7/29/2013

投票したかもしれなかった棄権者は与党支持

選挙への棄権者の心理はいろいろだ。今回の参院選の52.61%の投票率の低さはこの棄権理由から解析しなければならない。

まずは、確信的棄権者だ。いつでも投票しない。これは有権者母集団から除外してもよい。つぎに、他用優先棄権者だ。たまたまほかに用事があった。誰に入れたらよいかわからないから強いて選挙に行く優先性もなかった、という逆の見方もできる。これも前記と同様の扱いでよい。

注目しなければならないのは、選挙予測を知って選挙に行く動機を失った人だ。選挙しても死票となるから無駄だと考える。今回は与党の大勝が予測されたので、与党に投票予定の人がこれにあたるだろう。特定の野党支持者だったら、野党同士の勝ち負けに投票を賭けるだろう。

選挙予測の当たる確率が高くなっていることを知っているのだ。さらには、期日前投票の出口調査結果は投票日以前に調査主体のマスコミにはわかっている。その発表は選挙日の20時以降かもしれないが、予測の判断データには入れているに違いない。

7/25/2013

争点隠し二点、東アジア外交と原発再稼働

自民党は今回の参議院選でアベノミクスの経済政策「のみ」で戦ったようだ。ほかの外交とかは争点隠ししたと。

折角勝利したのに、これからの三年、経済再生だけをするわけではない。東アジア外交など国民のはっきりした審判を得ておけば力強い外交が進められたはずだ。憲法については次の国政選挙まで重要な決定はしないのだろう。

なお、原発再稼働については積極的に争点としたわけではないものの、安全性が確認されたものは再稼働する、と公約していたので、そのように進めることで問題はない、ということだろう。

政権与党は国政選挙に際しては、野党などと政策に違いがあるものはすべて争点としておく必要があるのではないか。勝てば信任選挙の性格があるからだ。

7/22/2013

無所属山本太郎氏は国会でどう戦うのか?

参院選東京選挙区で無所属の山本太郎氏がとった66万票余はたいした数だが、東京選挙区全体票数で言えば、ごく一部だ。あおりで民主党現職の二氏が落選した。民主党支持層のうちの原発反対の政策を重視する部分が山本氏へ(一部共産党へ)と流れたのだろう。全国で原発反対一項目だけで戦ったのは山本氏だけだから、その政策だけで判断する票が多く集まったことを示している。

原発廃止を実現するには第一歩として類似政策の共産党、社民党と共闘しなければならないが、無所属(ひとり)のままでこの先どうするのだろうか?

渡辺代表の嫌う「野合」が政権への道

みんなの党の渡辺代表は野合はいけないと言うが、野合の最たる自民党が今回の参院選で圧勝した。民主党は野合だったので政権が取れたが、政権をとったあとの党内運営に失敗して下野したのだ。

共産党みたいに永遠の批判勢力として役割を果たすつもりなら、純化路線をとるのもよい。しかし、国政に政策を実現しようとしたら、両院の過半数の賛同を得なければならない。提案するだけの政策だったら自己満足以外の何者でもない。

比例得票で、民主(713万票)、維新(636万票)、みんな(476万票)の野党を合計(1,824万票)すれば自民党(1,846万票)に匹敵するようになる。ここは「野合」路線をとるべきだ。維新の橋下代表の慰安婦発言がみんなの党とは相容れない、との渡辺代表の判断だったが、維新もそれなりに得票を得ている。これと野合しなければ政権は取れない。

7/17/2013

原発事故よりも原発不在電気料金高騰による熱中症死者のほうが問題

梅雨明け以来、熱中症で死亡する人(特に老人?)が東京都だけで41人になったと発表された。就寝時にクーラーをつけないなどの原因が主だ。クーラーが嫌いな人もいるが、クーラーの設置費ととりわけ電気代が高価なため、利用しないケースが多いものと思われる。

原発不在の現状で(電気料金高騰のため)死者が少なからず出ている。高市自民党政調会長が言った「原発事故で直接の死者はゼロ」は事実として正しいばかりでなく、この熱中症死者が続出していることと比較すれば、事故被害の相対的軽重表現としても正しかったのではないか。

7/16/2013

再稼働反対は中年以上、若者は賛成、という傾向

毎日新聞の「えらぼーと」というサイトが参議院選の政策比較ができるページを開設している。全部で26問の政策選択項目に答えると、どこの政党の政策と一致している項目が多いか、また、比例代表候補、あるいは、住所の選挙区候補についても一致項目の多寡を教えてくれる。

