12/29/2009

大都市選挙区は低投票率なので、結果格差はない

 2006.8.9に「浮動票を政治から除外する」と題して一票の格差などについて書いた。
 関連して昨日、大阪高裁で8月の衆院選について二倍以上の格差を放置することは憲法違反になるという判決があった。しかし、衆院300選挙区の区割りについては47都道府県に最初に一つの選挙区を与え(一人別枠方式)、残りの253を人口割りで配分しているから、最初からある程度の格差が前提となっている。これをどう考えるかの判断も示されて、是正すべきとしている。
 しかし、一票の格差と言うが、有権者総数によるのではなく、公平には白票なども含めた実際の投票総数によるのではないか。投票所に行かない棄権が多ければ、投票された一票の価値は高まる。だから高知3区の倍の有権者を持つ大阪9区で投票率が高知3区の半分だったら、格差は結果なかった、ということにならないだろうか?

12/24/2009

最高指導者の最低の義務(虚偽献金)

 鳩山首相の虚偽献金問題で秘書が書類送検された今日、首相による弁明の記者会見があった。
 まずは、会見会場をホテルとしたのはおかしい、と思う。総理大臣の弁明だから、首相官邸会見場にすべきではないのか、細かいことだが。
 知らなかったことだから、贈与税は後で払えばよい、入金された政治資金から私的支出があってよい、というのは通常では脱税あるいは政治資金規正法違反だ。
 法の前に国民は平等、ということを深く考えれば、ご自身で今後どうするかを潔く決めることが最高指導者として最低の義務だ。

12/22/2009

排出量削減は環境技術の蓄積と景気対策(とだけ考えればよい)

 COP15では地球温暖化対策への従来からの手法に根本的な矛盾があることが露呈してしまった。COP3の京都議定書からしておかしかった。米中あるいはほかの新興国をのぞいた日欧だけで削減しても意味はない。コペンハーゲン同意については同意されず、「留意」され、「そのようなことが議論された」だけのこととなってしまった。中印などの新興国の経済発展にどれだけ排出枠を使えるか、の根本議論がなければ、永久にまとまらないだろう。
 同様に、排出権の売買についても疑問がある。国際間の取引によって市場を形成し、効率的な削減を図ると言うが、全世界の総排出枠が上記のように決まらないのでは、価格が決まるはずはない。証券化などの金融が得意な西欧のペースに乗せられているだけだ。
 鳩山イニシアティブとか言って、25%の削減の用意があることを全世界に宣言してしまったのは、全世界から甘く見られただけのこととなった。日本は日本独自で進めればよいのではないか?CO2削減は即省エネ省マネーだから、その意味では無駄でない。削減策を進めることにより環境技術が蓄積されることが重要だし、景気対策にもなる。まちがっても排出権取引には手を染めないことだ。乾いた手ぬぐいをさらに絞った事実は記録しておけば、将来の取り決めに際しアドバンテージとなる。

12/21/2009

鳩山vsクリントン国務長官相手、では対米位負け

 一部報道によると鳩山首相はCOP15の会議のコペンハーゲンで米国クリントン国務長官に普天間問題で国内検討が遅れている言い訳として「先の総選挙で民主党が勝利し、沖縄県民の基地撤去の期待が高まっているので」と説明、理解を求めたとされる。
 リーダーの発言ではない。リーダーは自己の義務(遅延)を他人に転嫁(する発言を)してはいけない。一国の最高責任者の発言としてもふさわしくない。外交の思考の過程をその外国に知らせたら、取引である外交で負けてしまう。鳩山さんは国内政治のスタンスと取り違えているのではないか。国内では首相の考えの過程がわかった方が国民に最終結論を理解してもらうために有効なときもある。それが民主党の政治手法が大きく国民の理解を得られている一面ではないか?密室の自民党政治とは違う、という。
 それに、コペンハーゲンにはオバマ大統領も来ていた。なぜ最高責任者が最高責任者に伝えることをしないのだろう。それに、鳩山さんの場合、別の機会のついでが多すぎる。以上の用件であれば、岡田外相を派米して、国務長官に伝える、のが最適なのではないか?

