12/30/2008

いま失業対策事業を

 年の瀬で、非正規社員の派遣切れ失業の悲哀をニュースが伝えている。
 この責任を雇い主の自動車会社などに求めるのは筋違いだ。税金を納めているのだから、政府の責任だ。働ける人が職に就けない。職業能力がないわけでない。生活保護とか職業訓練では解決にはならない。だから、失業対策としての仕事を公的につくるべきだ。昔(80年前の世界恐慌時)は道路普請など誰でもできる仕事を作って、失業者を取りあえず雇った。単に生活支援金を配るより、仕事をしてもらって賃金を払った方が本人のためにもなるし、社会的にも納得ができる。
 失業対策には公共事業が最適なのではないか? 2兆円の定額給付金を一律に配る効果の薄い需要創出より、貧窮者対策が必要だ。

12/25/2008

環境のためにガソリン税率を維持する理屈はない

 7/21/2006に文痴はガソリン税を安くしても支障なしのプログを書いた。その後、2008年4月には暫定税率の期限切れ~再可決で一ヶ月間だけ、その分の25円/l安くなった。日本中が大騒ぎになり、暫定税率維持派(与党)は環境のため(ガソリン使用を減ずるには高い)税率を維持すべきとした。しかしその後の値段の動きはさらに大きくなった。4月時点でたしか150円/lだった(暫定税率切れで125円)のが、10月の金融恐慌直前まで、投機資金で(・・・あとになってわかったが)原油が史上最高値によりガソリンも180円まであがった。当時は、投機ばかりでなく、中印の経済発展により需給がタイトになり、今後、値が下がることは期待できないと言われた。
 しかし、いま、100円/lにまで下がった。ガソリン税の50円余を引いた商品の値で見ると、二、三ヶ月の間に130円が50円にまで劇的に下がったことになる。すべて世界的な景気後退が理由だ。中印の経済は世界と連動し、ガソリン使用も減った。「環境のため」には景気を後退させるのが唯一の方法になったかのようだ。こんなに安くなったのに需要は回復しない。ガソリンは価格弾力性がほとんどない商品なのだ。高くなった時期でも、渋滞はなくならなかった。
 以上、現実に起こったことに基づいた議論が必要なことを示した。

12/24/2008

仕事の創出がデフレ脱却の唯一手段

 TV東京12/23夜の番組で深尾光洋氏がコメンテーターとして出演、雇用対策としては、公的需要創出の公共事業は完成した施設の維持管理費が後年度の重い負担になるので適当でなく、職業訓練など直接失業者に資するものに限定すべきだと主張していた(2兆円の定額給付金も)。
 文痴が考えるに、デフレ(スパイラル・・・悪循環)になっているから、誰か(政府)がこの悪循環を止める必要がある。総需要をある水準にまで戻せばあとは経済の自立復旧ができる。追加需要により、国民所得が確保され、このさき経済が順調だと見れば、消費は戻るのである。その結果、税収が増えるので、追加の財政に必要だった国債が償還できる。これが政府、公的需要の必要性の説明だ。ケインズが提唱した「イロハ」だ。
 政策金利をゼロにして、銀行が中小企業からの貸し剥がしをやめたとしても、しばらくの延命が出来るに過ぎない。その先仕事がなければ、企業は存続できない。ある中小企業主がそう述懐していた。深尾氏の言う職業訓練が万全で求職待機しても、求人がなければ詐欺と同じだ。

12/22/2008

日本は内需で生きよ

 貿易統計のとくに輸出分が前年同月より三割以上の減となっている。異常な変動だ。米国とそれ以外でも中国、韓国が主な輸出先だが、これら二か国は日本から輸入の部品などでアメリカ向け製品を作り輸出する。だから、全てがアメリカの経済崩壊が原因だ。米国はこれまで消費バブルだった。借金が永久にできる前提での消費拡大だったから、いつかは崩壊するバブルだったのだ。サブプライム問題は引き金に過ぎない。
 それにしても日本の外需頼みの経済は困ったものだった。需要を当てにされた米国にしてみれば、貿易赤字になるから文句を言うのは当然だが、日本にとっても貿易黒字を大幅に積み上げてしまう。決して健全な経済運営とは言えない。日本の自動車工場の労働者はアメリカの購買者のために働く。他国の経済の都合で忙しくもなり、そのときは当然だが、一時的だと思い、臨時工(派遣労働者)を雇った。またまた他国の都合で、売れ行きが激減したら、派遣労働者は解雇される、臨時なのだから当たり前だ。我が国の労働行政は無力感を感じざるを得ない。日本国政府の力ではどうにもならない。
 中国はよい。民工と呼ばれる農村からの労働者は、もとの農村に帰ればよい(政府は帰せばよい)。都会に出てきた日本の派遣労働者はどうする?いまこそ、日本国民が消費するのにちょうどよい生産規模、(内需)経済規模に戻すべきだ。