このサイトにアクセスしたひとの各政策への選択の累計も知ることができる。昨日現在だが、政治面での「憲法」「河野談話」などは各種世論調査の結果と大差ない。しかし、差があきらかなのは、原発の項目だ。問22の「日本の原発について」の三つの選択肢、「必要」が20.5%、「当面は必要だが、将来は廃止」48%、「必要ない」31.4%となっている(本日現在?)。議論が割れている再稼働の是非に当てはめると再稼働すべきが前二者選択肢の合計の68.5%となる。これと世論調査の「再稼働賛成」40%程度とは大きな違いだ。反対は50%だから、このままだと政府は再稼働に慎重にならざるを得ない。

調査対象の母集団の違いによるのではないか?各種世論調査は迅速性などの利点から電話によるものが多くなっている。これは固定電話で昼間の調査だと思われるので、リタイアした老人とか主婦に限られるのではないだろうか。若者は固定電話を持たない。一方、このインターネット調査は若者が多いと考えられる。「えらぼーと」には年代別の回答傾向も示されている。それによると、原発不必要回答率が多いのは60,70代以上だった。年金世代で日本経済に責任を持たなくてよく、かつての全共闘世代である団塊世代だからだろうか?

7/15/2013

福島事故もチェルノビルと同様、避難し回復後帰還するという通常手法(でよい)

キャス・サンスティーン「最悪のシナリオ-巨大リスクにどこまで備えるのか」を読んだ。巨大リスクは生起確率が低いがいったん起きれば被害は甚大だ。確率が低すぎて、というよりごくまれな現象のため、確率が不確実(わからない)なので、費用便益分析に適さない。そのようなときには予防原則(予備原則のほうが適訳らしい)に従って、対応措置を講ずるのがよいとされるが、リスク・リスク・トレードオフが生ずる恐れがあるとしている。予防原則に従って講じた措置が別のリスクの原因となるからだ。

原子力発電の事故リスクに似ている。事故の確率も被害の程度(便益)も不確実だ。と言って、予防原則に従って原発を廃止すると、たとえば代替発電の石炭火力からは石炭採掘時の人身事故とか発電所からの公害あるいは地球温暖化ガスの排出など、他の大きなリスクにつながってしまう。再生可能エネルギーによる発電だけでは必要電力の全部をまかなうことはできない。原発の持つベース電源機能を火力発電が担わなければならない。電力料金の値上げという国民経済上のリスクも生ずる。

福島事故後、たまたま社会的に注目されたリスクである原子力発電に、費用対効果を度外視して過剰な政策対応をするのには慎重であるべきだ。過去の同種の、スリーマイルとチェルノビルの事故後どう回復しているかも見た上で政策決定がなされるべきだ。福島も含めて、事故があったら避難し、ある期間の後、回復がなされたら帰還する、という通常のリスク回避の方法でよかったのではないか、という考えを増強するものだった。

7/12/2013

対立点が米中では外交の入り口条件となっていない(日韓、日中とくらべ)

米中戦略・経済対話が終了した。サイバー攻撃、人権問題など対立が解けなかったものも多かったが、対話は今後も継続予定だという。お互いの意見の相違を認めれば対話=外交は可能だ。

日韓と日中の外交も同じことだが、相手国が日本のことを軽く見ている。対立点の一つである歴史問題とそこから発生した領土問題を対話の入り口条件に設定した。いままでの日本国政府(過去の自民党政府も含む)だったら、譲歩を重ねて外交をしてもらった、という経緯だからだ。

外交評論家の岡崎久彦氏の言うとおり、ここは「静観」することが解決につながる。

7/10/2013

暑さ寒さのピークは夏至、冬至

今年の夏は梅雨明けすぐに猛烈な暑さだという。梅雨明けが早く、7月当初から暑いのは異常だと。

それは違う。本来は夏至の時の太陽高度が一番高いときが暑くなるはずだ。日本の場合その時期は例年だと梅雨なので、太陽が雲に隠れて暑さが和らいでいるのだ。6月後半にコーカサス三国(日本の東北地方と同緯度)に行ったが、梅雨のようなものはないので、最高に暑かった。

冬期の寒さも同じことで、冬至の時が太陽高度が低いので、気温も最低になる。年末年始休暇を利用して、カナダにスキーに行ったことがあるが、カナディアンロッキー山中で快晴のもとマイナス30°の悪コンディションに悩まされた。スキーの滑る原理であるスキー板の下の雪が圧力で溶ける、ということが期待できなかったからだ。

組織内の機密情報はイントラネットで「共有」すればよい

グーグルグループ機能を使ってグループ内限定(のつもり)でメールの閲覧をしていたところ、初期設定が「すべてのユーザー」(デフォルト?)のままだったため外部に情報が漏れたのではないかとのニュースがあった。

それらのなかには中央省庁で外交案件などの国家機密情報もあったというが、そもそもこのような情報をネットに載せること自体狂っているとしかいいようがない。グーグル社は管理者権限でグーグル上の情報すべてにアクセスしようと思えばできる。CIA元職員による暴露があったばかりだ。

パソコン網で情報共有しようとするなら、組織内限定のイントラネットを使ったサーバー内のファイル「共有」でできなかったのだろうか?

