3/11/2022

放射能汚染とウイルス感染

11周年目の311がやってきて、今年も福1の事故の後始末に焦点が当たっている。この三年間は新型コロナウイルスのパンデミックとも重なる時期だったので、これら二つの現象のあいだで何かと比較がされ、日本人の陥りやすい過敏なリスク感覚が露わになるだろう。

放射能もウイルスも目に見えない脅威で、科学的に安全範囲を理解するのが一般には困難だ。陥りやすいのが、数字の絶対値の大きさでビックリしてしまうことだ。何兆ベクレルと聞くとその「何兆」にただ恐ろしく感じるのが、人間だ。100ミリシーベルトは0.1シーベルトに過ぎないのに、100という数字だけで、ミリという接頭語が付いているのを見ずに判断してしまう。マイクロが百万分の1の接頭であることを理解している人はそんなに多くはない。

新型コロナ感染者が東京都で500人を超えたら緊急事態だと判断されたことがあった。流行のさかりの感染症だとしたら、その数はむしろごく少ない。1,400万人都民の0.01%が1,400人だからさらにその三分の一だ。そもそもは10万人あたりで比較すべき感染者数で、3.6人になるから、大きい数字には感じられない。いまオミクロン株で一万人と聞いて、数字の大小の感覚が麻痺し始めている。麻痺したからリスクにも平気になった、と言われてしまいそうだ。

専門の科学者が一般に向け、判断数字の評価方法を教えないのが過敏なリスク感覚に結びついてしまう。その罪は大きい。

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