7/31/2011

電力会社の株式会社化は国の隠れ借金

 東電など地域独占の10電力会社は株式会社となって、株を公開している純粋の民間会社だ。しかし、独占企業で、電気料金は原価に利益を上乗せして国から認可されるので、経営努力によって利潤を積み上げる(場合によっては損失を被る)民間会社の本質とは全く違うものになっている。
 政府が株主の特殊会社と運営方法に違いはない。一方、国鉄はJRとなって六つの会社に分割民営化された。そのうち三つは政府株を放出、完全民営化されている。地域分割されたことが本質ではなく、もともと国鉄は同じ鉄道の民鉄との競合があり、また、飛行機、高速バスなどとも競争関係にある。そもそも独占企業でないから出来たことではないか?
 電力は二次エネルギーのうち都市ガスあるいは自家発電とは競合関係にあるが、圧倒的に独占分野になっている。
 このようなインチキ民営の株式会社擬装はやめて欲しい。実質、特殊会社と違いないなら、そのように戻すべきだし、株主の国に配当をするなど不要なので、株式会社にすることなく、(かつて評判の悪かった)公社でもよいのではないか?原子力発電所だけを国営にするという話もある。
 株式会社化して、資本金、社債という形で民間資金を集めたかったのだろう。それらは本当は公的債務のはずなのだが。

7/27/2011

世界のために原子力技術の保持を

 日本が脱原発(依存)再生可能エネルギーへの転換を目指し、計画的に原発から撤退すると言っても、過渡的には主として天然ガスなどの従来からの化石燃料に頼らざるを得ない。新興国の中国インドなどで同じことをされたら、化石燃料はいくらあっても足りず、その前に価格高騰が予想される。
 だから、世界的には原子力発電はこの先さらに必要になるのである。そのとき、日本の原子力技術はどのような役割を果たすのだろうか?高速鉄道事故に見られるように中国などの独自の技術では原発事故は必至なのではないか?テロの危険もある。
 日本はその時代の高度の原子力技術の担い手とならなければならない。幸いにも東芝、日立、三菱は世界的に高い技術力でもって商戦を勝ち抜いている。ベトナムそしてトルコなどでこれから。
 国内でも原発を新設するかは議論があるが、既存の原発を安全な期間だけ運営していかなければならない。その後の廃炉期間もある。その技術を保持する上でも、海外の仕事に積極的に対応することは必要だ。

7/26/2011

日本以外は事故復旧を急ぐ(中国、スイス)

 中国の温州付近の高速鉄道追突脱線死亡事故のわずか1.5日後には事故原因調査も終わらずに現場付近を復旧開通させた、と非難の声が中国国内からも上がっているという。
 似たような事例として、昨年7月のスイス氷河特急脱線事故(日本人一人死亡)があり、これもわずか二日後には開通している。夏のシーズンだから一刻も早く再運行させたかったのだろう。事故原因もカーブ区間でのスピード超過であることは明らかだった。
 日本の例えばJR西日本福知山線の2005年の事故の場合は約8週後に開通している。その期間は事故原因調査に十分だったとしても、必要だったかどうか、たぶん遺族の感情から短縮出来なかったのだろう。その意味では、日本の例が世界に突出しているのではないだろうか?
 それにしても中国の場合、今のところの情報では、事故原因調査をする意志があるのか疑問だ。

7/25/2011

民主党は自らの代表も選べない政党

 菅首相を辞めさせることが出来るのは、議院内閣制だから、多数与党民主党の議員ということになる。それにはまずは、民主党代表を罷免することだ。そのあと、衆議院内での多数で首相を辞めさせる(総辞職)ことになる。あるいは、そのとき解散で対抗するかは、首相・菅直人の判断だ。
 昨年、鳩山前首相・代表が自ら辞任したあとの新代表・新首相に菅直人氏を選出したのは民主党議員だ。だから、今回辞めさせるのも民主党党内の仕事だ。菅直人氏のあとにだれがまずは新代表になるのか、立候補ないしはその意向表明が誰からも出ない(小沢鋭仁前環境相のみ)のはおかしいのではないか?辞めさせるのであれば、替わりになる人が複数出て、つじつまが合う。
 それをいまになって、菅直人氏の政治姿勢を云々して首相不適任だとするのは、民主党議員の多数の「首相を選ぶ眼力のなさ」を恥ずべきだ。
 野党自公は一度不信任案を否決されたのだから、もう二度とすることはないのではないか?健全野党として、参院の多数を頼みとして、法案修正に努めるべきだ。