7/07/2013

街頭演説の聴衆のほうを何故撮さない(少ない場合も)

参院選の党首街頭演説で各党党首が集めた聴衆の数だが、日本維新の会の地元の大阪で、橋下共同代表が1,000人だったのに対し、安倍総裁は5,000人も集める人気だったそうだ。どちらも十分多い。

知りたいのは、聴衆が少ない党首の場合だ。TVだと党首を撮すカットだけだが、聴衆のほうも撮してほしい。

7/04/2013

政権公約は事後でないと評価できない(三年後の同時選挙?)

参議院選挙戦が始まった。与野党各党の(政権)公約ははっきり言って「同じ」だ。違うのはその公約目標に至る技術的な手段だ。どの党の手段が有効なのかはやってみないとわからないところがある。野党におりた民主党あるいは生活の党の手段はいったん失敗したから、国民には信用されないだろう。連立与党の自公の手段が有効かどうかはこれから三年間の実績を事後評価しなければわからない。そのとき衆参同時選挙になればそのよい機会となろう。

7/03/2013

地方政治家は自己の政治信条を持て

政治家は選挙で選ばれ施政するが、もともと政治信条を持ち、それを有権者に訴え、当選したらそれに従って政治を任される存在だ。

ある案件について有権者の多数を時々に代弁するものではないはずだ。それがもし必要なら、そのたびに住民投票をすればよい。

国の政策に対し、地域の有権者を代表して抵抗するような地方政治家が多すぎる。自己の政治信条に基づき賛否を表明すべきだ。

これら問題政治家は、沖縄の仲井真知事、福島の佐藤知事、新潟の泉田知事など。知事は行政府のトップの前に一政治家であるべきだ。もっとも、泉田知事は地域を代表しているのかも怪しい。

7/02/2013

コーカサス三国に見習え、日本の生き残る道

コーカサスは民族の十字路と言われている。ユーラシア大陸の東西交通(古くはシルクロード)の要衝に位置し、多種の民族がせめぎあってきた。現在のアルメニアは最古のキリスト教国(アルメニア正教)としてローマ時代以前から領域を広げていたが、現在、アゼルバイジャンはトルコ系(イスラム教)、グルジアはインドヨーロッパ語族系(グルジア正教)とコーカサス南麓三国だけでも、三民族の小国に分かれる理由がある。

グルジアについて言うと、北をロシア(ソ連)、南をトルコ系、ペルシャ系の帝国に囲まれ、かつ小国分立では生き残るのに非常な努力を要したという。選択した結果は、最悪のうちの少しでもよい方であるロシア帝国の保護を受けることだった。その力を頼りにトルコ、イランと対抗することができる。その結果がソ連邦に「参加」させられることになったのだろう。

対比して日本の地政学的位置を見ると、北のロシアは同じとして、南(というか東西)は米国と中国。小国として分立しあうのは韓国、北朝鮮、台湾。これで、グルジアのように生き残る知恵を出さなければ、とうてい独立国としてやっていけないのではないか、というのが今回のコーカサス旅行で得た教訓だった。

7/01/2013

グルジアはソ連を構成した社会主義共和国だった

旧ソ連のコーカサス三国へ行ってきた。そのうちのグルジアは英語名ではジョージア(Georgia)。米国のアトランタを州都とするジョージア州と同一名だ。「グルジア」は露語での呼称で、グルジア(ジョージア)語ではジョージア。三国はソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)を構成した15の共和国の一部。1991年に崩壊したソ連邦から独立したが、いまだにソ連時代の遺産が点在し、ソ連の社会がどうであったか想起することができる。

ロシアとの関係はつい最近の南オセチア紛争を戦ったばかり(2008年)で、良好ではないが、国内の自治共和国の南オセチアとアブハジアが事実上ロシアの支配下にあるほかは平和そのものだ。

ちなみにもう二カ国はアルメニアとアゼルバイジャン。