野生の生息する原生自然地域を分断して道路などを建設するとき、野生動物がそこを移動できるように横断路(トンネルないし橋)を設けることがある。これはこれで効果があるが、野生動物が好むようにとコンクリートの床、壁をそのままにしないで緑化など粉飾することがある。しかしこの努力はほとんど無意味だ。
野生動物は人工物を忌避はしない。移動時に危険に遭わないようできれば隠れる場所があるところが好まれる。見た目でなく自然の隠蔽効果のほうだ。人口の魚道を鮎などの移動魚が利用しないのは上空の猛禽から狙われるからだ。屋根を設けるなど対策になる。
宇都宮市に野生のツキノワグマが徘徊したことがあった。宇都宮市は日光連山から延びる丘陵地の先に都市の平地が広がる。野生のクマにとってアクセス容易で、危険を感じたらすぐにその山に避難できる。隠れる場所としての自然が近間にあるのだ。だからクマ対策としてはその移動経路を遮断するような措置が求められる。絶滅危惧動物は原生自然区域を移動して採餌、交尾の機会を増やす。この場合は移動路が不可欠だ。対策の種類によって方法が全く逆になる。
この点で都市の自然を見ると、最近の都市は緑の公園が多く、一戸建ての庭にも木々が生えている。それらの広葉樹は実も豊富だ。それらを餌とする小鳥類は移動路を必要としないので、都会でバードウォッチングができるほどだ。天敵のカラスも駆除対策が進んだ。大型猛禽は都市には営巣しづらい。人間が天敵なのだ。
哺乳類では夜行性のネズミ、ペットから野生化したアライグマなどが都市の夜の帝王となる。インドでは都会の夜に猛獣まで現れるそうだ。
以上の人間と野生との都市での共存化を単に喜ぶべきこととしないで、その危険なども勘案して加減する段階になっている。
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