けた中国

北京五輪の聖火リレーがロンドン、パリで大変な騒ぎになっている。もともとはPRあるいは事前の盛り上げのためだったものが、チベット解放の主張のための格好の場を提供することになってしまった。チベット解放運動はこの場でしか主張できないのだ。チベット現地では死ぬ覚悟がいる。
IOCと中国は国際宣伝戦に負けている。下手なのだ。
戦中の蒋介石の中華民国は日本軍を国際宣伝戦で負かした。幻の南京虐殺はその行き過ぎが未だ続いている。その中国が共産党になってなにもかもうまくいかないでいる。

4/07/2008

Jパワーも完全民営化は不可

Jパワー(旧電源開発)の株式を外資が限度額を超え取得しようとしているのに待ったがかかっている。
2/13に羽田空港ビルの同様な問題で書いたが、それと同じで、「外資」がではなく「上場」が問題ではないか?今回と成田のビル(滑走路含み)には法律による外資規制があるが、問題点は完全民営化により一般株主が経営を支配することの是非だと思う。外資が日本人を隠れ蓑に買収する場合がある。

公的施設の運営を民営化する動きになっている。NEXCO(6つの高速道路株式会社)しかり。まだ、上場はしていないが、Jパワーも空港もあわせ、独占企業だし、国家基本施設なので、一般株主が経営を支配しないように、少なくとも1/3は(拒否権として)政府保有として残すべきだ。

一般株主のうち日本人はただ単に値上がり益あるいは配当を期待するだけ、と甘く見られている。空港ビル会社への役人OBの就職すらもチェックしないと考えられている。

4/04/2008

一般財源化するとさらなる無駄が

文痴は2/4にも一般財源のどんぶり勘定的問題点は書いた。以下、その続き
確かに道路特別会計には個々の無駄遣いの例が多い。しかし、これは「小さな無駄遣い」であって、是正はすべきだが、一般財源化することにより「大きな無駄遣い」になっては困る。
一般財源の無駄使いの大きな例は、福祉、医療、教育予算だ。「入るを図って出るを制する」が予算の基本だが、日本の場合、歳入を無視して歳出のみのぶんどり合戦的議論になりやすい。そういう国民なのだ。小さな証拠だが、農水省関連の公共事業は一般財源からなので全く必要のないものまで実施されている(2005.10.21読売新聞「論点」井堀東大教授より、一部文痴の表現)。それと比較すれば、道路予算は道路特定財源の範囲で実施している、「入るを図る」事業とも言える。
また、ガソリン税を一般財源に入れることになると、欧州諸国のようにその後の税率アップに歯止めがかからなくなる弊害が指摘されている(2005.10.24読売「ワイド時典」)。まさに、出し放題のつけを入るに押しつける、状態になる。

4/02/2008

ゲームの理論、ガソリン販売

ドライバーが選択可能な距離に二店のガソリン給油所があるとする。A店は真面目で、タンクの中の税金が25円高いガソリンを売り切ってから25円安く売ろうと考えている。この考えはライバルのB店も同じ考えでない限り貫徹できないだろう。当然売れないので、いつまでも在庫のままで、四月しばらく以降に入荷する安いガソリンをタンクに収納できない。
B店は、四月始め~五月始めの期間で収支を合わそうという考えだ。四月の始めにたとえば23円値下げしても、2円高いと言うドライバーはいない。この2円でもってこの間の収支を均すのだ。五月に税金が元に戻ったときは、すぐに25円分値上げする。当面は売れなくなるが、そのうち高いガソリンだけになれば売れるようになる。

最初の戦略と最後とは違う、ゲームの理論だ。

4/01/2008

もっと議論を、より、新提案

ねじれ国会で、与党・自公と野党・民主がにらみ合ってものごとが決まらない。その対決を国民に代わって行司するマスコミの、TVは国民の愉快感を代表し野党ひいきとなり、新聞論調は理屈の面を代弁し両党の中間的立場をとる。
新聞社説で「与野党はもっと議論を戦わすべきだ」というのがあった。民主主義の定義のようなことを言う。不偏不党の立場をとりたいらしい。社説だから自紙の主張を書くべきだが、書いたとしても足して二で割る仲裁的なものしか出てこない。選手たちは泥仕合に夢中になって広く視野をとれないのだから、頭のよいマスコミは泥田の外に引きずり出すような新提案をしたらどうか?

文痴の新提案は、
①道路特定財源は道路整備の進展を見た現在、本則分を含め(52円)全部廃止する。その代わり道路予算は一般財源で手当てする。
②一般財源で不足する5.2兆円は消費税7%とし2%上げて充当する。
③ガソリンが安くなりすぎる分は環境税として新規に徴収を検討する。その場合、環境税としてはすべての炭素源(石油、ガス、石炭)に徴税対象を広げる。