12/23/2019

女性を保護するのは蔑視の現れ


人を印象だけで判断するのでは江戸時代の大岡裁きだ。当時は証拠集めなど完全にはできないから、奉行の印象で「あやしい」とみたら有罪だ。

 とくに多いのが、か弱い女性だから、本当のことを言っているに違いない、というものだ。そのように世の男性は女性を保護すべき特別存在としてきた。裏返してみると、女性蔑視も甚だしい。女性も知性が溢れ、体力もある。でも男性はそれらライバルを祭り上げることにより、競争者を男性だけの半分にしようとする。女性も保護対象にしてもらった方が楽だ。

 そのようにして西洋では女性優先(レディファースト)の社会(実は女性除外)を作り上げた。日本などの東洋ではもともと女性は強い存在だった。それが西洋文明を取り入れる過程で女性保護の制度まで一緒に入れてしまった。

 刑法も民法も男女による差別は認めていない。ここは伊藤氏、山口氏の民事裁判を先入観なしに観察すべきではないだろうか?
【記者会見の印象だけで判断できない】
「捜査の過程では、被害者として耐えられないことがたくさんありました。男性警官がいる前で私が床に寝転がり、大きな人形を相手にレイプされたシーンを再現させられました。さらにそれを写真に撮られるんです。口頭で説明すれば状況はわかることなのに……。本当に苦しかった」
さらにインターネット番組「日本の病巣を斬る」では漫画家・はすみとしこ氏が「枕営業大失敗!!」と描かれたイラストを掲げて、伊藤氏を侮辱。それを見て自民党・杉田水脈議員(52)は嬉しそうに微笑し、「女として落度がありますよね」「断るのもスキル」などと伊藤氏を揶揄した。(女性自身)
 刑事民事ともに裁判では刑事罰とか賠償金が科せられるだけに、証拠があいまいなままでは無実の罪になる、より大きな不都合が待っている。「被害者として耐えられない」のは仕方がないことだ。とくに準強姦(罪、被害)は当事者しかわからないことが多いので、第三者が根拠なしに応援すべきことではない。
 「女性自身」という誌名も不思議だが、美容院の待合室で読まれる程度のものだ。

JISIN.JP
ジャーナリストの伊藤詩織氏(30)が元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)から性的暴行を受けたとして起こした民事訴訟に12月18日、判決が下った。東京地裁は山口氏に330万円を支払うよう命じた。   各メディアによる...

12/19/2019

土地譲渡益と安価労働動員が中国経済のマジックだった


地方財政は土地財政でもあり、公有財産である土地使用権の譲渡による収入に支えられている(福島氏)

 中国は共産主義で土地はすべて国のものだが、使用権は民間に金銭譲渡することで事実上財産扱いされている。その莫大な面積の土地譲渡収入が中国の富のもとになる。

 また、ついでに言うと、いままで安価だった労働力もその製造業への動員過程で付加価値となり、輸出で富をもたらしてきた。これら二つがなくなりつつある今、驚異的な富に裏付けられただけだった経済発展はなくなるのが当然だ。いままでがマジックだった。

JBPRESS.ISMEDIA.JP
中国の来年の経済政策の大筋を決める中央経済工作会議では、目下直面している国有企業のデフォルト問題や地方債リスク、不動産企業集団破産リスクなどに対して、どうするのかといった具体策は出なかったようだ。

11/24/2019

どこまでが守るべき個人情報か


日本でも成田、羽田などの国際空港での出入国手続きで顔認証が始まった。本人確認はパスポートの顔写真との照合が必要で、それを機械化するのに何の疑問もない。その顔写真データを他には利用しないことだ(消去される)。

 一方の中国では国民の大部分がその便利さと監視社会になっての社会秩序のほうがプライバシーより重要だと思っている。共産党政権が独裁的に進めているだけのものではなさそうだ。世界の多くの低開発独裁政府にはこのシステムは魅力的だ。AIが監視社会を支援するからだ。

 民主主義の香港での運動に対し中国大陸住民が敵意を抱いていることからも中国ではAI監視社会は国民の支持を得て進むだろう。

 なお、日本で根強い抵抗があるマイナンバー制度だが、データベース化されているのは、氏名、性別、生年月日、住所だけの市町村役所にいまでも必要な情報だけだ。写真はマイナンバーカードは張り付けているが、運転免許証と同様、データベースにはなっていない。この程度を個人情報だと大騒ぎする日本で顔認証システムが社会インフラになることはないだろう。
GENDAI.ISMEDIA.JP
中国では電子マネーの普及に合わせ顔認証システムが劇的に進歩し、普及している。顔認証決済は、パスワード、QRコード、指紋認証よりはるかに利便性が高い。しかし、一方で、中国では、すでに約2億台の監視カメラが全...