以下、関連新聞記事

鳩山首相が17日夜(日本時間18日未明)に開かれた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)関連の晩さん会で、クリントン米国務長官に対し、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題の決着を先送りした経緯を自ら説明していたことがわかった。


 首相が18日夜(同19日未明)、コペンハーゲン市内で記者団に明らかにした。

 首相によると、首相と長官は晩さん会で隣り合わせとなり、約1時間半にわたり意見交換した。

 長官が普天間問題の経緯を尋ねたのに対し、首相は「民主党が衆院選に勝ち、沖縄県民の(県外・国外移設への)期待感が高まっている。日米合意が重いことは理解しているが、強行すると大変危険だと感じている」と述べ、2006年の日米合意に基づく名護市への移設計画の早期履行は困難だとの認識を伝えた。

 その上で、「新たな選択を考えて努力を始めている。しばらくの間、待っていてほしい」と理解を求めた。長官は「よく分かった」と述べたという。首相は記者団に「十分に理解を頂いた」と強調した。一方、首相はCOP15の一連の協議でオバマ米大統領とも同席したが、あいさつを交わした程度で、普天間問題の議論はしなかったという。

(2009年12月19日10時55分 読売新聞)

12/19/2009

「思い」だけの政治?(鳩山首相)

 鳩山首相が政治的決断を先送りするとき「国民(沖縄の人)の思いを大事にしていきたい」ことを理由にしている。先の総選挙で民主党は大勝し、最長4年間政権を担うことになったのだから、いまさら、民意をさらに気にする必要があるのだろうか?間接民主主義の代議制なのだから、各議員は自己の政治信条に基づいて政策を堂々と議論し、国会で議決されたら実行すればよい。それがよかったかは次の選挙で洗礼を受けることになる。「思い」にばかり気が行っていると、次回の選挙で当選する事だけが政治行動の基準だと誤解されかねない。それに、「思い」をどうやって計るのだろうか?マスコミはほとんどが首相を非難している。それ以外のサイレントマジョリティをあてにしているのか。鳩山政権に賛成の人だけの「思い」を大事にするのだろうか。

12/17/2009

関西の府県では解決できない(三空港問題)

 関西にある三空港(関空、伊丹、神戸)はお互いに競争相手であると同時に補完して発展すべきものだ。その意味で、いままで国(運輸省→国土交通省)が機能してきたかどうか問題だ。いま、前原国交大臣による交通行政の転換で、どのように解決させるのかに興味がある。
 橋下大阪府知事の主張する「伊丹廃港、国内国際とも関空への集約」に賛成だ。ただし、彼の言う、伊丹成田線の廃止、集約後は関空成田線廃止だが、は賛成できない。日本は狭い国だから、国際ハブ空港は本州にひとつでよい。近距離国際線は別だが。それと、成田と羽田は相互補完して発展させるべきだ。いままでの内際分離(羽田と成田に)ではなく、双方ともに、内際のハブ空港化を目指すべきなのは、ひとつでは容量が足りないからだ。関西では、内際合わせて、関空の二本の滑走路で間に合う。首都圏の国際線容量が以上の施策で増加すればなおさらだ。
 そのような正論をひっさげて橋下知事が関係府県に働きかけても、とくに、兵庫県知事は自県内の都合だけで、伊丹廃港には絶対反対している。都道府県毎の自治というものには限界がある。関西州にするか、国直轄の裁断が求められる。前原大臣はこういうときに地方任せで逃げている。(補助)ダムについては余計なお節介をしているのに。
 なお、交通政策で言えば、文痴がたびたび話題にする北陸新幹線の新潟県vs他の関係県の関係も同じだ。北陸州にしないと完全解決はしないのではないか?

12/16/2009

国債44兆円でなく、当初の33兆円が限度

 平成22年度予算についてその国債発行額の限度が議論されている。44兆円が上限だと。これは麻生内閣時代の21年度予算での発行額だからだという。財政規律の確保のため、それより大きくはしない、と。
 44兆円は違うだろう。21年度当初予算での発行額は33兆円で、それに補正予算(第一次)での発行11兆円を加えたものが44兆円だ。前年並みとするなら、当初の33兆円とすべきだ。景気対策のためにはある程度の国債を発行してまで、一時的に公的需要を追加しなければならない。補正予算はその性格が強い。当初予算となると、その年に必要な基本額を計上する。この額は単年度予算とは言っても、翌年以降にも継続して必要となろう。すなわち、歳入に見合った額に歳出を抑えなければ(プライマリーバランス)、予算にならない。借金が嵩みつづけることを前提とする訳にはいかない。
 さらには、概算要求時点で95兆円、税収が37兆円にまで落ち込む予想で、44兆円の国債収入としても、14兆円不足する。これを埋蔵金などで埋めるという。でも、埋蔵金は今年限りのものだ。23年度以降はどうするつもりか?やはり、マニフェストの子ども手当などの新規継続施策についてはその財源を確保してから計上すべきだ。一般と特別会計合わせて200兆円から1割の無駄を排せば、20兆円の財源が生まれ、それでマニフェストの施策ができると言っていた。その20兆円が空手形となったのだから、財源を新規に探す作業が先だ。