7/24/2011

新幹線はシステムで走る(中国高鉄の事故)

 文痴は新幹線模倣車両だけで新幹線ができた(中国) で中国高速鉄道の謎を提起した。新幹線はシステムでないと運行できない、との日本のJRの主張に疑問を呈したのだ。
 しかし、今回の温州付近の中国高鉄同士の追突事故はシステムの不都合によるものだった。当局は落雷によりシステムに不都合が生じた、と発表しているが、そのような自然現象にもシステムが万全でなければ、高速鉄道の運行はできない。
 自動車はなぜ速く走れるか。その理由は優れたブレーキが備わっているからだ。いざというときに安全に止まることができれば、速く走るのはそんなに難しいことではない。日本などの車両を模倣すればそれはできる。安全に止まるには、信号などの運行システムが必要だ。それは中国独自の技術でつぎはぎをしたものだったという。だから、台湾みたいにすべてをJR東海に任せる、というのが賢明だったのではないか?(ハード部分では欧州連合の技術も部分的に入っているが)

7/15/2011

ベトナムに輸出できるのだったら日本でも(最新原発)

 ベトナムへは厳しい国際商戦の結果、日本の企業連合が原発の建設を受注した。民主党政権の後押しがあったからこそだが、福島の事故後も、ベトナムでの受注は問題ないという。
 ベトナムの国内で安全な同じものがなぜ日本では危険となるのか?ベトナムの国民(だけ)が日本の原発の安全性に信頼を置いているからか?日本も国民が明日直ちに信頼すると言えば、同じことになるのか?
 どうも、技術的に検証を加えた結果で日本での脱原発政策を進めている、とは思えない。

ちゃぶ台返し民主政権(玄海原発と辺野古移転)

 玄海原発の再稼働問題と沖縄の辺野古への基地移転問題とは、同じ民主党的体質があらわれた失敗結果だ。
 九電がやらせ質問をさせ、海江田経産相の安全宣言に玄海町長と佐賀県知事が住民代表として同意する積み木細工のような「セレモニー」の最中に「ちゃぶ台返し」的に菅首相はすべてをダメにした。
 自民党時代に沖縄県知事と名護市長とのあいだで、普天間基地の辺野古への移設を、他のグアム移転とか他府県へ訓練移転をするとかの負担軽減策を積み上げた、これも繊細な積み木細工を、ときの鳩山首相は「最低でも県外」との安易な正論を叫び、ダメにした。
 政治的困難な妥協策をだましだまし実施しなければ、ものごとは進まない。このような政治力が民主党政権には決定的に欠けている。

7/14/2011

玄海原発地元両首長に安全性確認は不可能

 九電の玄海原発定期検査後の再稼働になぜ地元町長と知事の同意が必要なのか?原発の監督は経産省で安全確認も(いまは)同省原子力安全・保安院の所掌だ。安全性を確認する技術的情報もそれら国の機関にしかない。地方公共団体はそれらの説明を受けることは必要だが、安全性を確認する能力はない。
 所詮は住民の代表たる両首長に「確認」してもらって、住民の納得を得た、というセレモニーにしかすぎない。ストレステストをやれば住民の納得を得られやすくなるか、というとそんなことはない。あくまでも、国民の代表として国の機関とそのトップの政治家が技術的判断を任されている、という自覚が必要だ。住民の代表たる首長を安全性確認の代表証明者として扱い、それへの説明で確認を得られる、という方式はいい加減にやめたらどうか?

自然エネルギー発電は地産地消に不適

 エネルギーの地産地消ということが叫ばれている。農産物を中央の市場に出さずに産地でできるだけ消費しようという地産地消に類似しての考えらしい。
 とくに自然エネルギーによる発電は太陽光、風力など地方部におけるものが中心となる。その電気を大送電線網で大消費地に送るのではなく、その地域で消費できれば、送電線の建設も送電ロスも少なくて済む。送電ロスというのは馬鹿にならない。ロスがないように大電圧に変電し、消費地でまた変電し直すという手間をかけている。だから、送配電を不要にする、都市内各家庭へコージェネレーション(熱電併給)システムを活用した燃料電池などを設置するという究極の地産地消に合理性が生まれている。
 ただ、自然エネルギーはお天気任せのところがある。それを地産地消でなく全国展開で運用すれば、ある地域は曇りでもほかには晴れたところがあるだろうし、風も強弱が点在するので、平均化できる。だから、自然エネルギーだからこそ全国的に供給調整するための送電線網は必要なのだろう。
 運べないエネルギーの熱とかは地産地消にしかならない。ゴミ焼却場にはすぐ脇に温水プールがあるように。

7/12/2011

全頭検査シンドローム(放射能牛)

 日本という国は一旦怪しいとなると徹底的に検査しないと治まらない。
 古くはBSEの疑いのある米国産牛肉の全頭検査だ。抽出検査でもある程度のことはわかるのだが、全数検査で時間も費用もかけ放題で、米国からは科学的でないと指摘を受ける始末。
 今回は、放射性セシウムがエサ経由で牛肉から検出された。これは生牛では検出できず、食肉全部を検査するのは莫大な手間がかかると、厚生労働省は頭をかかえる。いずれも、絶対食べてはならないという、急性毒ではない。累積摂取量が問題となるので、他の野菜、魚類と同じく抽出調査で十分だ。共通する「牛肉」というのが国民的神経を逆なでするのだろうか?ユッケの大腸菌で死亡した例もあった。これは急性のものだ。

7/10/2011

絶対の安全性(安全神話)を求め続ける一部国民

 原発は絶対安全だ(安全ということで作られて運転されている)、ということではないことが今回の事故でわかった。電力会社(経産省原子力安全・保安院)は原発立地に際して地元に「少しの危険性はある」との真実は説明しづらかったのだろう。説明を誤魔化しているうちに安全神話ができてしまったのが真相だと思う。
 だから、菅首相のストレステストを行ってみても絶対安全にはならない。福島第一原発の事故が起きたからと言って、他の原発の安全性(危険性)の程度が変わったわけではない。変わらぬ危険性について細かくわかったと言うだけだ。安全性を少しでも増すことは常に必要だ。福島の事故の教訓はそれに活かされ、とりあえず完了した緊急改善策で少しは安全性を増したのだから、運転は再開してよいのではないか?従前よりは事態はよくなっているのだから。
 原発の各リスク(電源として機能しないリスクも含め)を評価しながら行動しないと、全体としてのリスクはかえって増してしまうことが、一般国民の一部にはわからない。原発の安全性も絶対ではなく、相対リスクの一つだ。

7/09/2011

菅直人人民戦線内閣で反原発へ

 人民戦線内閣というものがあった。政治的に少数の勢力はとりあえずは考えの近い多数派の連合政権に加わる。自己の政治主張はとりあえずは隠しておき、多数の人民が加わる政権(人民戦線内閣)内部で力を蓄えた後、革命的に政権を奪取するというわけだ。
 菅直人と言う政治家は「反原発」の考えなのではないか?その考えの勢力はとりあえずは少数派だから、「脱原発」の民主党の中に隠れる。いま、首相の座を獲得したので、その本性をあらわし、「反原発」の施策である、全原発停止に向け、ものごとを進めているのだ。菅内閣はどんなに支持率が低くなっても、20%程度で底止まりだ。その支持者が「反原発」勢力の基本数だ。原発即運転停止で、日本経済を破壊してもかまわない(破壊するのが目的)としている勢力だ。

7/08/2011

産業用では節電は即、生産量減

 節電をすれば原発に頼らなくてよい、というが、節電の余地があるのは家庭用とオフィス用だけだ。残る産業用は節電は既にギリギリ実施している。生産性を上げるために原価をギリギリ削減しないと世界での競争に勝てない。電気使用量はその原価の主要部分だから、すでに削減の対象となり、ギリギリの使用量になっている。これ以上削減するのであれば、比例して生産量の削減に繋がるであろう。

7/07/2011

最後は一人、菅首相

 組織の仕事というのは、上司が部下に指示を出しある仕事をさせ、その結果、対外的にある約束が結ばれたら、上司は部下と一体となってその約束に拘束される。そうでなければ組織対組織の関係が成り立たない。指示を出しながら部下の仕事を途中で否定する、いわゆるはしごを外すことをすれば、その上司の下で仕事をする部下は皆無となるであろう。
 菅首相の部下である海江田経産相の場合がそうだ。菅首相はそのようにして部下を次々と失って、最後はひとりぽっちとなるのではないか?

7/06/2011

いつも節電節水では困る

 節電の夏、電力需要のピーク時に節電が必要となっている。平日ピークの昼~夕方に節電をすればよいのであって、その他の時間帯はある程度は自由に使ってよい。それを毎日毎時節約されたら、東電の収入が減ってしまい、ピーク時に備えた発電能力増強投資もできなくなってしまうかもしれない。
 似たようなことで、節水がある。日頃から節水をされると、水道局の収入が減ってしまう。降雨が少なくなる渇水時に備え、ダムなどの貯留施設を建設しなければならないが、その投資資金にも欠乏してしまうことになる。ダムを造ったとしても渇水はある程度は起こる。そのときこそ節水してもらわなければならない。
 貯めることが出来ない電気、貯める限度がある水、それらのピーク需要を抑えるという意味での節電節水を理解しない人がいる。

7/03/2011

原発は温排水を熱希釈しないで低温度差発電で効率倍増を

 原発の発電効率は30%程度と低い。天然ガスを燃料とするコンバインドサイクル発電は全体で60%にまでに迫る。まずは燃焼ガスでタービンをまわし、その排熱で水蒸気を作り、さらに発電することにより、全体効率を高くすることができる。
 原発はその温排水が排出先の海域の生態系に影響を与えるという。海水温より8℃も高い大量の温排水が出るからだ。
 海洋温度差発電は実用化されているが、10℃くらいの深層水と熱帯の海では40℃にもなる表層水との温度差30℃を利用する。原発排水では温度差が8℃ではあるが、海域に影響を与えないように大量の海水を取り入れ、「熱を希釈して」いると聞く。このもともとの高温排水を利用できれば原発の熱効率は倍増するであろう。小水力発電と同じく、今まで捨てていたエネルギーを科学の力で取り出すのである。
 原発一機あたり倍の電力を生み出すことができれば、必要な機数は半分で済むことになる。いままで、この効率化に取り組んでこなかったのは、原発新設の足かせになると内心思っていたのではないか?

老朽原発を廃止し新設原発を

 事故の起きた東電福島第一原発は日本で原発が開始されたときに設置され30年以上稼働してきたものだ。長い間使ったから必ずしも危険というわけではないが、既存不適格ということもある。現在の安全基準でチェックした場合、最善の内容にはなっていない、ということもあるだろう。
 国営で原子力発電技術の更なる開発と運営をやるべきだ。人工衛星を打ち上げる技術はJAXA(独法・宇宙航空開発研究機構)で世界に日本の技術を誇れるようになった。公的機関だからダメだということにはならない。原子力技術についても原発は商業運転化していると言っても、今回の教訓からも更に安全化の技術開発が必要だ。高速増殖炉の研究は世界の他国が断念したが、日本でできないことはないだろう。
 原発は新設であれば、現在の最新知見で建設することができる。津波の教訓から、最初からもっと高台に設置することもできる。現行のBWR(沸騰水型)に替わってPWR(加圧水型)の炉を採用すれば放射性物質の漏洩の危険は少ないという。さらには、岩盤をくりぬいた地下に原発全体を収容することもできる。新設原発の建設はとうてい無理だ、という世論になっているが、老朽化原発に比べればより安全だ。老朽原発を廃炉にして、新設原発に置き換える、ということになぜならないのか?

7/02/2011

目の前のことしかみない菅内閣(原発代替電源の問題点)

 東電(東北電力も)管内では7月から大口需要者に対し電力制限令の適用がされることになった。あわせて以前から続けられている15%の自主節電の効果も続き、この夏の計画停電は避けることができるのではないか?
 ただ問題なのはこの夏を乗り切ったとしても残る原発代替電源のことだ。主として天然ガスのガスタービン発電に頼ることになるが、運転燃料費を比べれば、原発より高価になる。燃料確保のための電力料金値上げは当然視されるが、それを嫌って海外に逃避する工場なども続出するものと思われる。ただでさえ中国等に人件費の安さで海外展開を考えていたのを、後押しすることになるだろう。被災地の県民を救済する根本策は「職の確保」だ。そのためには景気対策を第一に国内で求人をする企業を更に増やしていくことが必要なのに、逆に減ってしまうことになる。
 全体をみて、被災者の救済のために何が必要か、を考える能力が菅内閣にはないものといわざるを得ない。