9/21/2021

今度の休み期間こそ宿題を

季節性インフルは冬季に流行する。ところが新型コロナはいままでの日本での5回の波は春2回と夏2回、そして冬1回だ。そこで今冬も第6回目の波が単純に予想される。春と、夏と冬、では季節の共通性はない。

日本での対策の問題点は、波が収まると次の波に備えないことだ。最初の波のときに医療の態勢を整備する時間的余裕をもつために感染拡大をできるだけ遅らせる、という話があったが、それから何回もその時間的余裕が波と波との間に生まれた。しかし医療の態勢はその割には整備が不十分なままだ。この秋から冬になる前に最後の宿題のつもりでこの約束を果たして欲しい。ワクチンが普及してもブレイクスルー感染で、軽症の感染者は増えることが予想される。その重症化を防ぐ医療が今度こそ必要だ。

夏休みの宿題をサボった子どものようなことにならないように、直ちにその医療態勢整備の大拡充にとりかかるべきだ。

9/19/2021

放送法の制約が少ない自民党総裁選討論はわかりやすい

自民党総裁選挙運動期間が始まった。各TV局では四候補を集めての討論会が盛んになる。これは公職選挙法による選挙ではなく、四人ともに自民党内の政治家なので、少々は不公平な扱いをされても大きく問題視することはない。だから、このあと衆院選前の各局での各党討論会にみられるような厳格な運用は不要だ。放送法の中立の縛りを余り気にしなくてよい。

その結果、自由な討論が期待されて、それだけ各候補の違いも際だってわかりやすくなる。当然視聴率も上がって、多くの国民が自民党の政策について理解する機会ともなる。そもそも自民党内の選挙だ。党員には自民党政治家も含むが、せいぜい100万人程度だ。それらの投票権を持つひとだけが見れば済むのだろうが、TVなどであれば、一般有権者も見ることになる。いまは政権政党なので、党員でない一般国民にもこの政策論争は知っておく必要はある。四人の違いを知る、というよりは、この四人の議論の幅が自民党政策の幅だ。政党には綱領があるが、それだけで政策の細かい点はわからない。そこでそれらを知ってもらう最大の機会となるのだろう。

公明党と野党各党はこの自民党の政策PRのようにしているのだろうか?(新)立憲民主党の代表選に二人が立候補したことだけは記憶しているが、その政策の違いは聞いてもいない。TVでも見てはいない。ほかの公明、維新、国民民主、社民、れいわ、などの党内選挙はそもそも記憶にない。日本共産党は党内役職の選挙はないのではないか?

9/17/2021

感染者を減らして病院負担を少なく、だけでは栄養士と同じ

かかりつけ医で病院所属の栄養士の指導を受けたことがある。かかりつけの医師から奨められた指導だ。

成人病の危険がある年齢だった。栄養士はコレステロールの適値維持、高血圧防止、痛風防止などの観点から食事材料の適否を指導する。かなり真面目な女性栄養士で、それらの食事を守ることをきつく指導された。理由はそうしないと病気になり病院の世話になるからだ、という(病院所属なのに)。

その後、医師の診断を受けたが、真面目に栄養士指導を守らなくてもよい、ただ1日に30種類の食材を使った料理で、特定のものを食べ過ぎないように、と常識的な結論だ。もし病気になりそうになったら、薬を処方するから大丈夫だと。

感じたのは、医者は患者が病気にならないようにはしたいが、食生活の楽しみなど人生のこともある、それらQOL(クオリティオブライフ)を尊重したい、ということだろう。努力して(もしなくても)病気になったら治すのは医師の仕事だ。

新型コロナ分科会の医療専門家はこの栄養士に似ている。病院の世話にならないようにしろ、と。だれかこのかかりつけ医の役割をする人はいないのか?

9/16/2021

「改革」という選挙スローガン

自民党総裁選挙でも「改革する」というスローガンが飛び交っている。何をどのように改革するのか、細かいことは当然あるのだが、選挙カーの連呼と同じで一言で言わないと聞いてもらえないからだ。

自民党の三(or四)候補はその心配はないが、総選挙となると、(与野党)候補の中にはこの「改革」だけを政策とするものが出てくる。とくに支持政党なし層にはこのスローガンが投票の決め手となる場合が多い。支持政党がないのは確たる考えがないからということもある。各候補者の政策を比較できなければ、「改革」の言葉に惹かれることもあろう。

マスコミが三候補の政策を比較するに、このような簡単な決めつけで「改革志向」の候補はAだ、とするのが愚かしい。自民党員は自民党の政策には比較的詳しい(でないと、党員になる理由がない)。だから、結果はこのスローガンで左右されないだろう。しかし、全有権者を対象とする世論調査ではこの「改革志向」だけで判断する回答者が多いので、結果にはそれを留保した方がよい。

ついでだが、地方選候補者で「わたしは福祉をすすめます」という選挙公約があった。これも福祉をどのようにどの範囲で進めるかが難問なので、その入口だけの単なる「すすめる」だけでは政策とは言えないが、一部の有権者には有効なのだろう。

9/10/2021

アボッタバード2011年

アボッタバードはパキスタンの北部山岳地域(フンザ)への入口の町だ。2011年にこの町に潜伏していたオサマ・ビンラーディンが米軍秘密部隊の急襲をうけて殺害された。それまでに2001.9.11同時テロの犯行組織・アルカイダはアフガニスタンでほぼ壊滅していた。主謀者のオサマが隣国に逃亡せざるを得なくなっていた。つまりテロから10年で米国の復讐とアルカイダなどのテロ組織の壊滅の目的は達せられていた。

パキスタン旅行をしたときアボッタバードの目抜き通りを通り過ぎたことがあった。現地国内ツアーのパキスタン人日本語ガイドは「これが有名なアボッタバードだ」と観光地化しているその町を紹介した。パキスタン軍の基地もある地方中核都市だ。人口稠密なその町の郊外にある隠れ家を米軍が見つけ出しパキスタン国の主権を無視して攻撃した。それが不思議になるくらい穏やかな町だった。

アフガニスタンにその後10年間も手こずった米国だが、その混迷の奥底はパキスタンにあったと思えてならない。パキスタンは人口巨大国のインドの片隅にあるが、人口2億人以上の大国だ。インドとの対抗上、中国と友好関係を結んでいるが、国民あるいは政府レベルでも反中の疑いがある。そのしたたかな国が米国(と中国)を手玉にとっている。

9/04/2021

菅氏はピーターの法則の典型例になった

今回の菅首相の突然の退任の深因は、菅氏が首相としての発信力に欠けていることだ。コロナ禍の現在ではそれはとくに必要だった。昨年の安倍氏からの引き継ぎで「官房長官として長年有能だった」ことを理由に首相に上り詰めた。この現象はピーターの法則としてよく知られている。「有能な人はみな出世して、最後は有能さが発揮できないポストで止まってしまう」の典型例だ。

 望むらくは菅氏が再び官房長官職に戻ることだが、官僚組織ではそれが無理なものの、政治の世界ではありうる。首相と官房長官のどちらが偉いか、ではなく、それぞれの職務に長けた人物がそこを担当すべきだった、という話だ。