12/30/2021

対全人口の死亡率でなく致死率の方だ

ジョンソン首相は同日、記者団に対し、免疫を高める追加接種(ブースター)に応じていない人が240万人いると明らかにした上で、「いま病院で集中治療を受けている患者の圧倒的多数が、追加接種を受けていない人々だ」「接種を受けないと入院に至る可能性が8倍高くなる」と強調した。(朝日)

 既存の変異株で英国は一日5万人程度の新規感染者がでていた。それがオミクロン株で三倍以上になって、毎日の死者数はいまのところ1/3程度にとどまっている。致死率では1/9になる。これはワクチン(ブースター)の効果とオミクロン株の性質からだろう。

 病気への恐怖はその致死率の大きさだ。インフルエンザのように0.1%程度(死者1万人/感染者1,000万人)だと人々は気にしない。新型コロナでは1%程度だったが、それが0.1%までひと桁小さくなると問題が少なくなる。その程度になれば、人々は感染発病しても死に至るような大病になるリスクは小さく感じ、行動が比較的自由になる。

 なお、死亡率は全人口に対する死亡者の方で、そもそも毎年120万人程度が病気あるいは事故などで死ぬ。死亡率は1%だ。

1日18万人感染、英国で過去最多 首相「未接種なら入院率は8倍」(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

12/17/2021

情報を公開しての戦略で勝てる

昭和の旧日本軍は大本営発表で戦線敗退を国民に伝えなかった。海軍でならミッドウェイ、台湾沖の敗退などだ。国民の「戦意」が縮小することを避けるためだ。

令和の政府も新型コロナウイルスとの「戦争」で同じことをしてきた。例えば第5波の流行で明らかに感染者数の大縮減がみられても、国民の「気の緩み」(戦意だ)を心配して、縮減の理由の大部分は国民の戦意が高かった(自粛がなされた)ことだと操作した。

感染症との戦いに勝つにはその感染と重症化のメカニズムを正確かつ深く理解することが必須で、そのために国民的(異分野からも)議論に供することも必要だ。専門家以外は「由らしむべし、知らしむべからず」ではうまくいかない。既成の感染理論では理解できないから、各分野から、ウイルス自壊説、山火事理論などの仮説が出てきている。これらをすべて「理論的でない」として退けるのでは新しい理論が誕生しない。

さらには、政府(都)の医療アドバイザーがこれら既成理論だけの目で見て感染に関わる膨大な情報を取捨選択しているのではないかと危惧する。必要なことは専門外の(市井の)科学者にも情報公開して、異分野からの議論も歓迎することだ。そこから仮説が誕生し、新理論になるかもしれない。

(わたしの関係する)ダムの洪水対策も出水時の操作情報を含めすべてネットで公開している。その結果、市井の技術の方からも貴重な科学的提言をいただけるようになった。

12/08/2021

菅氏の唯一の汚点、ふるさと納税

ふるさと納税制度は、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」、「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設されました。自分の生まれ故郷に限らず、どの自治体にでもふるさと納税を行うことができますので、それぞれの自治体がホームページ等で公開している、ふるさと納税に対する考え方や、集まった寄附金の使い道等を見た上で、応援したい自治体を選んでください。(総務省)

 ふるさと納税制度の建前だ。それがそのようにまったく運用されていない。いまはもっぱら返礼品目当てになっていて、もくろんだ主旨を大幅に逸脱している。明らかに制度の失敗だが、当時の責任者の総務相は菅義偉氏だ。菅氏は短い首相在任中にはワクチン接種を大幅に拡充、日本学術会議の任命権を正常化したなど、業績は類い希なものだっただけに、この制度の汚点は取り返しがつかない。

 なお、学術会議人事については歴代自民党のすべての政権がその不都合を見て見ぬ振りをしてきて、前代の安倍政権でも先送りしたものだ。それを数十年ぶりに是正したのは菅氏ならではの果敢な実行力だった。

総務省|ふるさと納税ポータルサイト|よくわかる!ふるさと納税
SOUMU.GO.JP
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|よくわかる!ふるさと納税
ふるさと納税で日本を元気に!ふるさと納税の意義や納税制度、ふるさと納税の制度改正についてご案内いたします。

12/03/2021

グリーンインフレーションは何度でも起こる

EUでは、異常気象により風の勢いが弱まったことで風力発電量が減少していることがわかった。ことし9月におけるヨーロッパの風力発電の割合は9.3%で、昨年同月(11.6%)対比で2.3p減少した。(記事より)

 「グリーンフレーション」だ。グリーン電力すなわち再生エネルギー発電のなかでも風力、太陽光、そして、水力もお天気次第だ(地熱、バイオ火力はそのかぎりでない)。設備容量だけ増設しても、実発電量が伴うかどうかは不確かで、その時間変動の穴埋めは当分は火力発電に頼ることになる。2050年にはなくなるはずの化石燃料発電は縮小産業で、採掘などの設備投資が今後なされないので、燃料単価はこれから上昇基調にならざるを得ない。そのような不完全な再エネ発電のままではこれから何度でもグリーンフレーションの危機が訪れるだろう。

 解決方法は安価で安定した原発(SMR)の技術開発を促進して、ベースロード電源を確実にすることだ。再エネ発電はいったん設置すれば運転経費は安価だが、それは火力のバックアップが必要なので、電力市場ではその経費を込みにした値付けになる(なっているはずだ)。蓄電池開発が途上のいま、再エネは決して安くはない。

中国・EU、カーボンニュートラル発の「電力難」…「“原発”でエネルギーの空白を埋めねば」=韓国経営者団体(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース