以前に「グリーン・ディール」政策というのがもてはやされたことがあった。本家本元は古く、「ニュー・ディール」(新規まき直し)政策で、米国の戦前に世界恐慌(デフレスパイラル)対策として、 ケインズ理論による大がかりな公的需要創出政策だった。それをその後の環境(グリーン)対策を推進する需要創出理由にも応用しようとするものだった。
とくに地球環境の温暖化ガス排出を減ずる対策需要に充てようとする。ニューディールは需要不足分を補充するまでだったので有効だったが、グリーンディールの目的は費用が莫大にかかる二酸化炭素排出減対策の理由として経済浮揚を持ち出したところに限界があった。
そうなると個々のディール事業の費用対効果が成り立たないと成立しない。費用に見合う効果である収益が事業の推進企業にほとんど見込まれない。あるとすれば政府からの補助金だけだ。補助金が続く期間だけはそれらに関連する民間部門はそのカネを収益として見込むことができるだけだ。それらをグリーンディールと称するなら、税金による政策ブームに過ぎない。
補助金が多く見込まれるから我も、というのは企業活動の本質ではなく、政府に群がる「政商」的行動だ。各種スローガンで、CSR、ESG投資、S(ustainable)DGsとかあるが、それらが公的支出をあてにする限り持続(sustainable)可能ではないだろう。