12/19/2008

政策金利の逐次下げはならない

 株式相場の動きで「おねだり相場」(催促相場というのが正式か?)というのがあると聞いた。財政に頼り独立性を失った相場師の悪弊だ。日銀の政策金利の上げ下げにも同じ「おねだり」が横行している。その民間の催促行為の先導役に政府・財務省が立っているのは恥ずかしい限りだ。日銀の独立性を自分で言っておきながら、それを侵害する行為は「天に唾する」ものだ。
 政策金利の下げは、今回の米国FRBのように思い切って数%のダウン、ゼロ金利へと一発で行うのがよい。小出しにしても心理的効果は得られない。ガダルカナル敗戦の原因、戦力の逐次投入の誤りに似ている。

12/18/2008

マイナスをゼロにしただけでも

 景気変動はなぜおきるかというと、経済活動のプレイヤー(すなわち全人類)の心理的なものが大きいと思う。適正規模の経済活動から過大になったり(バブル)、過小になったり(パニック)が資本主義自由経済の宿命だ。いまはバブルのあとのパニックになって、全プレイヤーが過小行動へと雪崩を打っている。適正規模以下に行き過ぎている。
 こういうときに有効なのが、ケインズの教える公的需要創出だ。ところが我が国ではこの必要性よりも、公的債務(国債残高)のこれ以上の積み上げを厳正に拒否する世論が形成されてしまっている。おまけに、バブル後の失われた十年に上記総需要政策が効かなかったではないか、という反省から公共需要(公共投資)を悪と見なす根拠にしている。
 実は「効いた」のだ。効いたからあの程度で済んだ。マイナスをゼロには出来た。もっと効かせていれば大きく成功(プラス)したかもしれない。
ここのところはリチャード・クー氏の論拠が正しいと思う。産経新聞12/13の「聖杯はどこに」をご覧あれ
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/081013/biz0810130302000-n1.htm

12/17/2008

道路財源の地方への配り方

 一般財源化された道路財源から1兆円、地方に配分する方法で議論になっている。もともと臨時道路交付金として7,000億円、6,000億円の補助金のうち3,000億円の計1兆円のことだ。自民党(道路族)は交付金にして公共事業に使途を拡大・限定させようとし、民主党(麻生首相?)は交付税にして完全に地方の自由にしようと主張する。交付税だと、東京都、横浜市など不交付団体には行き渡らないが、それは別途考えるとのこと。交付税を主張する側から、道路が本当に必要なら、交付税にしても道路に使うので結果は交付金と同じことになるのでは、というもの。
 文痴の考えは違う。交付税にすると、道路支出がない団体にも道路財源が渡り、一般経費に使われてしまう。道路支出がないという意味は、道路が必要ない、ではなく、道路が完備している、例えば、大都市圏の都市のこと。いままで無駄な道路を作っている、という意味で言っているのではない。道路のためにと自動車ユーザーから徴税しているのだから、完全な一般財源化は無理だ。
 道路が完備していても維持管理の予算は必要だ。そのために、もともと道路諸税の地方の取り分がある。これは特定財源でないから、道路に使っていない自治体も多いはずだ。

12/16/2008

ニシン豊漁は海水温だけではない

 北海道の厚岸湾でニシンが大漁だという。ニシンは冷水温を好む魚種で、いままで不漁が続いていたのは地球温暖化に伴う海水温上昇が原因かと推測されてきた。地球温暖化の悪影響の証拠探しに躍起となっている人たちには残念なニュースだ。ところが、うまい理屈が見つかるもので、厚岸湾のニシンは地域性のもので、主に温暖化しているオホーツク海とは関係がなく、(たとえば厚岸湾近海の)ローカルな原因により豊漁となっているという。
 そりゃそうだろう。海水温だけではない。餌の繁殖条件や競合の魚種の盛衰もある。サケが不漁だというが、それと関係なしとは言えないだろう。生態系は複雑だ。単純に地球温暖化だけに結びつけないでほしい。

12/15/2008

同一労働同一賃金の原則へ

 非正規労働者の不景気に伴う解雇の問題が議論となっている。派遣で自由に労働したいとする者は少ないようだ。大部分は、正社員になれなかったので、派遣されて非正社員となっている。でも、同一労働だったら、賃金など雇用条件、解雇の順番などは同一であるべきだ。そうならないのは、正社員の組合が仲間の利益を護っているだけではないか?
 一方、同一労働同一賃金(労働条件)の原則を主張するなら、単純労働の社員は中国人の現地工場での賃金と同じく低くないとおかしい。そうでなければ、日本の企業に中国に対するなどの国際競争力が生まれない。労働スキルが労働価値(賃金水準)につながるという原則を確認したい。

