2/26/2021

菅首相は最終責任をとっていない

菅首相が一都三県の緊急事態を延長後の期限の3/7に解除しないこともあり得る旨の発言をしている。分科会の尾身会長の判断が慎重だからだ。この判断の是非はあるが、首相は最終判断者なので、尾身氏の言うことを100%尊重することはない。自身の判断が必要で、それが見られないようなので、国民の不信を受けている。

そもそもコロナ対策分科会の委員構成がおかしい。尾身氏が分科会長なら疫学・医療方面だけの委員構成にすべきだ。それが小林慶一郎氏など経済学者も加わり、コロナ対策を総理に結論を提言する形だ。小林氏も尾身氏も政府の最終判断になるような意見を言う。その集約だから、首相は尊重するしかない。

いままでの審議会行政がそうだった。導くべき結論は役所が審議会会長と内々打ち合わせている。審議会で議論したという形が必要なだけだ。それと今回のコロナ対策は違う。結論は予め出ているはずがない。わからないから分科会に聞いている。そこで結論らしきものを提言されたら政治的な判断を加えるという政府の役割が果たせない。

必要なのは尾身分科会だったら疫学・医療の観点からの提言をいただく、そして別に経済方面の分科会も立ち上げ、それには小林氏など以外に実体経済(繁華街の経済など)に詳しい人も加える。尾身分科会とこの経済分科会では提言する内容は違ってくる。それがポジショントークだ。それを政府が首相の下、最終決定する。これが正当であれば菅首相への信頼が増し、メルケル演説以上の効果となるだろう。メルケル以下だと言われるのは演説の力強さではなく、国民に責任を持った内容かどうかで決まる。

2/24/2021

COVID-19は大都市病

以下、総括には少し早いかもしれないが、
COVID-19ではこのウイルスが無症状でも感染させる性質がとくに問題となっているが、感染治療での致死率は破滅的に高いわけではない(エボラ出血熱とかSARSに比較して)。しかし、感染予防のための行動変容規制が長引いていることが社会経済生活に支障となっている。また、グローバル化の時代になって国境を無症状感染者が容易にまたいで広めてしまう「水際作戦がとれない」ことと、人類の長くにわたる感染史での位置づけは「大都市病」といえるのではないか。

感染症は人類史の都市化とともに流行が始まった。ヒトからヒトに感染するから、人口稠密な都市の発展に特有な現象だ。かつては細菌性のペスト、コレラなどが脅威だった。これらは水を介して経口で感染する。そこで上下水道整備など都市生活環境の改善が図られ、ほぼ撲滅ができた。また、ヒトからヒトへ蚊を介するマラリア、黄熱病なども蚊の生息域の水たまりをなくすことにもなる下水道整備で撲滅されつつある。しかし、空気を介して呼吸器に感染するコロナかぜ、インフルエンザなどは人間同士の感染防止距離を保つなどしないと防げない。これが大都市周辺スラム街では困難となって、感染が爆発的になっている。

米国、ブラジルなどの近代的大国でも大都市周辺には貧困者が劣悪な条件下で居住しなければならないスラム街が付随する。貧富の格差が激しく、それを少しでも克服するには農村から都市に出て条件のより良い就業機会を得なければならない。だから、生活経費を安くするため、人口密度が極端に高いスラム住まいになる。同居家族には新型コロナ感染は防止することが困難な上、近所の住民も感染距離に住まっている。貧困から症状が軽くても無理して仕事に出かけなくてはならない。感染拡大にはこれ以上の条件はないくらいだ。

日本では感染はこれらの国々ほどではないが、過密大都市の東京での感染拡大が問題だ。東京の人口は日本全体の11%程に過ぎないが、感染者数は一時は全国の半数、いまでも1/3を占めるほどの数だ。これも大都市病の現れだろう。

2/23/2021

世の中の現象はすべて複数要因からだ

 新型コロナ感染対策として二回目の緊急事態対策としては飲食店の夜の時短自粛に絞っている形だ。感染防止のための行動変容はこれだけではない。行動を完全に変容させるには外出も禁止するロックダウンしかないが、その段階はすでに第一回の緊急事態で経験した(日本では禁止でなく要請)。

これで1月最初の新規感染者数のピークは急激に減少した、と見たいところだが、緊急事態宣言の1/8の直前から減少が始まっている(4月もそうだった)。つまり、減少させる要因は時短だけではないことがわかる。考えられるものとして、宣言の予告でメッセージ効果があった、これは宣言対象の都府県以外でも時を一にして減少が始まっていることからもわかる。地方の県民でも東京発のニュースで行動自粛している。12月からのGoTo中止も関係は少しはあるだろう。しかしこれも年末年始に効果が出るはずがそうはならなかった。

さらには季節要因がある。寒波が来襲するとウイルス感染しやすくなる。室内での活動が多くなるのでそれも感染しやすさになる。冬季に感染者が増加するのは北半球の国々に共通している。南半球では逆だ。

ウイルス感染は人々の行動に左右されることは間違いない。その複数ある行動変容のどれが効果が大きいかの違いしかない。それらの寄与割合を追及すべきで、これしか効果はないとか効果ゼロという議論は意味がない。

似たような議論で人為的二酸化炭素排出による地球温暖化議論がある。CO2排出が温暖化に寄与する割合はゼロではなくすべてでもない。複数の要因が考えられる。知るべきなのはそれらの寄与割合だ。もし、人為的排出による温暖化が全体の1/6しか寄与しないとすると、残りの5/6は自然要因で人為では操作できない。だとしたらカーボンゼロの行動はほぼムダだと言わざるを得ない。この1/6かどうかを科学的に求めていくことこそ必要になっている。

2/21/2021

一般的に女性は競争意識が高いか?

