11/27/2015

軽減税率範囲を均衡予算の考えで決めてよいものだろうか

 デフレの要因は貯蓄が投資(消費も)を上回って世の中に出回るカネが減少することにある。経済心理的に言えば、企業も個人も将来に不安があるので、流動性のあるカネの形で財産を所持しようとする。設備投資をしたり過剰な消費をしたら先々困ることになるかもしれない、というのが日本人の心理だ。
 貯蓄に回ったカネは誰かが使わないと計算が合わない。それが国債の過剰発行(国債購入という貯蓄)となる。国債で調達できたカネは公的投資に回さないとカネが環流しない。
 そこで、財務省が財源なき減税に反対する矛盾について指摘したい。均衡予算を目指すというなら、反対の根拠はわかる。しかし、いまはデフレから脱却の時だ。赤字予算を組んで国債をより多く発行して財源を確保しなければ上記のデフレ脱却の理屈に合わない。
 再来年の消費増税に際して、軽減税率の対象範囲を別途に財源確保できる規模(生鮮食料品まで)にとどめる、というのは均衡予算の考えだけだろう。

11/22/2015

テロの目的はあとの恐怖心を利用すること

 ISからワシントンへのテロ予告またニューヨークには映像でテロを暗示され、大騒ぎとなっている。
 ISなどのテロ集団は襲撃予告はしない。9.11のニューヨーク、ワシントン、バルセロナの鉄道、ロンドンの地下鉄、そして今回のパリ同時テロ、すべてが突然だ。そのほうが成功の確率が高くなる。
 逆に今回のパリテロの効果を最大限に高めるために、事件後の世界の人々の恐怖をあおる、という当然のことをやっているに過ぎない。テロの語源はterror(恐怖)だ。相手を脅して恐怖を植え付けて有利な立場に立つ、暴力団で言えば「恐喝」だ。
 テロの目的は人を殺すことではなく、殺したあとの恐怖心を利用することにある。

11/14/2015

政治資金から香典を出したらまずい

 民主党の北澤参議院議員も政治資金から香典を出していた(議員本人は記憶がないという)。その民主党は自民党の高木大臣の香典問題を追求している。政治家の年金未納問題の時と同じで、香典問題も与野党の泥仕合となってきた。
 そもそも、政治資金から香典を出したらまずいだろう。政治活動が冠婚葬祭だけだったら、政治屋となってしまう。政治資金を公費から支出し、献金が収入でも免税扱いにして、政治資金の使い方から活動を改めさせるという方向になっているのだろう。現行法では本人が会葬すれば政治資金からでも支出できる。
 でも、政治家になったら「香典は疑われるので出しません」というくらいにして、政治家を辞めても出す親族への香典は例外扱いぐらいとしなければ。

11/10/2015

ミャンマーだけ?

 軍事独裁政治のミャンマーがとうとう選挙の結果、議会制民主主義の国へと脱皮する。こうなった大きな要因は中国を除く世界からの経済制裁だろう。
 中国も一党独裁の国だ。中国共産党の力の源泉は人民解放軍だから、ミャンマーと同じ軍事独裁政権だ。なぜ世界は、経済制裁などの平和的圧力で、中国も民主化できないのか、また、そうしようとしないのか?中国は大きすぎてできない、そして制裁する側の経済にもはねかえってくる、というのが理由だろう。中国国民の人権が侵害されているかは諸外国にとってどうでもよいことなのだろう。
 ベトナムもラオスも現在のタイも同じ軍事政権だ。米国など人権外交を標榜する国々は、平和的な圧力を駆使してこれらの国の国民の権利のために尽力する必要はないか?ミャンマーだけ、というのはいかにも不公平だ。

11/06/2015

世間をお騒がせした(だけを)謝罪

 NHK特報首都圏「過剰反応社会」をみた。内容概要は

 「昆虫写真は気持ち悪い」という声に配慮して、学習ノートの販売を中止したメーカー。子ザルに英国王女にちなんだ名前をつけて批判が殺到した動物園。インターネットを介して、批判が一気に高まる事例が増えている。こうした事例の裏にどんな社会心理があるのか。批判への配慮が行き過ぎて、自由かったつな表現が損われる恐れはないのか。番組では、頻発する「過剰反応」と「配慮」をめぐる動きについて、専門家とともに考える。

 山本七平氏はこのような現象を(世間の)「空気」と呼んだ。この「世間」は日本特有のものかもしれない。実態がよくわからない世間からの過剰反応におびえる。
 反対に、世間にお詫びしておけば、すむ、という安易な日本でもある。「世間をお騒がせして・・・」というのは、とりあえずは世間だけには責任があるが、特定個人には(そのあとの訴訟等もあるので)謝ってはいない、という便利な謝罪方法だ。

11/04/2015

核は「正義の戦争」にも使えない

日本の核廃絶決議採択=「被爆地訪問」奨励、中国は反対―国連総会委
まずは、日本が提出した決議に米国が棄権した。米国が二票持っている、というのは都市伝説に過ぎない。
また、中国が反対したが、その理由として、被爆を「日本が始めた侵略の必然的結果だ」と述べた。核兵器廃絶の基本精神はいかなる戦争にも核兵器を用いてはならない、とするものだ。中国は日本のような国には用いてもよい、と言っているらしい。
広島の原爆公園には「過ちは繰り返しません」と主語不明に書いてあるが、書いた日本人と中国の理屈は似ている。
(以下、引用ニュース)
【ニューヨーク時事】国連総会第1委員会(軍縮・国際安全保障)は2日、核兵器の全面廃絶に向け、すべての国が共同行動を取る決意を新たにする日本主導の決議を、加盟国の約8割に当たる156カ国の賛成で採択した。決議は今年が広島・長崎への原爆投下から70年に当たることを想起するとし、「指導者や若者らの被爆地訪問」など、核兵器の非人道的影響に関する認識を高めるための取り組みを奨励している。
 日本は1994年から毎年、同趣旨の決議案を提出し、採択は22年連続。今回、被爆地訪問の奨励を初めて盛り込んだ。北朝鮮のほか、核兵器保有国の中国、ロシアが初めて反対した。
 中国の傅聡軍縮大使は広島と長崎への原爆投下に関し「(核兵器の非人道性の問題が)歴史を歪曲(わいきょく)する道具として特定国に利用されるのを見たくない」と反対理由を説明。被爆を「日本が始めた侵略の必然的結果だ」と述べた。
 中国は5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、指導者らに被爆地訪問を促す文言を文書に明記することに強く反対。先月の第1委員会の討論では日本が核開発に乗り出す恐れを指摘するなど、「抗日戦勝70年」を意識した強硬発言が目立っている。
 日本の佐野利男軍縮大使は記者団に「(中国の批判は)極めて遺憾。被爆70年目の核廃絶決議で広島、長崎に言及するのは当然」と反論した。
 昨年賛成した核保有国の米英仏など17カ国が棄権した。佐野大使は核軍縮の進め方などで立場に隔たりがあり、「最終的に収れんできなかった」と述べた。