11/18/2019

海水面上昇は何cm?


1枚目の図は世界の海水面の状況、2枚目は日本近海での観測結果だ。いずれもこの百年の変化が読み取れ、世界のそれは単調に10数cmの上昇、それに対して日本近海は上昇、下降、上昇と繰り返した結果10cm程度の上昇にとどまっている(矛盾する)。

 海面上昇の要因としては海水温上昇による膨張が主だ(IPCC報告書)。20世紀後半は一時寒冷化が進んだので、水位が下降したのは頷ける。一方、地球温暖化で海水温が上昇すれば海水膨張により水面が上昇することも。

 かつての氷河期に氷河の陸氷に地球上の水分が固定され、海水面が大幅に低下し、あるいは、縄文時代の温暖化で海水面が数メートル上昇したのとは、この百年の変化は違うように思える。陸氷(南極とグリーンランド)の収支が海水の増減にどれほど効いているのかもわからない。

 いずれにせよ、今後とも世界各地での潮位観測が必要だ。そして数10cm程度の上昇では防災上困難になるほどの影響が出ないことはもっとPRしてよい。ベネツィア、南太平洋諸島のように地球温暖化による平均海面の上昇にすべての高潮現象の原因を押しつけず、もし高潮災害の対処が必要なら、温暖化適応策としてのインフラ整備の着実な促進に結びつけてほしい。

11/11/2019

壁でもベルリンと米墨とは違う

市民グループの代表は、「私たちの社会や心の中に存在する壁をなくしたいというメッセージを込めた。アメリカが当時、壁をなくすための闘いの最前線にいたということを、トランプ大統領やアメリカ国民に思い出してもらいたい」(NHK)

 ベルリンの壁とアメリカがメキシコ国境に建設している壁とは決定的な違いがある(勘違いでないとよいが)。ベルリンのは自国民の旅行の自由を奪い閉じ込めるためだ。アメリカのは他国民が不法侵入しない国境管理のためだ。

 似たような勘違いにsuicide attackがある。911のはテロリストによる不法行為で、罪のない人々を巻き込んだ。戦中日本のは戦時戦術の一つだ。
このウェブサイトについて
WWW3.NHK.OR.JP
東西冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩壊して30年となった9日、ドイツの市民グループが、アメリカのトランプ大統領に壁のない…

11/02/2019

崩壊(焼失)遺跡を見て教わること(カンボジア、首里)

1枚目の写真はカンボジア・アンコール遺跡群の一つであるベンメリア遺跡。有名なアンコールワットの東40kmにあり比較的知られていない。寺院配置はアンコールワット(寺院)と類似し少し小ぶりだ。価値があるのは石材を倒壊したまま放置しているのを見せていることだ(天空の城ラピュタのモデルになった)。倒壊原因は基礎が重い石造建造物としては軟弱で長い間に傾斜しバランスを失したのだろう。単に積み上げているだけの造り方だ。アンコールワット近くのタ・プロム寺院は着根植物が巨樹に生長して石材を支配しているように見えるのが観光価値となっているの似たような崩壊過程だろう。

 ガイドはアンコールワットの本番に備えての練習用の寺院建造だと言っていた。でも、このベンメリアにも多大の労力がかかっている。放置したのはアンコール王朝が衰退し補修・再建の資力がなくなったからだろう。当時は大変だった石材の遠くからの運搬は必要ない。散乱したものを積み上げるだけで元に戻る。練習したとすれば確固とした基礎の必要性だろう。

 関連するが、このような世界に見られる石造遺跡で天井がないのはそれが木製だ(っただろう)からだ。写真ではアーチ型の石造屋根残っている。カンボジアは熱帯ジャングル地帯で、いまも昔も原木には事欠かない。一方の石材(砂岩)は遠い山岳地帯から運ぶ貴重品だ。木材天井も建物には不可欠だが、建物自体が崩壊して使われなくなったので、なしのままだ。

 最新ニュースの首里城焼失だが、木造建築で永久に保つものはない。建築技術が伝承されていれば、20年ごとの式年遷宮と同じ考えで再建すればよい。大騒ぎする理由がわからない。焼失前のものも再建物で、歴史的価値はない。火事はある確率をもって繰り返される災害だ。絶対に失火しない、あるいは、落雷などの自然発火は防げない。

 原発事故も津波などの自然災害からは100%は防止できない。その確率が極端に小さい(年確率1/1,000とか)から、「事故が起きたら対処する」考えでよい。木造遺産と同じでよい。

 日本人にはこのリスク管理ができない。事故は少ない確率で起き、それにどのように対処するかが知恵の見せ所だ。ゼロにできないリスクを無限に減じようとするのは無理な場合がある。(再建後の首里城建築にスプリンクラーとか配置しまくるのであろうか?)