政党の幹事長の発言問題に移った

 問題の核心は政党の幹事長発言の是非に移ったのではないか。
 習近平副主席が天皇にお会いになって、日中両国の親善のためになったことは間違いない。習氏は日本国民の間に天皇を守ろうという一致した考えがあるのに感激したのではないか、中国にはそのような存在がないので。
 幹事長は、天皇に聞いてみれば習近平氏に会いたいと言われるはずだ、と発言した。言外に天皇の官僚・羽毛田長官がそれを遮っている、とでも言うように。国際親善を責務とする国家元首である天皇が「会いたくない」と言うはずがない。しかし内心では特別の考えをもたれているかもしれない。それをうまく取り次ぐのが側近の宮内庁長官の役目だ。現に国の大小、重要度で区別はしないとの考えが伝わっている。天皇の国際親善は憲法の国事行為というような厳密な法解釈が必要なことではない。ご自身の考えで進められるのが当然だ。ときの内閣の外交方針で動かれるようだったら国際親善の名にもとると思う。

12/15/2009

羽毛田長官は天皇の官僚

 天皇の官僚(制)というのは、蘇我物部の争いの飛鳥時代から続く、権威の象徴としての天皇制を持続させる仕組みのことだ。象徴としての天皇については、明治以降は立憲君主制、戦後は象徴天皇と名前は変わったが、実質は何ら変わっていない。ときの権力と区別し、日本国民の権威であり続けるため、ずっと、権力と組むというような政治利用はされてこなかった。明治維新がスムーズに進んだのも、天皇の権威が続いていたからだ。結果滅んだ徳川幕府が細々とではあるが、自己の滅亡の原因ともなった天皇制を維持してきたのだ、大きい立場で日本という国のために。そのシステムをお守りするのが「天皇の官僚」という名で呼ばれる理由だ。
 その羽毛田宮内庁長官に政党の幹事長が辞任を要求した。政治主導だからだそうだ。しかし、政治利用を邪魔されたからだろう。これは、ときの政治勢力と独立して天皇の官僚が必要なことがわかる絶好の理由ともなった、皮肉なことに。

だまされている社民党

 鳩山内閣は今朝の会議で沖縄普天間飛行場の移転について結論を先延ばしすることを決めた。予算とかアセスなどの辺野古への移転の手続きは続行することとして。
 たぶん、社民党が連立離脱して、衆参ねじれ状態になるのを、通常国会中には避けることをねらっているのではないか。国会が終わって、夏の参議院選挙に突入すれば、社民党等との連立が壊れても実質的なデメリットはなくなる。参議院選挙で過半数を得れば、民主党単独政権となり、米国との交渉も現実的に進められる。

12/14/2009

まともな親だったら子ども手当反対

 今朝のニッポン放送・上柳昌彦「お早うGood Day」に長妻厚労大臣が生出演。上柳アナは大臣の前では言いにくそうに、「番組に来るメールFAX等での意見はほとんど子ども手当反対です」と説明していた。
 文痴が推測するに、日本人のまともな親だったら自分の子どもを「社会に育ててもらう」ことは考えていない。親として人間として自分の子どもは最低自分が育てる、というプライドは残っているのではないか。「もらえるものはもらう」というのは意見とは言えない。だから、ほとんどが子ども手当反対となるのだろう。本当に困っている人への援助が福祉というものだ。それを全国民に広げるからこうなる。

12/13/2009

80歳以上は国家で養え(未満の年金は減額)

 2009.8.28に文痴は年金制度を戦前のものに戻せ、と書いた。そのつづきだが、最低年金額というものがある。それで最低の生活ができる額、というのだろうが、自分で積み立てた老後資金はどうなっているのだろう?年金だけで老後を生活する人は日本人には少ないのではないか。
 ついでだが、そのように老後資金を余裕もって準備するのはよいが、たいていは死後に余してしまう。せっかくの勤勉貯蓄の成果だから使い切って死んで欲しいが、いつ死ぬかわからないので、余って、親族に相続するはめになってしまう。だから、80歳以上は全ての人を国家で養うことにしたらどうか。そうすれば、70代までに全ての貯蓄を消費できるから、景気対策にもなると思う。

12/11/2009

デフレスパイラルでなく、調整デフレ

 デフレスパイラルだと心配されている。でも、調整デフレではないのか?「調整(のための)デフレ」は文痴の造語かもしれない。
 グローバル経済になって、全世界でものの値段とか労働賃金とかが同一になりつつある(安い方に揃う)。中国産の安いものが輸入されれば、国産のものはそれに対抗し、原価の中の労賃部分を中国の労働者のものにそろえなければならない。ものも賃金も安くなって落ち着くのだ。賃金を下げるのは容易ではない。ものの値段はすぐ下がるから、その原価を構成する労賃は後から下げざるを得ない。労賃を含む物価が跛行しながら下がる過程での調整局面にいまはあるのだ。スパイラルという言葉から連想される破局的縮小連鎖ではない。
 すべてが下がりきって価格体系が低値に安定(デフレ)すれば、日本経済のGDPが縮小し、数字では景気が悪化したように見えるが、実質の豊かさは変わらないのではないか?

12/09/2009

新幹線、高速道、大河川は国が管理しないとうまくいかない

 また、新潟県泉田知事ものだが、整備新幹線のスキームの是非を問わないとしても、地方が共同で事業を進めるという性格だけで危うさを感じる。泉田知事は北陸新幹線に県民の税金を拠出するからには新潟県の利益になるようにしなければならないと考えている。それは首長としては当然のことだ。しかし、北陸新幹線は国家的な広域施設だから、通過する新潟県だけの言い分を聞いているわけにはいかない。上越(高田)駅に全列車を止めたら富山、金沢が困るだろう。北陸新幹線がJR東海の中央リニア新幹線のように会社の全額負担で投資するならJRだけで経営上の判断ができ、問題ない(長野県が文句を言っているが、無視できる)。しかし、整備新幹線の場合、建設費に地元で1/3なり負担いただくことになり、そうはいかない。
 同じ広域施設の直轄国道とか高規格幹線道はその束縛を排するために国直轄で実施しているのではないか。道路以外でも、一級河川の直轄事業も同様だ。複数府県にまたがる淀川なども、橋下知事が提唱している地元の府県での共同管理をしたら、たちまち仲間割れして混乱するのは明らかでないか?滋賀県と下流の京都、大阪とは利害が反するのは歴史を見ればわかることだ。

12/06/2009

整備新幹線のもめ事二箇所

 整備新幹線で二つの線が揉めている。北陸新幹線新潟県知事問題と今日のサンデープロジェクトでもやっていた長崎新幹線白紙化問題だ。
 そもそも整備新幹線については旅客業を営む鉄道事業としてふさわしくない。鉄道設備の初期投資を自ら行わないのは旅客数とそれに比例する収入が見込めないからだ。新幹線のB/Cがないのだから、いまはやりの事業仕分けして「廃止」の対象にすべきものだ。前原国交大臣が長崎新幹線を白紙としているのはその意味でだろう。北陸新幹線にしても途中通過だけの新潟県にはメリットは薄い。そうであれば県民の税金を使うべきではない、と泉田知事は思っているのだとしたら知事として正論だ。一交通機関に公費を使って整備するのはふさわしいものではない。JR東海が会社の投資としてリニア新幹線を整備するというのが本来だ。
 ついでにいうと、整備新幹線問題で一番のネックは並行在来線の地元での運営に移行させることだ。JRで赤字のものを地元で黒字に出来るわけがない。いま、在来線で各駅停車の列車が運行できるのは、特急列車の黒字を内部補助しているからだ。その特急を新幹線にすれば、残ったものの運命は決まっている。通勤通学交通など短距離のものは道路交通に任せるべきではないか?鉄道は飛行機で行く長距離以下の中距離交通を担う特性のものだ、という理解にすればよい。

12/03/2009

医療の質と量(竹原市長のブログ)

 鹿児島県阿久根市の竹原市長は自身のブログで、深刻化する医師不足への対応策として、勤務医の給料を引き上げるべきだとの議論に対し、「医者業界の金持ちが増えるだけのこと。医者を大量生産してしまえば問題は解決する。全(すべ)ての医者に最高度の技術を求める必要はない」と批判。そして、「高度な医療技術のおかげ」で機能障害を持ち、昔の医療環境であれば生存が難しい障害児を「生き残らせている」などと述べ、「『生まれる事は喜びで、死は忌むべき事』というのは間違いだ」と主張している。
 市長は批判の取材に対し、「養護学校に勤めている人から聞いた情報をそのまま書いた。事実と思う。障害者を死なせろとかいう話ではない」と説明している。
 文痴は市長の言い分に頷くだけだ。問題は高度医療国家・日本の医療の程度をどこまで高めるか?だと思う。財源は有限なので、どこかで線を引かないと破綻してしまう。それと、高度医療と通常の技能的医療とを分けて考えるべきだ。