12/12/2008

石破大臣は真意を隠した(文藝春秋誌)

 文藝春秋1月号の石破茂農水相(前防衛相)「田母神前空幕長を殉教者にするな」を読んだ。センター右の総合雑誌に自民党保守本流政治家が(このタイトルで)何を書くのかと不思議だった。読んでみたら、案の定、歴史観などの政治的なものは田母神氏とそう違いはない(と推測される)、というより、アリバイ的に同意しているのみで(細かい違いは当然あるのだろうが)詳述していない。
 ただひとつ、注文をつけているのは、文民統制についての田母神氏の考えは間違っている、と述べているところだ。「文民統制は・・・従って、厳格なコントロールが行われなければならないのだ」(全8頁の4頁目)が間違いとする唯一の根拠箇所だ。たしかに政府高官たる空幕長が民間雑誌に政府見解(村山談話の引き継ぎ)と明らかに差異があるものを発表するのは異例だ。だが、文民統制に支障があるとまで言えることかどうか。厳格であってもコントロールされるべきことか。ただの意見表明だ。(文民統制の対象となる)実力行使あるいはその宣言でもない。
 それよりも、村山談話を事なかれ的に放置してきた歴代自民党内閣の怠慢をとりあえず表だったものにしない、という政治家の文章と理解した。

12/11/2008

尖閣諸島実効支配の証拠

 領土争いがある場合、実効支配している国とそうでない国の間に平和的に問題を解決する(棚上げする)暗黙のルールがあるのではないか?
 島根県竹島(韓国名独島)の場合は韓国が実効支配している。それにもかかわらず、漁業水域では暫定的に竹島の存在を無視して決めている(とは言っても、日本漁船は当該水域に実質的に入れない状態にある)。
 尖閣諸島は日本が実効支配している、と各国が認めているはずだ。ところが、中国の海洋調査船がその領海内に無断で侵入し、中国領土と主張しているから今後も調査のための航行(侵犯)があり得る、と宣言した。竹島の場合、海上保安庁の巡視船が同じことをすれば、韓国の海軍が妨害するであろう。両島の場合で攻守が変わっても、日本国のやり方が変わるのはおかしいのではないか?
 尖閣諸島領海への中国官船の侵犯は海保により実力排除しなければおかしい。中国台湾香港の民間船にはそうしたのだし。
 

12/10/2008

各社がリストラしまた不況に

 ソニーが16,000人の人員整理を発表した。トヨタほかの自動車会社もすでにその動きだ。これらの会社の経営者はこの大不況の行きつく先を見通す優秀な人たちなのだろう。でも、やり過ぎではないか?リストラはよいが、大胆に先取りしたやり方はよくない。リストラされた人々の購買力の減少が自社製品の販売減少に返ってくる。各社の経営によいが、経済全体によくない「合成の誤謬」となる。だから、リストラを小出しに様子を見ながらやるべきで、戦争で言う戦力の逐次投入の誤りとは全く逆だ。日本経団連の会長会社(キャノン)からして率先大リストラするのは、言行不一致だ。

12/09/2008

小沢一郎の脱党の勇気(新生党)

 自民党の国会議員は与党・権力にいたいから自民党だ、という批判がある。細川・羽田内閣のとき一年近く野党となった。そのときの冷や飯の悲哀があるから、決して野党にはなるまい、というのが党としてまとまる理由らしい。主義主張は異なっても。
 いまの自民党内では反麻生の動きが活発だ。渡辺喜美議員を代表的とする若手のグループはそれを公言している。ほかに小池百合子議員を先の総裁選に担いだ中川秀直議員のグループもある。十数年前の竹下派分裂のあおりで、小沢一郎氏ほかが宮沢首相・総裁の自民党から脱党したときのように、勇気を持って脱党したらよい。脱党の先には今回は必ず政界再編がある。解散総選挙の結果で再編するのと、脱党のあと選挙となるのと、どちらでもよいではないか?先に旗揚げする方が選挙民にとってはわかりやすい。

12/08/2008

電話世論調査の偏り(麻生内閣支持率下落)

 麻生内閣の支持率が20%近くにまで低下した。各社の世論調査がほぼ同じ数字なので、いつもは指摘される設問等の違いが影響しているのではなく、真実なのだろう。
 しかし、すべての調査に共通するのが、(固定)電話にアットランダムにかけ、調査に応じる相手のみの集計だという。若者は携帯文化だから、固定電話を持たない。とくに派遣労働者は求職に携帯が必須だから、固定はもてない。だから麻生さん支持のアキバ系が集計に入っていない可能性が高い。固定電話に出ることが多いのは主婦とか老人だろう。とくに老人は厚生労働省に怒っている。ときの政権に怒っているのであって、たまたま麻生さんだったのかもしれない。老人は長期的な医療制度の確立に関心がない(正確に言うと長期に利害関係を持てない)ので、その場しのぎの政策を要求するものだ。将来がある若い人はそうはいかないから、年齢階層別に分布した調査をやり直すべきだ。費用と手間がかかっても。電話のほうが随時、迅速に出来るから、という理屈は成り立たない。間違えの調査を迅速にされる方が困る。
 固定電話は少数派になっているし、前に文痴が書いたが、固定電話からすべての災厄が始まる。

