コメはある程度の期間の貯蔵が可能な穀物だ。生鮮野菜とはそこが違う。同じ穀物でトウモロコシ、大豆、小麦は世界的に取引市場があり、先物もシカゴで取引される。コメもそうなりそうなものだが、コメを主食とする民族は欧米以外のアジアなどに限られる。日本を含むアジア等の各国内で基本、自足され、余剰分は輸出される(タイ、ベトナム、インドなどから)。
日本はコメが主食なので、江戸時代の昔から大坂で各藩の米倉庫間で取引が行われてきた。先物市場もあり、それが世界に先駆けたものとなっている。穀物なので全世界的に海運の発展により貿易対象となったが、日本は食管制度で国内需給を賄うことにしてきた。食管制度の崩壊により自由市場商品となったが、農水省が代替としたのは、減反奨励策で供給量をコントロールして価格安定を図ってきたことだ。少ない輸入米はこの市場から隔離して、ミニマムアクセス米とした。
基本は自由市場になったので、外圧での輸入全面解禁には弱い。トランプ二次政権の関税戦争もある。そこで日本人の外米、古米嫌いが生きてくる。日本産で新米信仰だと、国内といえども取引市場が育たない。生鮮野菜と同じままとなる。実際、古米、古古米(三年前)と新米で味に違いはほとんどない。外米も日本米とおなじ短粒種で栽培も丁寧になって、米国米、ベトナム米も遜色ない。タイなどの長粒米もオカズ混ぜご飯などではかえって美味しくなる。牛肉もそうだった。豪州に行ったときに豪州産のWAGYUを食した。和牛と変わりはほとんどない。同じ肉牛種で同じ飼育方法だったらそうなる。
いままでは不味い外米と古米は安くても売れなかったが、今回の米騒動で備蓄米の古米以下もそれほど不味くないことがわかってしまった。出回っている台湾米、ベトナム米も評価され、カリフォルニア米もそうだ、ということになれば、今後は外米、古米も参入したコメ市場になるのだろう。農水省にとってはやぶ蛇状態になったが、供給量を管理・制限しての市場支配は無理だということがわかっただろう。