小池都知事、橋本オリパラ組織委員会会長、丸川五輪相と三人の女性がそろった。いずれも有能で、その地位にふさわしい能力をもった女性だと思う。

 女性の登用は適材適所(機会の平等)を図りながら結果として全体の4割が女性になればよいが、実際にはそのポストに今ひとつの能力でもクオータ制(割当制度)で女性が引き上げられる事例がしばしばある。

 ここで、そのポストにふさわしい女性指導者はこのような割り当てられた同性の存在をどのように感じているのだろうか?能力ある女性は逆にそのように誤解されてはたまらないから、自己の能力をことさらに示すかもしれない。

 そこのところが「女性は競争意識が高い」と森前会長が意味した真因なのだろう。一般論で言うと、男性の間ではそのような同性だからという競争意識はない。もともとが男性社会だったからだ。いずれ社会的な地位で男女平等が達せられれば、そのような「女性だから・・・」というような特殊話題が皆無になると信ずる。(「へそ曲がり」より)


2/12/2021

全文にあたらないと恥をかく

 このスポニチ、“女性蔑視”発言、とかっこ付きの見出しだ。女性蔑視であるかは未定着だ、ということだろう。

 関連する部分の全文を引用しているが、よく読むと、森氏が関係する二つの団体で女性がいることによる全く正反対の結果が見られる、と紹介している。だから、女性の評価を一方に決めつけているわけではない(女性それぞれの人によるということだろう)。
 ただ、よくないのは「女性は」という属性での話し方だ。でも、「高齢者は」という言い方も一般的だ。その話の結論次第では差別になりかねない。ただ、日本ではそのような話し方の文化がある。米国みたいにman,womanは禁止でpersonのみ許される、ということにはなりたくないものだ。
 関連するが、「彼ら彼女ら」というまだるっこい言い方があるが、「彼ら」の中に彼女の複数形が含まれる。英語のtheyには男女区別がない。そういえば、he,sheもLGBTの人には差別用語となる。くわばらくわばら。 https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/02/04/kiji/20210204s00048000348000c.html?fbclid=IwAR0ojKy637UoJFOJQnXNJQu0iO0MMke7qKmkbMpl-q84VmITMzP4Xizzi14

2/10/2021

ものは程度問題だ(マスクなど)

 ・不織布のほうが飛沫防止効果が高いからウレタン製マスクはやめろ、甚だしきは二重にマスクする。昨年の流行当初にN95の医療用マスクを一般人が買い占めて品不足になった。いずれも100%ではなく、ノーマスクよりは効果がある。

・最近、手洗いはあまり効果がないことがわかったと専門家が言うようになった。だが、これも効果はゼロではないはずだ。
・話は変わるが、石炭火力はCO2排出が多いからダメだという。でも、LNG火力も少なからぬCO2を出す。程度問題で、発電効率のよい最新式石炭火力に置き換えれば発電量あたりのCO2削減効果はある。

 すべて効果の程度問題だ。それを最高性能でないとダメだと言うからガラパゴスジャパンと揶揄される。

2/09/2021

氷河湖を発見できなかった

 原因について、専門家はタイムズ・オブ・インディア紙に対し、決壊時に洪水を引き起こす氷河湖は衛星画像で見つからなかったが「氷河内部に水がたまっていた可能性がある」と指摘。「地球温暖化がこの地に及んでいることは疑いない」と警鐘を鳴らした。(ニュースより)

 氷河湖は氷河が溶けた水が下流のモレーン(氷河が谷を削りながら時間をかけて流れる時、削り取られた岩石・岩屑や土砂などが土手のように堆積した地形)に堰き止められてできる。その湖が決壊して下流に洪水を起こすことはよく知られている。もちろん氷河が溶けるのは地球温暖化に関係するが、それだけを原因にするのは馬鹿げている。

 氷河湖の決壊を避けるにはモレーンダム上に吐出水路を掘削整備することが広く行われている。この水系の上流でなされていなかったのは氷河湖が表面から発見できなかった(水面が隠れていた)からではないか?

2/02/2021

自粛の効果だけで説明できない

 新型コロナの感染者数の増減の要因がはっきりしない。

 ここで、旧来からのコロナ風邪をひきやすい時期を顧みると、季節の変わり目の急に冷え込んだときが多い。私はインフルエンザには罹らないが、風邪には罹ることがあり、それは11月など、本格的に冬になる直前だ。新型と旧型の違いはもちろんあるが、インフル(ワクチン、治療薬もある)と違って罹りやすいのは共通する。

 そうだとすると、昨年末寒波のときから新型コロナも大流行した。その後、寒さも緩んで感染も一段落している。自粛の効果もあるかもしれないが、どちらも根拠レスなのは似ている。GoToと感染は関連も薄い。

2/01/2021

来たるべき緊急事態に備えていない

 コロナ禍の非常事態で国民の行動をどのように制限できるかの本質的議論がなされないままの「国対政治」が行われている。

 近くは55年体制の自社なれ合い政治、古くは戦前の政友会、立憲民政党の党利党略の争いの結果、政党政治が国民の信頼を失った、その歴史をなぞるようだ。

 菅内閣はコロナ対策で「政治的安全」第一の政治を心がけているようだ。対する野党はコロナを奇貨とした政府攻撃に専念して野党の仕事に安住している。

 戦争と同じ国家の危機に全政治家がたるみきっている。これが戦前の日本の滅亡を繰り返さないとよいが。