10/15/2019

防災インフラ整備は毎年着実に


地球温暖化の適応策にもなるインフラ整備だが、今回の大災害でこれら治水事業推進ににわかに追い風になってきた。これはこれで国民の意識が日頃の防災に向かっている、ということで泉下の寺田寅彦も評価しているのではないか?

 ただ、財源が確保されてももう一つ足りないものがある。それは公共事業の執行体制だ。災害後の復旧は急ぐ必要があるが、いままで遅れていたインフラ整備を一気に挽回することまで必要だろうか?

 自然災害は毎年、ある確率をもって来襲する。今後数年間で必ず(100%)発生するとは限らない。だから、毎年地道に防災施設の整備を積み上げるという方法になるだろう。財源がより多く期待できるなら、その進捗をその分速くできる。

 原発への津波で貞観規模のものの恐れがわかったとして、いつ来襲するかわからない(わからなかった、すぐ来たのは結果論だ)ので、未来を予測できない人間は、それでも毎年津波対策を積み上げるという方法しかなかったはずだ。これもよく似たことだ。
GENDAI.ISMEDIA.JP
台風19号が、東日本に甚大な被害を与えた。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された方にお見舞い申し上げる。筆者は、週末に大阪に行っていたため、12日(土)に大阪にとどまらざるを得ず、自宅のあ.....

10/14/2019

浅川で排水するしかない


ビックリしたのは、破堤した千曲川沿いが一番低いわけではない。むしろ水没した新幹線車両基地付近が比較的低地だ。その地域の排水はかの有名な浅川が引き受け、その千曲川への合流は平野の最下流部だ。

 千曲川が扇状地河川の形態をなし、最標高部を通過している(土砂堆積によりそうなった)。脱ダムされそうになった浅川も扇状地排水河川として重要だ。

10/12/2019

この40年は中国人にとっての大変化


NHK特集「シルクロード」の初回放送はS55年だそうだ。40年前の石坂浩二氏ナレーションをいま再放送している。当時が懐かしいが、映像を見るに、懐かしいのはむしろ中国人だろうと感じる。

 40年前の中国は貧しかった。鄧小平が13億人民を豊かにするなら、資本主義でも何でも使って、経済を発展させ続けた。その結果、今の中国の近代的生活となって、そこからはこのシルクロード映像中の貧しい中国人の姿は想像できない。

 中国「人民」が現共産党政府を評価してきたのはその点にある。これだけ豊かさをもたらしたのだから、香港のように文句は言えないと。ただ、功績は鄧小平路線にあるので、それを毛沢東にまで戻す習近平路線はどうなのか、という合理的考えはあるだろう。米中経済戦争の結果、それらが評価にさらされるかもしれない。

 ちなみに私は最近、狩野川台風のS33年(さらに20年前)のことだったら懐かしく感じた。

10/11/2019

防災に小さな改善しか出来ない

下記は災害列島に住む日本人には「小さな」改善にしかならない。家屋そのものは健全である、と言う前提での準備だ。

 これら直前に出来ることも必要だが、もっと必要「だった」ことは災害リスクの少ない家屋構造への改築、新築移築の場合はリスクの少ない宅地の選定。これらは災害リスクのハザードマップを見ればわかることだ。

 千葉の風災害もコンクリート造であれば問題なかった。広島の土砂災害もそうだ。広島の場合、土砂災害危険区域には住まないことだ。

 これら近年災害の教訓だけでも「長期的」な観点で改善すべきヒントは多い。災害列島に住んでいて、記憶する災害がわずか一ヶ月前の台風15号だけだというのも記憶力がなさ過ぎる。寺田寅彦師が「忘れた頃にやってくる」と言ったのは「忘れるから再度災害になる」と同意味だろう。
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台風19号が関東・東海に上陸する可能性が高まっています。 東京など大都市圏を含む広 - Yahoo!ニュース(ウェザーニュース)