12/06/2008

通話限定の携帯電話を

 携帯電話が出たての頃は通話しかできなかった。それが、インターネット、メール、カメラなどの機能が追加されて現在に至った。橋下大阪府知事が学校に携帯を持参禁止にしたことがニュースになっているが、子供の安全確認のため携帯を持たせている親からは反対の声がある。
 だとしたら、通話限定の携帯電話を買い与えたらよい。老人用の簡単携帯のような。授業に支障があるのは頻繁なメール交換(あるいはHP閲覧)だ。インターネットはうちに帰ってからPCで、というように区分けすれば、情報化時代にも乗り遅れない。

12/05/2008

幕僚長が大臣と議論するのは無理

 産経新聞12/5の「正論」に森本敏氏の「田母神論文の意味するところ」が掲載された。森本氏の主張には前々から同調できる部分が多い。この「正論」も前半大部分は正論だと思う。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081205/stt0812050323000-n1.htm
 しかし、田母神氏がどうすべきだったかのうち、「大臣相手に堂々と議論・・・」「彼ら(制服トップ)を国会審議に引き出す・・・(信念を述べさせる、の意と思われる)」( )内は文痴による、の部分には賛成できない。浜田大臣も麻生首相も内心は閣議決定の村山謝罪談話を踏襲したくないはずだ。しかし、現下の政治状況が踏襲しないという宣言の余裕を許さない。大臣の下の高級官僚が国会などの正式な場所で、閣議決定事項に反することを言うわけもない。大臣自身も閣議決定に束縛されているので、その人に対し「堂々と」議論してもかわいそうなだけだ。「話せばわかる」という民主主義の教えがあるが、話すだけ無駄だ、という現実だ。だから、私的な投稿という手段で自説を強行開示したのだろう。自爆的に。
 すべての原因は代々の自民党内閣の政治(突破)力のなさにある。

12/03/2008

ガリレオの故事を理解しない(毎日なるほドリ)

 毎日新聞に「なるほドリ」という読者の質問に易しく答えるコーナーがある。12/2は「地球温暖化懐疑論って何?」が質問。回答は足立旬子氏(科学環境部)
http://mainichi.jp/select/wadai/naruhodori/news/20081202ddm003070096000c.html
 4000人もの科学者が参加するIPCCが(人為的)温暖化を予測するのだから、一番確からしい、と科学環境部の名に恥じる非科学的判断(人数の多さによる)で説明している。素人の読者でもこんな回答は期待していない。ガリレオが地球が太陽の周りを回っていると主張し続けたとき、何人の同調者がいたというのか?
 また、懐疑論に対し、「科学的に研究したものはない」と片付けている。「懐疑」だから、科学的裏付けがなくても「疑問」を呈するだけで十分なはずだ。立証責任(人為論への疑問に答える)は4000人の義務だ。「いい加減なことを言ってきている」という無視に終始していては、自説の危うさを証明することになる。

12/01/2008

一本の電話がすべての災厄のもと

 なくならない振り込み詐欺が社会的問題となっている。警察も重点的に対応しているが、単なる詐欺事件が多くなっているだけだ。これだけ防止をPRしているのだし、詐欺だから被害者にも落ち度がある。警察はもっと、一般の未解決事件にも対応してほしい。
 それはそうと、この種の犯罪のとっかかりはすべて「電話」から始まる。電話だと顔が見えないから、声色などでだますのは簡単だ。犯罪とは言えないが、電話セールスも煩わしい。電話でことを起こそうとする輩にとって、こんな文明の利器はない。営業費用が少なくて済む。うけるほうにとっては一本の電話から災厄が始まると言って過言でない。
 だから、電話によるコミュニケーションは廃止したらどうか。メールの時代だ。廃止はいかにも極端なら、NTTなどの電話番号簿を廃止するのだ(各種名簿の電話欄も)。電話は親類、親友の間だけで声を聞きたいときに使う。いまの携帯電話はそうなっているし、着信記録が表示されるので、見知らぬ相手には出なければよい。文痴は誰からであれ着信記録を見てコールバックすることにしている。固定電話時代は留守録に用事を入れてもらうよう、あるいは、FAXで用件を送れば、こちらから電話します、という方式にしていた。