11/24/2019

どこまでが守るべき個人情報か


日本でも成田、羽田などの国際空港での出入国手続きで顔認証が始まった。本人確認はパスポートの顔写真との照合が必要で、それを機械化するのに何の疑問もない。その顔写真データを他には利用しないことだ(消去される)。

 一方の中国では国民の大部分がその便利さと監視社会になっての社会秩序のほうがプライバシーより重要だと思っている。共産党政権が独裁的に進めているだけのものではなさそうだ。世界の多くの低開発独裁政府にはこのシステムは魅力的だ。AIが監視社会を支援するからだ。

 民主主義の香港での運動に対し中国大陸住民が敵意を抱いていることからも中国ではAI監視社会は国民の支持を得て進むだろう。

 なお、日本で根強い抵抗があるマイナンバー制度だが、データベース化されているのは、氏名、性別、生年月日、住所だけの市町村役所にいまでも必要な情報だけだ。写真はマイナンバーカードは張り付けているが、運転免許証と同様、データベースにはなっていない。この程度を個人情報だと大騒ぎする日本で顔認証システムが社会インフラになることはないだろう。
GENDAI.ISMEDIA.JP
中国では電子マネーの普及に合わせ顔認証システムが劇的に進歩し、普及している。顔認証決済は、パスワード、QRコード、指紋認証よりはるかに利便性が高い。しかし、一方で、中国では、すでに約2億台の監視カメラが全...

11/18/2019

海水面上昇は何cm?


1枚目の図は世界の海水面の状況、2枚目は日本近海での観測結果だ。いずれもこの百年の変化が読み取れ、世界のそれは単調に10数cmの上昇、それに対して日本近海は上昇、下降、上昇と繰り返した結果10cm程度の上昇にとどまっている(矛盾する)。

 海面上昇の要因としては海水温上昇による膨張が主だ(IPCC報告書)。20世紀後半は一時寒冷化が進んだので、水位が下降したのは頷ける。一方、地球温暖化で海水温が上昇すれば海水膨張により水面が上昇することも。

 かつての氷河期に氷河の陸氷に地球上の水分が固定され、海水面が大幅に低下し、あるいは、縄文時代の温暖化で海水面が数メートル上昇したのとは、この百年の変化は違うように思える。陸氷(南極とグリーンランド)の収支が海水の増減にどれほど効いているのかもわからない。

 いずれにせよ、今後とも世界各地での潮位観測が必要だ。そして数10cm程度の上昇では防災上困難になるほどの影響が出ないことはもっとPRしてよい。ベネツィア、南太平洋諸島のように地球温暖化による平均海面の上昇にすべての高潮現象の原因を押しつけず、もし高潮災害の対処が必要なら、温暖化適応策としてのインフラ整備の着実な促進に結びつけてほしい。

11/11/2019

壁でもベルリンと米墨とは違う

市民グループの代表は、「私たちの社会や心の中に存在する壁をなくしたいというメッセージを込めた。アメリカが当時、壁をなくすための闘いの最前線にいたということを、トランプ大統領やアメリカ国民に思い出してもらいたい」(NHK)

 ベルリンの壁とアメリカがメキシコ国境に建設している壁とは決定的な違いがある(勘違いでないとよいが)。ベルリンのは自国民の旅行の自由を奪い閉じ込めるためだ。アメリカのは他国民が不法侵入しない国境管理のためだ。

 似たような勘違いにsuicide attackがある。911のはテロリストによる不法行為で、罪のない人々を巻き込んだ。戦中日本のは戦時戦術の一つだ。
このウェブサイトについて
WWW3.NHK.OR.JP
東西冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩壊して30年となった9日、ドイツの市民グループが、アメリカのトランプ大統領に壁のない…

11/02/2019

崩壊(焼失)遺跡を見て教わること(カンボジア、首里)

1枚目の写真はカンボジア・アンコール遺跡群の一つであるベンメリア遺跡。有名なアンコールワットの東40kmにあり比較的知られていない。寺院配置はアンコールワット(寺院)と類似し少し小ぶりだ。価値があるのは石材を倒壊したまま放置しているのを見せていることだ(天空の城ラピュタのモデルになった)。倒壊原因は基礎が重い石造建造物としては軟弱で長い間に傾斜しバランスを失したのだろう。単に積み上げているだけの造り方だ。アンコールワット近くのタ・プロム寺院は着根植物が巨樹に生長して石材を支配しているように見えるのが観光価値となっているの似たような崩壊過程だろう。

 ガイドはアンコールワットの本番に備えての練習用の寺院建造だと言っていた。でも、このベンメリアにも多大の労力がかかっている。放置したのはアンコール王朝が衰退し補修・再建の資力がなくなったからだろう。当時は大変だった石材の遠くからの運搬は必要ない。散乱したものを積み上げるだけで元に戻る。練習したとすれば確固とした基礎の必要性だろう。

 関連するが、このような世界に見られる石造遺跡で天井がないのはそれが木製だ(っただろう)からだ。写真ではアーチ型の石造屋根残っている。カンボジアは熱帯ジャングル地帯で、いまも昔も原木には事欠かない。一方の石材(砂岩)は遠い山岳地帯から運ぶ貴重品だ。木材天井も建物には不可欠だが、建物自体が崩壊して使われなくなったので、なしのままだ。

 最新ニュースの首里城焼失だが、木造建築で永久に保つものはない。建築技術が伝承されていれば、20年ごとの式年遷宮と同じ考えで再建すればよい。大騒ぎする理由がわからない。焼失前のものも再建物で、歴史的価値はない。火事はある確率をもって繰り返される災害だ。絶対に失火しない、あるいは、落雷などの自然発火は防げない。

 原発事故も津波などの自然災害からは100%は防止できない。その確率が極端に小さい(年確率1/1,000とか)から、「事故が起きたら対処する」考えでよい。木造遺産と同じでよい。

 日本人にはこのリスク管理ができない。事故は少ない確率で起き、それにどのように対処するかが知恵の見せ所だ。ゼロにできないリスクを無限に減じようとするのは無理な場合がある。(再建後の首里城建築にスプリンクラーとか配置しまくるのであろうか?)